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デジカメ多様化への期待
2001/6/13
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デジカメに関して思うことを、まとまりもない文章で書き連らねます。あまり他人に読んでもらうということを考えずに頭に浮かぶ適当な話を書き綴ったものです。まあ、完全な与太話ですね。読み直しもしません。製品名なども間違っているところもあるかもしれませんが、気にしないで下さい。
■ブレークスルー
現行製品の原型となるデジタル記録方式のデジカメは、1989年のフジックス「DS-X」に始まります(アナログ記録のマビカタイプ・電子スチルビデオを除きます)。「DS-X」って、確か100万円以上の価格だったはず。で、以来約10年が経過し、デジカメという製品領域では一通りの製品化技術が使われ尽くした感があります。言い換えれば、デジカメを構成する基幹部品についてはブレークスルーとなる技術が登場しにくい状況となってきました。既存のデジカメの性能を一新するような部品、例えばCCDに代わる全く異なる原理の画期的な撮像デバイス、現行メディアの数百倍の記憶容量を持つストレージデバイス、リチウム電池の数倍の容量を持つ画期的な二次電池……、そういったものは当面は出ないと思います。富士のハニカムCCDがブレークスルーと騒がれたこともありましたが、そこまではちょっと感じません。他にデジカメの基本要素の1つとして光学系がありますが、これは銀塩カメラであらゆる試みがなされた結果を受けているに過ぎません。
こうなると、ある意味で「各パーツレベルでの地道な機能改善の積み重ね」しか、デジカメ高性能化の方向はないわけです。具体的には、多画素化とともに感度とダイナミックレンジを両立させるための既存のCCDの改良、画像処理LSIの多機能化と処理速度のアップ、回路全体の省電力化…といった積み重ねによってデジカメの基本機能が向上していくのでしょう。
■いろいろな切り口
今後のデジカメの高性能化の手法が地道な機能向上しかないとすると、他社製品と差別化するためには、ユーザーの目先を変える…つまり切り口を変えた製品をいろいろと展開していく必要があるわけです。
切り口を変える…というアプローチの中にはかなり大胆な発想に基づくものがあります。例えば「35ミリフィルムのパトローネの形状をしたデジカメ」っていうのがありましたね。いわゆる既存の銀塩カメラに、フィルムの代わりにこの製品を入れてやることで、あらゆる銀塩カメラがデジカメになってしまうわけです。もっともこの製品は、試写結果を見たことがありますが、その後どうなったのかあまり話題になりません。
ここまで大きく切り口や発想を変えるのではなく、ちょっとした「差別化」のレベルで異なる切り口を持ってくる例もあります。ただ、過去の製品を見る限りマーケット的な成功例って少ないですね。
例えば、オリンパス「C-2121T.commu」のように画像通信機能をフィーチャした製品があります。ただし、銅製品の場合は業務用途以外でコンシューマ向けの需要があったとは思えません。9600bpsの携帯電話じゃ200万画素を伝送するには遅すぎるし、個人ユースで携帯電話で高精細画像を送りたいというニーズを思いつかないのです。リコー「RDC-i500/700」の場合は、通信機能というよりもデジカメのPDA化です。ここまでやる必然性がないし、こうした商品を持つ必然性もあまりない。実売状況は知りませんが、あまりヒットはしていないでしょうね。余談ですが、リコーの新製品「Caplio RR10」もなかなか面白い切り口の商品ですね。もっと話題になってもいいような気がしますが…
プリンタをフィーチャするというのは、発想自体はよく理解できます。富士のプリンカムこと「FinePix PR21」は、コンセプト自体は間違いじゃないと思います。要するに大き過ぎる、高過ぎるからダメなんですよね。あんな馬鹿でかいものどこで使うんだ…と思っちゃいました。最近では確かキヤノンが超小型プリンタを一体化した試作機を出してますよね。かなり小型でスマートにはなっていましたが、まだまだ商品として爆発的にヒットする感じはしません。
「動画」もよくデジカメ差別化の切り口として使われます。三洋の「DSCシリーズ」が有名ですが、やはり動画機能の究極はシャープの「VN-EZシリーズ」によるMPEG-4動画機能でしょう。ただし、これまたeggy以外はあまり話題にもならず実際に売れませんでした。ストレージデバイスで勝負したのが、三洋「MVC-CD1000」とソニー「Mavica MVC-CD200/300」。いずれも、メディアが大き過ぎます。一般ユーザーの食指が動く商品ではありませんね。
カシオのリストカメラなんかも、こうした切り口で勝負って発想の商品ですね。時計にカメラってのいうのはあまりにもも単純な発想で笑っちゃうのですが、それがいいと言えばいいかも。
