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画像日記   〜都会に暮らすサイレント・マイノリティの発言

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2005/7/27


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2005/7/2

 群馬大医学部の今年度入学試験で、年齢を理由に不合格にしたのは不当だとして、東京都目黒区の主婦(55)が大学を相手取り、医学部医学科入学の許可を求める訴えを6月30日までに前橋地裁に起こした…という記事 を読むと、いろいろなことを考えさせられます。

 まず、「センター試験と2次試験の総得点が、合格者の平均点を上回っていた」…というこの主婦の学力の高さに驚きます。群馬大学医学部の偏差値がどの程度かはわかりませんが、国立大学の医学部の平均だとしても、センター試験の得点は90%前後はないと合格できません。加えて、二次試験も相当高い水準にあるようですから、全国トップクラスの進学校で、なおかつ上位の成績の受験生のレベルでしょう。自分自身の年齢と記憶力の低下具合を考えると、55歳でこのレベルの学力を身に付けることは、大変なことだと実感します。私は毎年、新聞にセンター試験の問題が掲載されると面白半分に解いてみたりしてますが、英語や国語、歴史あたりはなんとか半分以上は解けるけれど、理科系の科目はかなり難しく感じます。ともかく、現役時代に覚えたことをさっぱり忘れちゃってます。現在の自分の学力や記憶力の低下ぶりを考えると、センター試験のほぼ全教科で9割を超えるまでの勉強なんて、現役時代ならともかく、この年では想像を絶する努力が必要でしょう。国公立の医学部の偏差値は、平均で見ても東大や京大の理系一般学部に匹敵する…と言われています。この主婦の方の勉強振りには、頭が下がります。

 さて、この主婦を不合格とした医学部側の事情も理解できます。医師というのは、最低6年間の勉強と2年間の研修医教育を経てやっとスタート台。1人前の臨床医になるためには、最低でも10年近くの経験が必要だといいます。現役で合格しても24歳で卒業、30歳過ぎてやっと一人前です。55歳で大学生活をスタートすれば、順調に国家試験に合格しても、研修終了時には63歳で、70歳過ぎてやっと一人前です。これでは、いくら平均寿命が延びたとは言え、現役医師として活躍できる期間は非常に限られたものとなってしまいます。
 医師を1人育成するためには、設備や教員など、莫大なお金がかかります。それが私大医学部の授業料が高い要因の1つです。しかし、国立大学の授業料は医学部といえども年間50万円ちょっと。結局、医学部の学生には1人当たり年間1000万円近い税金が投入されているそうです。6年間で約5千万円とは、すごいものです。
 だいたい、どこの国でも医師の教育には力を入れており、発展途上国などでは乏しい予算の中から国家事業として医師を育成したりしている例もあります。国がこれほどお金をかけて医師を育成するのは、やはり「国民のよりよい健康と福祉」を実現するためでしょう。こうして莫大な税金を投入して育成した医師が、可能な限り長い年月を現役の医師として活躍してくれないと、税金は無駄になります。投入した公費の有効利用を考えれば、国立大学の医学部が若い人を入学させたいのは当然でしょう。

 一方で、「入試」というものの「フェアネス」を考えれば、主婦の提訴は納得できるものです。もし、上記のような理由で国立大学が若い医師を養成したいのならば、あらかじめ受験要綱に「30歳以上は受験不可」とでも告知しておくべきです。そうした告知がない限り、「年齢を理由に不合格」などにしたら入試の公平性は保てません。学力(プラス面接による適性判断)で合否を判別することを建て前としているならば、学力試験で平均以上の得点を得たこの主婦は、よほど適性面での問題がない限り合格させるべきです。確か、かなり前に50代で国立大学医学部に入学した女性が卒業して医師になった…という話を聞いたことがあります。
 加えて、何も臨床医だけが医師の道ではありません。これからの高齢化社会では、医師の資格を持つ年齢の高い人がやるべき仕事はたくさんあります。精神化の医師として高齢者のカウンセリングを行う…などの道もあるでしょう。

 いずれにしても、55歳で国立大学の医学部に入学するとは、その努力には本当に頭が下がります。そして、もしたいした努力もせずに55歳で楽々とこれだけの得点を取ったとすれば、それはそれですごい人がいるものです。

