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2007年09月06日

●ニッチなビジネスモデル

 さて、たった30万円の資本で始めたCPビジネスですが、これで行けると確信したのには理由があります。まず、事務所を持たないので家賃等の経費は一切かかりません。固定電話1本だけを引いて、それが経費の全てです。さらに、出資した3人は、ライター(私)、デザイナー、サーバー管理も出来るプログラマーという顔触れ。要するに、一切外注費を使わずに、各自が本業の片手間の作業で完全に自前でコンテンツを作れ、その後の管理もできるわけです。ただ、3人で作れるコンテンツとなると限られているのも事実。で、最初に展開するコンテンツとして「心理テスト」を選びました。
 そうと決まれば、まずコンテンツ内容を決め、キャリア向けに公式サイトの企画書を書くことからスタートです。約1か月でコンテンツの主要部分を制作、企画書をキャリアに提出しました。最初に提出したキャリアはA社とB社です。この間の詳しい経緯やコンテンツ内容の詳細は書けない部分もありますが、とりあえずこのコンテンツ企画書は2社の審査を無事通過しました。晴れてCPになったわけです。

 ところで、心理テストとか占いとかの公式サイトは、最近ではよほど有名人が監修しているサイトか、古くからやっているサイトでなければ、採算がとれるほどの会員を集めるのは難しいのが実情です。例えば「占い」の例で見ると、上位キャリアのA社やD社あたりで、公式サイトには数百のコンテンツが並んでいます。その中で会員数が数万人規模というサイトは10%もありません。大半が5000人以下で、会員数1000人以下の公式サイトもたくさんあります。一般的な話として、仮に、月額315円、会員数2000人のサイトを運営するとしましょう。毎月入ってくるお金は、回収代行手数料を引けば55万円程度。年間売上は700万円弱です。サーバーの予算に月額10万円を掛け、コンテンツ制作を安く外注して200万円、サーバー管理に月額10万円の外注費を払ったとします。それだけで、初年度は400万円以上のお金が出ていきます。その上、2000人の会員数を維持するためには、ざっと見ても毎月30万円以上はアフィリエイトや順位上げのためのクリック購入などの宣伝費を注ぎ込む必要があります。コンテンツの追加・更新の手間や人件費等を考えると、ほとんど利益は出ないか赤字になります。

 でも、今回作った会社の場合、コンテンツ製作費や管理費の外注費用はゼロの上、サーバーも自社のもので月額5万円以下です。こうなると、一定のアフィリエイト費用やクリック購入費用を使っても、2000人の会員数を維持すれば年に200~300万円の利益を出すことが可能です。会員数が1500人でも、150万円程度の利益は出せるでしょう。となると、こうした会員数1500~2000人規模のつつましい公式サイトを10サイトぐらい、しかも3キャリアで運営すれば、年間4~5千万円ぐらいの粗利を出すことができるかもしれません。加えて、回収代行システムが使える公式サイトであれば、時期を見て物販などの付帯ビジネスも展開できます。これが、今回のビジネスモデルとなります。最大の問題は、年間5~10ぐらいのコンテンツを自前で作れるか、そして人を使わずに管理できるか…という点です。


●先が見えないCPビジネス

 携帯電話のコンテンツプロバイダ(CP)、いわゆる「公式サイト」によるコンテンツ販売ビジネスは、ここへきて頭打ちになっています。モバイルCP大手のインデックスやサイバード、ザッパラス、「モバゲータウン」のDeNAなどは、まだまだ手を替え品を替えで、SNS系などいろいろと新しいビジネスモデルを展開していますが、着メロや着うた、占いやちょっとしたゲームなど、公式サイトのコンテンツは軒並み低調な状況が続いています。

 さらに、総務省は既存大手キャリアに対してSIMロック型ビジネスモデルの見直しを迫っており、大手キャリアによる現在の閉鎖的・独占的な課金回収システムが、今後いつまで続けられるのか、まったくわからない状況です。もし今、誰かが新たにCP事業に参入したいなどと言ったら、よほどユニークなビジネスモデルでない限り、まずやめた方がいいと忠告するでしょう。

  私自身が関わっている会社では、最初のブラウザフォンであるiMODEサービスがスタートした1999年から携帯電話関連のシステム開発やコンサルの仕事をしています。まだ、最大手のインデックスがiMODEの公式サイトを始めたばかりの時代です。そのインデックスやサイバービズ(現在のザッパラス)、ジーモードなどいくつかのCPが起業して大きくなるプロセスを、ずっと見守ってきました。現時点でも何社かのモバイルCPをクライアントとしており、モバイルCPのビジネスモデルは熟知しています。むろん、自身の会社もCPに参入するチャンスが何度もありながら、なぜか自身でモバイルCPビジネスをやることには魅力を感じませんでした。

 そんな私が、なぜ今さらコンテンツプロバイダを始めるのか…という理由となると、自分自身もいま一つよくわかりません。単なる気まぐれという部分もあります。ただ、次の2つのことは言えます。
 第一に、現金30万円で始められる仕事は、CPぐらいしか思いつかなかったこと。
 第二に、CPビジネスが儲からなくなった時代だからこそ、逆に面白いビジネスモデルがあるんじゃないかと考えたこと。
 …以上の2つが、新たにCPビジネスをやってみる気になった理由といえば理由です。

●30万円で始めた新会社

 小資本で短期間にお金を儲ける…とは言っても、莫大なお金を儲けようというのではなく、ちょっとお小遣い稼ぎをしようと思い立ち、先ごろ、新しく会社を作りました。できるだけ初期投資を抑えたかったので、合同会社(LLC)を設立することにしました。友人3人と10万円づつ、合計30万円の現金を出資し、あとは手持ちのノートPCやデジカメなど現物出資を加えて適当な資本金を設定、登記しました。
 むろん、司法書士の手を借りるまでもなく、ネット上から申請書の雛型をダウンロードしてパソコンで書類を作成、電子定款、電子公告の形にしたので、登記にかかった費用は6万円の印紙税だけ。書類作成に要した時間も1時間もかかりませんし、近所の法務局へ2回行っただけで、無事法人登記は完了しました。

 さて、手許にはたった30万円の現金。これで何を始めたかと言うと、「モバイル・コンテンツプロバイダ」です。5年前、いやせめて3年前にCP事業をスタートさせるならともかく、モバイルCPビジネスが終焉に向かいつつある今さらやっても…という意見が大半でしょうが、実はけっこう考えたあげくの小資本ビジネスです。

こ の、超小資本新会社のビジネス展開の経緯を、今後このBlogで報告していこうと思っています。