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2009年12月29日

●真夜中に聴きたい50曲 (15)

(15)Maria MuldaurThe Work Song」(マリア・マルダー:ザ・ワーク・ソング)

 池袋の西口に、行きつけの小さなロック・バーがあります。友人達と小料理屋で飲んで騒いだ後、年末が近いのに何となく閑散とした街を1人でフラフラと歩いてその店にたどり着いた私は、カウンターでマスター相手にバカ話をしていました。客がフッと途切れた深夜になって、マスターがおもむろにターンテーブルに載せたレコードから聴こえてきたのがこの曲です。思わず会話をやめて、マリア・マルダーの声にじっと耳を傾けてしまい、1人で勝手にいい気持ちになってしまいました。

 「The Work Song」は、マリア・マルダーの73年のソロデビューアルバム「Maria Muldaur」(邦題:オールド・タイム・レディ)の中の1曲です。カナダ出身のケイト・マクギャリクルの曲で、少なからず感傷的なメロディと郷愁をそそる歌詞が何とも言えません。彼女の独特の繊細な歌声をバックコーラスが盛り上げ、感傷的ながらも暖かい、とてもノスタルジックな雰囲気の曲に仕上がっています。

 そしてこの「The Work Song」を含む「Maria Muldaur」は、出色のアルバムです。大ヒット曲となった「Midnight at the Oasis」をはじめ、ドリー・パートンの「My Tennessee Mountain Home」など、非常に良い選曲。バック・ミュージシャンも豪華です。ライ・クーダーやドクター・ジョンが参加していると言えば、推して知るべしです。全体としてはルーツ系の「アメリカン・ミュージック」としか言いようがないのですが、ロック、カントリー、ブルーグラス、ディキシー、ブルース、ジャグ、フォーク、ジャズなど様々な音楽の要素が溶け合ったこのアルバムは、この手の音楽が好きな人なら泣けるほど味がある構成で仕上がっています。かく言う私も、アナログ盤の頃から散々聴き込み、CD、そしてMP3音源の時代になっても、日々手放せないアルバムの1枚です。

 「The Work Song」は、まさに、真夜中に聴くと胸にじっと染み入る1曲です。

2009年12月01日

●Walkman NW-S745

 毎日持ち歩くDAP(MP3プレヤー)ですが、ここ1年以上COWONのU5をメインに、クリエイティブのMOZAIC 16GBをサブに使ってきました。先月末にメインの機種をSONYのNW-S745(16GB)に換えました。深い理由はないのですが、SONY機も普通にドライバ無しでWindowsで認識しD&Dでファイルを放り込め、フォルダ単位の管理と再生ができるという点を評価したのと、あとはノイズキャンセリング機能を使ってみたかったのです。本当はデジタルアンプとデジタルノイズリダクションを搭載した上位機のA845を購入しようと思ったのですが、実物を見たら画面サイズが大き過ぎると感じたこと、そして内蔵バッテリーの再生時間がS745よりもかなり短いことなどから、とりあえずS745の方が使い勝手がよいと判断して買ってきました。

 で、使ってみて思ったよりも良かったのが、初めて体験したノイズキャンセリング機能です。私は通勤に都営大江戸線という、普通の地下鉄よりも小型でうるさい路線(リニアモーター方式だからです)に乗るため、カナル型イヤホンでもかなり音量を上げて聴いていました。それがS745でNC機能をオンにすると、普段の「轟音に近い騒音」が体感で90%ぐらいはカットされます。さらに驚いたのが、先日の海外出張に持っていった時の話です。飛行機の中でNC機能を使うと、あの低音で響き続ける飛行機独特の騒音が、ほとんど聞こえなくなるではありませんか。おかげでバンコクまでの往復の各6時間、その大半を音楽を聴いて過ごしました。適当な音量で真剣に聴くのもいいですが、小音量で音楽をかけておけば騒音は聞こえないし、とてもよく眠れるのです。
 ただ、このNC機能、高機能ゆえに周囲の気配を完全に消してしまうので、歩きながら使うのは絶対危険です。また、公共交通機関で使うときも、周囲の状況を判断して使った方がいいでしょう。

 S745は音質も悪くありません。標準搭載のヘッドホン使用で、NCを使わない設定なら、「COWON U5+フィリップス SHE9700」の組み合わせと比較しても、音質に遜色はありません。時々聴くFMチューナーの感度も良好。これで1万6千円ですから、非常にいい買い物をしました。今度はぜひ、デジタルアンプを搭載し、さらにNC効果が高いというデジタルNCも搭載しているA845を購入してみようと思います。

 それにしても、相変わらず曲の転送・管理にあのバカっぽいソフトiTUNESを必要とし、しかも音質がイマイチのiPODには全く興味なし。ただ現在、大部分が192Kbps、一部クラシックなどを320KbpsのMP4で収録しているので、16GBではなんとなく容量が不足気味。現時点でアルバム数で約170枚、曲数で約2200曲、それ以外にYouTubeからリッピングしたビデオクリップのMP4エンコード動画(それにしても、このこのソフトは非常に便利)を50曲分ほど入れているので、そろそろ16GBのメモリが一杯になりつつあります。だから、次はA846(32GB)にしようかとも思っているところ。ただしMOZAIC 16GBは使い続けます。なんと言っても、海外のホテルなどでスピーカー再生でBGMを楽しむのには非常に便利ですから…