勘違いっぽい切り口で製品化されたデジカメもあります。日本ビクターも「GC-X1」なんて妙なデジカメがありましたね。300万画素を2回撮影して600万画素…って、手持ちで撮れなきゃ使えるわけないですよね。ソニーの「DSC-F505V」も笑ったなぁ…。カールツァイスの5倍ズームが売り物なのはいいけれど、究極的なほどのバランスの悪いカメラでした。最近のオリンパスの10倍ズーム搭載の「CAMEDIA C-700 Ultra Zoom」なんかは高倍率ズームでもけっこうバランスのよいボディだから、ソニーのおかしさは目立ちますよね。
■小手先ではないベーシックな切り口
それほど大きな切り口の変化ではないですが…、やはりベーシックな基本機能部分で「これは!」っと思うような切り口で勝負してきたデジカメってのは気になる製品が多いです。
富士のハニカムCCDはここで出てくるべき話で、高解像度化とダイナミックレンジ向上の両立を目指したものとして一定の評価は与えれらるべきでしょう。ちょっと古い機種ではオリンパス「C-1400L」は、自分の中ではけっこうインパクトがありましたね。富士の初代「FinePix700」も同じような意味で、エポックメーキングなデジカメでした。最近の製品の話をするのなら、私はあまり好きではありませんがCanon「IXY-D300」なんかも評価するべきかも。あのスタイルと一定の画質を両立させたら、それは売れるのも無理はないって感じですか。でも、200万画素の大型CCDを搭載して「画素数だけが高画質じゃない」と言い切り、超高速画像処理を実現した「DSC-MZ1」の切り口は、今一番気になりますね。
■デジカメのマーケット
デジカメの機能高度化の方向性は大きく2つあります。1つは、表現力のレベルで銀塩カメラの性能に近づけていくというものです。ニコンやキヤノン、富士写真フィルム、オリンパス、コダックなどの銀塩カメラメーカの多くが、多かれ少なかれ「銀塩に近づく表現力」を求めたことは間違いありません。
もう1つは、銀塩カメラと勝負するのではなくあくまでデジカメの特性を活かしてパソコンやPDA、そしてインターネットなど、既存の情報処理環境との親和性を高めていくいうものです。初期にはこうした製品を各社が出していたのですが、最近ではリコーやソニーのデジカメの一部がこうしたコンセプトに特化しています。
これら2つの基本的な製品の方向性に対しては日本のデジカメメーカーはあらゆる試みを行い、実際に成功しつつあります。
しかし、ここへ来て第3の流れが出てきました。これは、デジカメの特性の一部を割り切って使う方向です。おもちゃデジカメに代表される製品形態ですね。画質を追い求めるのでもなく、情報処理環境との親和性を高めるのでもなく、ひたすらに「手軽さ」や「楽しさ」を追求する…この部分では日本のデジカメメーカは完全にやられました。台数ベースで国内デジカメ市場の30%近くに達するというのに、国内メーカーのシェアはゼロです。金額的にたいしたことはない…なんて言ってると、今後デジカメ市場が拡大すると予想されるアジア各国や欧州市場で、この分野のカメラを根こそぎ韓国・台湾メーカーに持っていかれるでしょう。まあ、個人的にはどっちでもいいですけど…。結局は日本のメーカーが考えていた以外の、デジカメマーケットが存在したということですね。
■デジカメ多様化への個人的な望み
個人的な願望としては、先に述べたベーシックな機能部分での切り口を変えながら、より多様な形態のデジカメが商品かされて欲しいと思っています。
私が従来から望んでいる「広角・単焦点レンズを搭載した200〜300万画素程度の小型デジカメ」なんてのもそうです。ズームを求めるユーザーが多いのは十分に理解できますが、あえて単焦点カメラというニーズだってそれなりにあるはずです。軽快で高画質のスナップカメラで、それなりに作画も楽しめるものがいいなぁ。
究極のお手軽スナップカメラも欲しいですね。イメージとしては「WS30とほぼ同じくらいの大きさで80〜100万画素程度のCCDを搭載、液晶モニタなしで重量150g以下の超小型カメラ」ってやつです。バッテリー寿命が長く、CFカードかスマメが使える安価なカメラが欲しいのです。でもVGAのCMOSを搭載するのではなく、もう1クラス上のCCDを搭載して欲しいってことです。安価にするために、パンフォーカスでOKです。これは言ってみれば最近お気に入りの「DC3800」の下位機種のようなものです。
そして仕事用には、安価なレンズ交換式の一眼レフタイプも欲しいですね。つまり、現行の銀塩カメラの交換レンズがそのまま使える10万円以下の400万画素機です。これは、非常に一般的なニーズでしょうから、1年以内ぐらいに実現しそうですね。
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