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2011年04月06日

●真夜中に聴きたい50曲 (26)

(26)Miranda LambertLove Your Memory」(ミランダ・ランバート:ラブ・ユア・メモリー)

 ミランダ・ランバートは1983年生まれですから、まだ27歳です。このシリーズでとりあげるミュージシャン、シンガーの中ではずば抜けて若いし、私の音楽遍歴との接点はまったくありません。しかし、数年前に偶然手にした彼女のアルバムは、まさに私の音楽の好みのツボにはまりました。まだ3枚しかアルバムを出していませんが、その3枚目のアルバム「Revolution」の中の「The House That Built Me」が、昨年末の第53回グラミー賞で「Best Female Country Vocal Performance」に輝き、彼女は晴れてグラミーシンガーの仲間入りをしました。

 今回取り上げた「Love Your Memory」という曲は、2005年に発売された事実上のデビューアルバム「Kerosene」に収録されている曲です。グラミーに輝いた「Revolution」もむろんいいのですが、何と言っても私は、ミランダ・ランバートというシンガーを初めて知ることになったアルバム「Kerosene」が好きなのです。このアルバム、数年前からもう何十回聴いたかわかりません。
 彼女のサウンドは、強いて言えばオルタナ・カントリーとかコンテンポラリー・カントリーというジャンルに属するのでしょうが、アメリカン・ルーツミュージックを根っこに持つ、ピュアなアメリカンポップスだと思っています。よく透る伸びやかな歌声ながら、曲によってはルシンダ・ウィリアムスを彷彿とさせるドスの効いたシャウトも聞かせてくれる、実に表現豊かなシンガーです。
 また、「Kerosene」というアルバムに参加しているミュージシャンも錚々たる顔ぶれで、ベテランギタリストのリチャード・ベネットや、昨今この手のアルバムには必ず顔を出すバディ・ミラーおじさんもボーカルで参加しています。「Kerosene」には、ロック志向の強い曲から、ピュアなブルーグラスまで多彩なサウンドが散りばめられていますが、今回選んだ「Love Your Memory」はアルバム最後のトラックで、しっとりとしたバラード調の恋の歌で、アコースティックギターの響きが美しい曲です。

 さて、ミランダ・ランバートと言えば、昨年発売されたロレッタ・リン(Loretta Lynn)へのトリビュート・アルバム「Coal Miner's Daughter: A Tribute to Loretta Lynn」の中の「Coal Miner’s Daughter」という曲で、シェリル・クロウ(Sheryl Crow)とともにロレッタ・リン本人と競演しています。このアルバムは、ルシンダ・ウィリアムスやスティーブ・アールなど様々なカントリーシンガーが参加した、なかなか聴き応えがあるアルバムです。

 話は変わりますが、ロレッタ・リンと言えば、彼女の生涯を描いた「Coal Miner’s Daughter」という伝記映画があります、邦題が「歌えロレッタ愛のために」で、これはちょっとしらけるのですが、非常にいい映画です。映画の中でロレッタ・リンを演じたシシー・スペイセクは、この映画で1980年に第53回アカデミー賞の主演女優賞を受賞しました。ロレッタの夫を演じているのが、あのトミー・リー・ジョーンズ、そしてザ・バンドの、あのレヴォン・ヘルムが出演しているのも特筆モノです。妙な邦題に惑わされることなく、機会があればぜひ見て頂きたい、とてもいい映画です。