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eggy」で遊ぼう!    2001/2/10

 SHARP「VN-EZ5」のMPEG-4動画がとても面白いので、とうとうNTT DoCoMo「eggy」を購入しました。

 「eggy」は、PHSを利用した映像配信サービス「M‐stage visual(エムステージ・ビジュアル)」用の受信端末なのですが、単体で静止画、動画を撮影できる上、CF(コンパクトフラッシュ)カードを使って、撮影データをPCへ読み出すことができます(仕様にはありませんがマイクロドライブも使えます)。
 なんのことはない、要するに「MPEG-4動画も撮れるデジカメ」なのです。製造メーカーは「VN-EZ5」と同じSHARPです。
 しかも安い。私は現在PHSを使っていないし動画配信サービスも不要なので「eggy」を単体で購入しましたが、都内の某DoCoMoショップで17,800円でした(現在では7,800円で買えるという報告も増えています)。さて、使ってみたら…

   ※NTT DoCoMo「eggy」のページへ
スペック
 35万画素のプログレッシブCCDを搭載しています。MPEG-4動画が目的なら、画素数はこれで何ら問題無し(後述するように静止画もなかなかよいのですが…)。私は、どうせWebサイト上で公開することが目的なので、160×120dotのモードしか使いません。
 6MBの本体メモリを内蔵していますが、動画/静止画撮影の初期設定画面で、データの保存先を内部メモリかCFカードかを選択することができます。デジカメとして使う場合、迷わずカードを保存先に選びましょう。
 MPEG-4動画は、基本的には160×120dot、320×240dotの2種の画像サイズとそれぞれNORMAL/FINE/LPの3通りのモードを選択できます。音声については、AD-PCMとAMRの2つのモードを選択できます(画像のLPモードは音声がAMRの時のみに選択可)。Web用で使うのなら、160×120dotのFINEモードが適当です(後から添付ソフト「PixLab」のMPEGコンバーターでビットレートを落とすことが出来ます)。
 また、撮影前にファイル容量での制限を加えることが可能(40/100/300K)なので、あまり大きなファイルを記録したくない時には、あらかじめ適当なファイル容量に設定しておくとよいでしょう。
 レンズの画角については仕様に記載されていませんが、撮影した感覚では35o換算で35o程度と、やや広角気味です。また、レンズの開放F値の記載もないようですが、これもかなり明るい感じはします。マクロは搭載していませんが、実際に撮ってみた感じでは20p以下の近接撮影は可能のようです(もう少し詳しく調べて報告します)。
 海岸の波の様子や雲の動きなど、長い時間経過で変化する対象物を撮影する時に便利なインターバル撮影機能や、セルフタイマーなど備えています。その他、eggy単体で様々な画像加工も可能です。動画を分割したり、静止画に文字や背景を入れたりできるのですが、私はこれらの作業をパソコン上で行うので、ほとんど利用しません。 
 ポリシリコンTFT液晶モニタは追随性もよく、明るさも十分。1万円台(1万円以下も増えてきました)という実売価格から見れば、非常に贅沢な液晶モニタでしょう。あと、ビデオ出力が可能で、NTSC信号用のケーブルも付属しており、撮影画像をTVで見ることができる他、撮影モードでCCDカメラの画像をTVに出力してモニタカメラ代わりにも使えます。
 添付ソフトは「PixLab」で、何とこれも「VN-EZ5」と同じです。動画編集はこれで十分ですし、私は使い慣れているのでバッチリです。

 ※添付ソフト「PixLab」の詳しい説明はこちら

 電源はリチウムイオン電池、連続撮影時間は動画65分と、これまた「VN-EZ5」とほとんど同じです(実際に撮影してみたところ、間欠的な利用では65分以上の撮影ができました)。フル充電の状態で、64MBのCFカードいっぱいの動画が撮影できるわけです。ただし、1つだけ問題があります。専用ACアダプターがAC100V専用なのです。これでは海外では使えません。220Vのアジア・ヨーロッパ地域はむろん、110Vのアメリカでも使えません。私は海外旅行にデジカメを持っていくことが多いので、DC10V、0.8A出力の海外対応ACアダプターを探す必要がありそうです。…と思っていたら、素晴らしい事実が判明しました。
 「VN-EZ5」の240V対応ACアダプタが、そのまま「eggy」に使えるのです。これは朗報です! 「VN-EZ5」のACアダプタはオプション品として単体でも購入できるので、「eggy」を海外で使いたい人はこれでOKです。ついでにバッテリーも、「VN-EZ5」と同じものでした。

 そしてeggy本来の利用法(?)である、PHS回線を使って撮影した動画や静止画をメールに添付して送る…等の機能を持っていますが、私はスタンドアロンで「カメラ」として使っているので関係なしです。


