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2010年12月27日

●年の瀬に思うこと…

 インド人学生自殺 追手門大が「いじめ否定できない」と謝罪…、なぜ大学が謝罪するんだろう? 小中学生なら、まだ学校が謝罪する必要があるかもしれません。しかし大学生って…。そんなもの、殺すほどいじめた学生を逮捕するなりなんなりして、きちんと社会的責任取らせりゃりゃいいでしょう。

 ちょっと前の話題ですが、相田みつをの詩を「やくざの詩」 女子生徒けなす国語教師…というニュース。このニュースについて、いろんなBlogに書かれているコメントですが、この話で教師を非難する論点は大きく3つあるようです。(1)「教師たるものが相田みつをを知らなかったこと」、(2)「花はたださく ただひたすらに」という詩(?)を「やくざが書くような」と感じた教師の感性、(3)その素直な感想を女生徒に告げた無神経さ…の3点です。
 でも、私は(1)(2)については、何が悪いのかわからない。まず(1)についてですが、私も数年前まで「相田みつを」の作品を知りませんでした。で、初めて相田みつをの作品を知った時には「どうでもいい言葉の羅列」としか感じませんでした。(2)については、「花はたださく ただひたすらに」というフレーズは、私も「ヤクザの言葉」のようだと感じる部分があります。というか、ヤクザが好みそうな言葉だと感じます。教師の感覚は、別に不思議じゃないでしょう。そして、その感想を女子生徒につげたことが「けなした」ことになるとも思いません。これを理由にその女子生徒をいじめた同級生達がバカなだけだって気がしますが…

 で、何年か前に私が初めて相田みつをの作品について知った際に、感想を書いた文を再掲しておきます。

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2002/7/11

 「相田みつを」という書家・詩人がいます。私は全く興味がなかったので名前しか知らなかったのですが、先日「相田みつをの書が大好きで、見ていると気持ちが和む、元気が出る」と力説する女性に会いました。しかも、世代を問わずけっこう人気があるというのです。それで、ちょっと合田みつをの作品なるものを見てみたわけです。
 実際にいくつかの作品を見たところ、何だか「物悲しい」気持ちになりました。この安直な言葉の羅列と、「いかにも」という書体はいったい何なのだろう…

「心おだやかに 今日を生きる」
「夢はでっかく 根はふかく」
「一生勉強 一生青春」
「しあわせはいつもじぶんの心がきめる」
「うつくしいものを美しいと思える あなたのこころがうつくしい」

 これらのフレーズが、一応「書」らしき形の無骨な手書き文字で書かれています。そう、「いかにも素朴な心が感じられる」…というクサい書体です。

 …この「詩」とも「格言」ともつかない安っぽい言葉の羅列の、何がいったい心に響くのか、どこが癒されるのか、さっぱり理解できません。私は「詩心」を感じないので、「キャッチコピー」に近いと思います。
 ハッキリ言えば、こんな安直な言葉に「感動した」とか「生きる勇気を与えられた」という人間が存在するという事実については、わからないでもありません。こんな安直なフレーズに感動したり感銘を受けたりする人は、きっと「言葉」に対する感受性が鈍い人なのでしょう。最近では、本来の「言葉の持つ力」を理解できない人が増えたみたいで、それは大人がくだらない童話や寓話に感動する…という世情にも反映されている通りです。最近はその手のベストセラーが、ますます増えてきました。言葉の力を読み解き、感じる…という作業は、実は感性と訓練が必要です。植谷雄高や島尾敏男の作品を感性を研ぎ澄ませながら読んでいく…なんてスタイルは、既に多くの人から忌避されるものになったのかもしれません。

 そういえば、「相田みつをの書」と似たような存在に「武者小路実篤の色紙・絵皿」がありますね。「仲良きことは美しき哉」なんて言葉とともにかぼちゃやナスビの無骨な絵とかが描いてあるあの色紙です。友人の家の床の間に置いてあったり、街の食堂の壁に掛かっていたりするヤツです。あれ、一体何なのでしょうね。
 最近流行っている「絵手紙」というヤツも嫌いです。下手な絵とちょっと気の利いた言葉を添えたハガキを送る…、それがどうした!って感じですね。私は気持ちを伝えるには電子メールで十分ですし、そんな小細工をしなければ相手に気持ちを伝えられないほど表現力がないのか…、と言いたいです。私は絵手紙なん か貰ったら、送ったヤツの頭の程度と感受性を疑いますね。

 ここまで書いて気がつきましたが、私はきっと「相田みつをが嫌い」なのではなく「相田みつをが好きな人…が嫌い」なのです。しかし、こんなこと書くと相田みつをのファンからは忌み嫌われそうです。別に構いません。私の方も、あなたとは気持ちが通じ合いそうにないですから…

 ところで、本文の冒頭に相田みつをの言葉を5つ挙げました。うち、1つは相田みつをの言葉ではなく、「バカでも書ける安直なフレーズ」という証拠に私が創作したものです。5つのうちどれが私の創作か、わかりますか?