2005/7/1

 03年3月のイラク戦争開戦以来の米兵の死者数は1700人を超え、ますます悪化する治安情勢の中で、死者の数が減るイラクの治安悪化が進むなか、アメリカの世論は「イラク戦争反対」に大きく傾きつつある…との報道が相次いでいます。こちらの記事にあるように、イラク治安部隊に米軍部隊を組み込む事実上の米・イラク混成部隊の創設を打ち出しましたが、こうした駐留長期化政策に対する米国内の反応は非常に冷たいものになっています。この元記事によると、米ギャラップ社の世論調査でイラク戦争への賛成は39%、反対は59%、イラク政策でブッシュ大統領が明確な対応策を持っていると見る人が37%、持っていないと見る人が61%、イラク戦争によって米国が「より安全になった」とみる人は43%、「より危険になった」とみるの人は46%…と、まあはっきり言って米国国民は、イラク戦争に厭きてきています。この嫌戦気分は、「テロとの戦い」というお題目が揺らいできたことを意味するとともに、あの衝撃的な9.11対米同時多発テロ事件に対する国を挙げての感情的なリアクションの沈静化に伴って、米国にとっての対外戦争の意味を問い直す雰囲気が顕著になりつつある状況を表しているようです。
 米国世論は、まだ「明確に」というところまでは行かないまでも、イラク戦争(現在も「戦争」状態です)の終結を求める方向に振れつつあることは確かです。私は毎日、米国のマスコミ報道をウォッチしていますが、上下両院の議員の多くが、イラク駐留引き上げを念頭に置いたブッシュ批判を繰り返しています。現実問題として治安回復によるイラク戦争の早期終結は不可能でしょうから、「適当な形で手を引く」「イラク国民に責任を負わせて投げ出す」ことを想定しての話でしょう。
 また、報道によると現在イラクに派兵されている米軍の質はけっして高いものではなく、戦場の一部でも嫌戦気分が充満しつつあるようです。イラク駐留米軍138000人のうち1/3以上に達する50000人近くは、最近まで日常生活を送っていた州兵の予備役で、「戦闘の専門化」ではありません。しかも、貧しい黒人やヒスパニックにしわ寄せがきており、兵士の士気も低い状態が続いています。戦場近くで後方支援業務に働く労働者も貧しい失業者などが多く、イラク戦争の背景にはアメリカの抱える社会矛盾がそのまま発露しつつあります。戦死者の家族による公然たる反戦運動も、度々米マスコミの話題に上っています。
 こうしたアメリカの世論の動向を見るにつけ、イラク戦争がもたらす米国内の社会状況は、ベトナム戦争の末期の経緯に非常に似てきたと思います。当時、国内では反戦運動が拡大し、国内にも戦場にも嫌戦気分が蔓延していました。ベトナム戦争の末期、駐留アメリカ軍は実にひどい状態でした。兵士の2人に1人はマリファナ、4人に1人はヘロインの常習者で、しかも全体の10人に1人以上が重症の中毒患者でした。1967年から71年にかけて、1ヶ月以上無断で離隊した脱走者は延べ35万人以上(1971年で7.5%近く)、1969年には10分に1人の割合で脱走事件が発生しています。イラクではこのような事態にならない…との保障はありません。
 アメリカという国は、根本的なところで「利己的」です。自分の国の繁栄と平和が、何よりも大切だと思う人間が多い。しかし、在任期間中にたまたま9.11テロ事件に遭遇したブッシュ大統領はベトナム戦争敗戦で失われたアメリカ国民の「自信」「優越感」「愛国心」などを、再度醸成することに成功しました。しかし、アメリカという「複合国家」が持つ「個人主義的」な本質は、基本的に変化することはないように思います。だからこそ、いったん嫌戦気分が拡大し始めると、あっという間にイラク撤兵へと傾く可能性があります。むろん、建国以来初めて自国領土が侵された9.11の恐怖は米国民の記憶に染み付いているでしょうから、「国土防衛」への執念は変わらないでしょう。しかし、膨大な予算を使って海外へ派兵し、治安は回復せず犠牲者だけが増えつつある状況に、このままいつまでもアメリカ国民が耐え続けるとは思えません。
 こうした状況のなか、わが国の小泉純一郎首相は、特に背景を説明することなく、「イラク政府の要請がある、役立っている」などの単純な論理で自衛隊のイラク駐留を継続する考えを示し続けており、さらにアメリカが要求する駐留延長すらも受け入れようとしています。そのうち、アメリカ自身にに梯子を外される可能性は高いと思うのですが、いずれにしても詳しい情勢分析などほとんどない状態で現地へ派遣されている自衛隊の方々やその家族の方々が気の毒にも思えます。


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