梱包内容はボリュームたっぷり
使用感
 この手のツールの第一印象は外観デザインで決まります。となると、この「eggy」のデザインは、はっきり言って論外です。なぜ、こんな色と形にしたんだろう…センスを疑います。まあデザインと性能は無関係と割り切って、使ってみました。
  サイズは意外と大きい感じがします。重量は225gですから、これも35万画素デジカメにしては少し重い感じ。しかし、この適度なサイズと重量、さらに外観イメージに反して構えやすいので、手ブレしにくい点は非常によいと思います。
 「VN-EZ5」と同じく、270度回転するレンズを装備しており、やはり動画撮影時にレンズを少し回転させて胸の位置で構えることができます。これは周囲の人に撮影状態を意識させなくて済むので、非常にありがたいポジションです。
 ついでに思ったのですが、こうして水平に構えたポジションで撮影していると、「eggy」の妙にカメラらしくないデザインは「カメラを意識させない」という面で役に立っているかもしれません。  操作系は、多少使い慣れてきましたが、非常にシンプルでよいと思います。まず、電源をONにしてレンズ部を回転させると、すぐに動画撮影スタンバイ状態になります。あくまで動画が優先なのです。静止画は、MODEボタンを押すだけで切り替わります。MODEボタンを押す度に、交互に動画と静止画を切り替えられるのは非常に便利です。
 各種設定は「十字キー+決定ボタン」というオペレートが中心ですが、メニューは特に複雑ではありません。あ、そうそう、「逆光補正」や「ホワイトバランス」の設定などもあるのです。これにはちょっと驚きました。ただし、撮影時に逆光補正の画面をメニューからいちいち呼び出すのはかなり面倒です。
 その他気になる点としては、電源スイッチの入れにくさと、電源ONにしてから撮影スタンバイ状態に入るまでのタイムラグの長さがあります。電源スイッチを入れてから撮影開始までは10秒近くかかるようです。これは何とかして欲しいですね。
 それから動画撮影状態からスタンバイ状態にする時に、シャッターボタンをちょっと長めに押す必要があります。気を緩めると、スタンバイ状態にしたつもりでも録画が続いていたりします。

 それにしても、「WS30」のような安価な低画素デジカメを「いつもポケットに入れておいて、眼にするものを片っ端から撮影するデジカメ」と個人的に位置付けていた私ですが、「eggy」はなんと「いつもポケットに入れておいて、動くものを片っ端から撮影するビデオカメラ」みたいな位置付けができますね。この値段とこの機能…うーん、たまりません。
撮影したMPEG-4動画
 実際に撮影した動画をアップします。
まずは、160×120dotのFINEモードで撮影したそのままの動画です。ちょっとファイル容量が大きいですが、ダウンロードしてみて下さい。どうでしょう、「VN-EZ5」の撮影画像と較べて、何ら遜色はありません。これなら、日常生活や旅の記録用として問題なく使えます。


(331KB)

(315KB)

(427KB)

(181KB)

 次に、160×120dotのFINEモードで撮影した動画像を、ISDN回線レベルのアクセスラインで見やすいようにMPEG4コンバータでノーマルモードにビットレートを落とした動画です。左の2つの動画は「回転する看板」を撮ったものです。右から2番目の動画は、歩行者天国でコントのパフォーマンスをする芸人です。そして一番右の動画は、暗いレストラン店内で撮影した画像です。照度不足の屋内撮影でも、そこそこ写ってますよね。
 それと、撮影した動画を見ると、「VN-EZ5」よりも「eggy」の方が周辺光量の落ちが少ないような気がするのです(同じ条件で撮り較べたわけではないので、あくまで感覚的なものです)。いずれにしても、悪い画質ではありません。
 ちなみに、動画撮影時にも逆光補正やホワイトバランス設定機能が利用できる他、デジタルズーム機能もあります(動画撮影時にはけっこう便利です)。


(63KB)

(39KB)

(62KB)

(78KB)

 ※「関西動画紀行」や「海外旅行記録」などサイト内に、たくさんのeggy動画のサンプルがアップしてあります。


ビットレートを変える
 さて、添付ソフトの「PixLab」のMPEG4コンバータを使って、動画のビットレートを徐々に落としてみます。まずは、160×120dotの「FINE」モードで撮影した画像です。これは379KBありますので、ストリーミング再生には200Kbit/s程度の回線が必要です。現時点では200Kbit/sなどという半端な回線速度はありませんが、まあADSLやCATVなどのブロードバンド回線ならばスムーズに再生できるビットレートだと考えて下さい。



 次に、これを「NORMAL」モードまで落とします。ファイル容量は105KBで、ISDNの64Kbit/s回線でのストリーミング再生が可能なレベルです。
 多少のコマ落ち感、ギクシャク感がありますが、動画として十分に認識できるレベルです。



 そしてさらに、28.8Kのアナログ回線でストリーミング再生が可能なレベルまで、ビットレートを落とします。これは「LPモード」に相当し、ファイル容量は53KBです。最初のFINEモード画像からは、約1/7にまで落としたことになります。



 いかがでしょうか、ここまで落とすと「動画」とはいいにくいレベルになってしまいます。しかし、「PixLab」を使うとこんなことも簡単にできるのです。だから、CFカードの容量に余裕があれば、撮影時にはFINEモードで撮っておけばよいわけです。

