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これから「WS30/SLIM」の購入を予定している方へ…    2001/4/15  2002/2加筆

 「WS30」「WS30 SLIM」は、小型・軽量で可搬性に優れた非常によいデジカメだと思います。しかし、あらゆる用途に薦められるわけではありません。特に「初めてのデジカメとしてWS30を購入する!」という人は、「WS30」がどんなカメラなのか、どの程度の画質の画像が得られるのか…をよく理解してから購入しましょう。
 なお、WS30/SLIMに限らず、撮像素子にCMOSを採用した30〜35万画素クラスの低価格デジカメを購入する時の参考にもなると思います。

はじめてのデジカメとしてベストの選択か?
 「デジカメ購入の目的は何か?」によります。「WS30 SLIM」は実売価格が10,000円以下(旧「WS30」は既に販売を中止)で買える非常に手頃なデジカメです。しかし、1万5千円〜2万円前後で買えるもう1クラス上のデジカメとは、機能や撮影画像に大きな差があります。その「差」をしっかりと理解してから購入しましょう。

画質はよいか?
 あくまで比較の問題です。「WS30/SLIM」で撮れる画像のサイズはVGA(640×480dot)であり、かなり解像度が低いものです。感覚的には、「使い捨てカメラ」と同程度かそれより低いレベルの画像しか得られません。例えば、量販店で2万円前後で購入できる銀塩方式(フィルム式)のオートフォーカスのコンパクトカメラで撮った写真は、比較にならないくらいきれいなものです。感覚的な問題ですが、安価なフィルム式コンパクトカメラの画像に近い画像をデジカメで得るためには、最低でも200万画素以上のデジカメが必要です。
 非常に乱暴な比較ですが、感覚的に見て、WS30で得られる画像はレンズ付きフィルム「写ルンです」で撮影した画像以下です(こちらを参照)。解像度も、階調表現もレンズ付きフィルムの方が上だと考えて下さい。
 また、130〜150万画素のデジカメと比較しても、「WS30/SLIM」の画像は明らかに差があります。しかもかなり大きな差です。「WS30/SLIM」で撮影した画像は、情報量が少なく「少しボケた感じ」「平板な感じ」のものとなります。
 ただし、比較の対象が1万円以下で買える他の「トイデジカメ」となると、話は違ってきます。「WS30/SLIM」は、このクラスのトイデジカメと較べるとかなりきれいな画像を得ることができます。
 いずれにしても、はじめてデジカメを購入する機種が「WS30」という場合、その画像に期待し過ぎてはいけません。

手軽で簡単によい写真が撮れるか?
 「WS30/SLIM」は、手軽で簡単に"よい写真"が撮れる…わけではありません。"よい写真"の定義にもよりますが、解像度の低いシャープさに欠ける階調表現に乏しい写真しか撮れません。それよりもさらに大きな問題は、「失敗写真も多い」ということです。
 "よい写真"と言うのは、極端な話、「直射日光下で明る過ぎない晴天の屋外」で「順光」で、「3〜10m離れた撮影対象」を撮るのなら、「WS30/SLIM」は割と簡単に美しい画像が得られます。しかし、「暗い」「逆光」「近過ぎる、または無限遠の撮影対象」など、撮影条件が悪くなればなるほど、「WS30」は撮影に失敗する確率が高くなるのです。また、快晴の日中に撮影すると、直射日光が当たっている部分などは明る過ぎて「白飛び」を起こす場合があります。
 また、「WS30/SLIM」は小さくて軽いので、暗い場所の撮影や光量の少ない被写体の場合は、普通に撮ると手ブレする確率が非常に高くなります。「WS30/SLIM」には露出補正機能がないので、逆光状態で人物などを撮ると、ほぼ確実に黒くつぶれてしまいます。また「WS30/SLIM」はオートフォーカスではないため、近距離から遠距離までの全ての被写体にピントを合わせることはできません。特に、遠景を撮った風景写真は、目で見た通りのイメージを得られないことが多いと考えて下さい。
 こうした問題は、極論すると「高価で高機能のデジカメならば解決してくれる」ものです。高価で高機能のデジカメの方が「バカでもよい写真が撮れる」という部分があります。写真を撮る技術を必要としないのは、実は高いカメラの方なのです。
 WS30は、ストロボにも期待しない方がよいと思います。光の届く範囲は、せいぜい1〜2mです。また、被写体が近過ぎるとストロボ光が強く当たった部分は白飛びします。ストロボを発光して、適正露出の画像が得られる確率はかなり低いのです。
 悪条件下で「WS30/SLIM」でよい写真を撮るためには、写真やカメラに対する知識が必要なのです。