 ちなみに、320×240dotのファインで撮影した画像をAVケーブルを使って32型TVに出力してみて見ましたが…これはダメです。はっきり言って見るに耐えない動画です。こうした使い方をすると、どうしてもDVで撮った画像と較べてしまいますね。

静止画像
 35万画素CCDの静止画像を見て下さい。これはちょっと驚きです。なかなかいい…というよりも、正直言ってCMOSの「WS30」よりもかなり上のような気がします。特に発色がいいですね。「色彩感」が豊かな画像です。しかもギスギスした画像ではなく、ソフトな感じで、しかもそれなりの解像度感もあります。あえて比較するなら、FUJI「DC-10」あたりに近い感じ。さすがCCDだけのことはあります。さらに、逆光補正やホワイトバランスの設定が出来るのもポイントです。
 また静止画撮影時も、レンズ部を少し回転させて水平に構えて撮ると、撮影していることを他人に意識されないで済みます。手ブレもしにくいようです。
 発色だけでなく、VGAカメラにしては解像度感も十分。まだ使い込んではいませんが、ダイナミックレンジも広いようです。
 ただし、静止画撮影では気になることがいくつか…。まず、VGA画像にしては記録時間がかかり過ぎです。正確なところはまだ調べていませんが、「FinePix1500」と同程度の4〜5秒はかかっている感じ。これは、VGA画像を記録するインターバルとしてはあまりに長すぎます。次に気になるのが、「パシャッ」という人工的なシャッター音。わざとらしく、あまり気持のよい音ではありません(音を消すことも出来ます)。
 あとはストロボを装備していない点が大きな問題ですが…、これは意外と気になりません。やはり動画メインのカメラだと考えていますから。静止画撮影時には、ストロボがない方がかえって便利な部分もあります。私は、お店の中などでストロボを使わないでさりげなく撮影することが多く、間違って発光させることがないのは助かります。また、「eggy」はかなり照度が低い屋内でも問題なく撮影できます。正確なF値はわかりませんが、比較的明るいレンズを搭載しているようですね。
 まあ、いろいろと問題もあるのですが、静止画撮影は「動画カメラのオマケ機能」だと思えば、あまり目くじらを立てないで済みます。オマケ機能にしては、なかなか使い道があります。

(クリックするとVGAサイズの拡大画像が見られます)


 参考までに、約10cmの距離で撮ったマクロ撮影(?)画像を載せておきます。まあまあの結果ですね。



総合評価
 MPEG-4動画が撮れて、静止画もそこそこ、しかも高品質の液晶モニタを搭載…となると、ホントにこれが17,800円?って感じです(1万円以下で買えるとは…)。メチャメチャにコストパフォーマンスのよいカメラです(所有欲をくすぐるデザインじゃないことだけは確かですが…)。CFカードは最大192MBまで使えるので、MPEG-4動画だけが目的なら、「VN-EZ5」よりもはるかにお買い得でしょう。

「eggy」のスペック (NTT DoCoMo東海のサイトから借用)

外形寸法 131(W)×81(H) ×39(D)mm(突起部除く)
質量 約225g(リチウムイオン充電池含む)
入力方式 タッチパネル(ソフトウェアキーボート)、十字操作キーならびに操作ボタン
表示部 TFT低温ポリシリコンカラー液晶(557×234ドット、バックライト付)
カメラ/レンズ部 35万画素プログレッシブCCD搭載
適用回線 NTTドコモPHS回線(64kbps/32kbps)
通信速度 64kbps(最大実効速度58.4kbps)32kbps(最大実効速度29.2kbps)
搭載機能 M-stage visualサービス対応、簡易ブラウザ機能、パルディオEメール※1・mopera POPメール・インターネットメール機能、アドレス帳機能、動画・静止画撮影機能、動画・静止画アルバム機能、動画・静止画編集機能
記録媒体 本体メモリ(約6MB)/コンパクトフラッシュTM(メモリカード、市販品)※2
カード挿入部 コンパクトフラッシュカードスロットTypeI/TypeII(3.3V)
接続ケーブル
コネクタ部
PHS接続コネクタ
電源 専用リチウムイオン充電池(付属)、専用ACアダプタ(付属)
使用電源/枚数 ◇連続表示時間:静止画約70分、動画約70分
◇連続撮影時間:動画役65分
◇連続撮影枚数※3:静止画約140枚
◇連続通信時間:約70分(32K/64Kパルディオならびに専用接続ケーブル使用時) 約60分(P-in Comp@ct、パルディオ611S/341S使用時)
充電時間 約2.5時間(専用リチウムイオン充電時、専用ACアダプタ使用時)
付属品 リチウムイオン充電池、ACアダプタ、タッチペン、AVケーブル、ケーブルカバー、ソフトケース、ステレオイヤホン、デジタルメディア総合ソフト「PixLub」CD-ROM
別売品 パルディオ接続ケーブル、携帯電話/ドッチーモ接続ケーブル
※1 一部機種は本機でのパルディオEメールに対応していません。
※2 本体に同梱されている動作確認済一覧表をご参照ください。
※3 撮影条件:16MBコンパクトフラッシュTMを使用し、30秒毎に1枚撮影、"メモリフル"となったらメモリ全消去して継続した場合。


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