小さいことは、よいことか?
 携帯性を考えると、小さければ小さいほどよいことは確かです。しかし、失敗のない写真を撮るためには、カメラはある程度の大きさと重さがあった方が都合がよいのです。何度も述べているように、フィルム式カメラ、デジタルカメラを問わず失敗写真の原因で最も多いのが「手ブレ」なのです。シャッター速度が遅いほど、手ブレの影響は大きくなります。つまり、光量が足りない被写体ほどシャッター速度が遅くなって手ブレしやすいのです。
 「WS30」は、デジカメの中でも最も小さくて軽い製品の1つです。手ブレしないようにしっかりとグリップして構えるには小さ過ぎますし、軽い方が手ブレの影響が大きいのです。その点、1クラス上の大きめのデジカメは、グリップしやすく手ブレの心配が大きく減ります。
 「WS30」で手ブレしないように撮影するのは「コツ」と「技術」と「慣れ」が必要なことは憶えておいて下さい。

ホームページ用画像には十分か?
 ホームページに写真を掲載する場合、あまりサイズ大きくてデータ量が大きい画像を貼りつけると、ページが重くなって開きにくいのはご存知のとおりです。JPEG、GIFなどの形式の24bit以上のフルカラー画像ならば、せいぜい320×240dotが上限、できればもっと小さくしたいところです。WS30は640×480dotの画像が撮れるのですから、確かにホームページ用の写真を撮るには十分です。
 しかし、ちょっと待ってください。例えば、240dot×180dotの小さな写真をホームページに掲載するとしましょう。当然、フォトレタッチソフトなどで元の画像を縮小します。でも、元の画像の画質の差は縮小してもやっぱりわかります。高画質の写真を縮小するのと低画質の写真を縮小するのでは、縮小後の画像にやっぱり差が出るのです。
 ホームページ用の写真にデジカメ画像を使う場合、本当に画質のよい写真を掲載したいのなら、例えどんな小さな画像を使うにしても、高画質のデジカメで撮影した方がよい結果が得られます。ただし、小さな写真の場合には「画質の差が目立たなくなる」ということなのです。

こんな人には向かない
 まず「コンパクトカメラ代わりに使って旅行の記念写真を撮りたい」という人にはWS30の購入を見合わせた方がいいかもしれません。こんな人は「WS30/SLIM」で撮った風景写真や記念写真の画質に失望するかもしれません。1万円台後半で購入できる型落ちの100万画素クラスデジカメや、15,000円も出せば量販店で買えるフィルム式のコンパクトカメラの方が、絶対にきれいな写真が撮れます。
 遠くに見える山並みや、雄大な風景などを撮りたい人にも向いていません。「WS30/SLIM」は風景写真向きのデジカメではありません。目で見た雄大な風景を描写するだけの解像度もないし、遠近感や奥行き感のある画像は得られません。
 「女の子をきれい撮りたい」という人、これも「WS30/SLIM」は向いていません。顔のクローズアップや女の子のバストショットなど、人物写真を表情豊かに写すためには、高いカメラの性能が必要です。
 「屋内撮影やモノを中心に撮る」、これも「WS30/SLIM」向きではありません。ストロボやマクロ機能は「オマケ」程度と考えた方がよく、やはり条件のよい屋外撮影で最も実力を発揮するカメラなのです。

こんな人に向いている
 これまでに書いたような「WS30/SLIM」の特性や機能を全て理解した上で、なおかつ「これで十分」と考える人にとっては、「WS30/SLIM」はとても面白いデジカメです。仲間が集まったパーティの席で片っ端からみんなの動作や表情を撮っていく…といった場合には、すごくシャープな写真が撮れなくても、後から見て楽しい写真であればよいわけです。
 人でもモノでも、近距離にある被写体を写し撮る力はなかなかのものです。
 また、悪条件での撮影が難しいゆえに「うまく撮るにはどうしたらよいのか」と考える楽しさがあります。また解像度が低いゆえに「低い解像度でも味のある写真」を撮ろうという気にさせてくれます。
 また、他のデジカメに類を見ないほど小型・軽量であり、バッテリー寿命も長いので、いつでもポケットやカバンの中に入れておくことができます。また意外にマクロ性能がよく、よい条件下でマクロで花などを撮影すると、上位デジカメと較べても遜色のない鑑賞に堪え得る画像が得られることがあります。
  「WS30/SLIM」は初心者向けのお手軽デジカメであると同時に、ある意味で「写真をよく知っている人」にも面白いカメラなのです。特に、高画質デジカメを既に所有している人が2台目のデジカメとして購入すると楽しめると思います。


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