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小型デジカメ原理主義宣言 その2     爆笑デジカメ購入ガイド

 「小型デジカメ原理主義者」の私としては、最大の敵は「画質原理主義者」です。
 はっきり言って、日常記録用途に限定すれば、200万画素以上の最近のデジカメは、その画質に大きな差はありません。細かい画質についてゴチャゴチャとウンチク垂れるよりも、使いやすいデジカメを買って、毎日楽しく写真を撮りまくった方が面白いはずです。
 で、ここでは「小型デジカメ原理主義者」による、「ちょっと過激なデジカメ購入ガイド」を書きます。「画質原理主義者」に対して戦いを挑みます。半分はジョークですが、半分は本音です(笑)


■デジカメに関する様々な意見

 私が小型デジカメを勧める大きな背景として、「最近の200万画素以上のあらゆる機種は、基本的に実用上の画質に大差がない」…という事実があります。これは、「事実」と言うよりも私の個人的見解ですが、そんなに的外れではないと考えています。

 デジカメに関する意見が世の中には溢れています。デジカメ評論家とかデジカメ専門ライターのような人が書く雑誌記事がその代表です。また、ハイアマチュアと呼ばれる人々も、積極的に発言します。さらに、一般ユーザーの中でも、デジカメが好きでデジカメについてよく研究しており、自分でデジカメのサイトを作ったりしているユーザーが、いろいろと発言します。
 こうした人々は、数多くの製品種が市販されているデジカメに対して、「自分なりの尺度」で、製品の優劣を主張します。逆に言えば、「製品を比較し、その優劣を主張する」ことで、自分なりの価値基準を持っていることを証明しようとするわけです。

 だから、デジカメについて詳しい人ほど「あらゆるデジカメを使ってみた結果、どのデジカメも実用上大差ないということがわかった」…という意見を絶対に言いません。「どれでも大差ない」なんて意見を吐こうものなら、「この人間はデジカメの良し悪しを測る尺度を持っていない」、ひいては「デジカメのことをよく知らない」と、思われかねないからです。また、「どれも大差がない」などと言おうものなら、「お前の眼は画質の良し悪しがわからないほどの節穴か?」と叩かれるからです。

 でも、私は多くのデジカメを実際に使ってみた結論として、あえて断言します。「過去1年以内に発売された200万画素以上のあらゆる機種は、基本的に実用上の画質に大差がない」…と。
 「画質に差がない」のではありません。普通の使い方をする限り、「実用上の画質の差がない」と言っているのです。200万画素機でも400万画素機でも、実用上の大きな画質差はありません。
 だからと言って、400万とか500万とか多画素のデジカメを購入してはいけないと言っているのではありません。デジカメには、画素数の多寡や製品機能の高低があります。しかし、普及期クラス以上の製品なら画素や機能に関係なく画質に大きな差がないのですから、それを前提に「価格やデザイン、そして使いやすさ」を選択基準にデジカメ選びをした方が面白い…と思います。

 ところで、デジカメ関連のWebサイト、アルバムサイトなどを眺めていると、デジカメライターや自称ベテランユーザーの中の「デジカメの画質にうるさい人間」が、「これはいい被写体」という写真を公開している例をあまり見たことがありません(むろん、高画質でよい画像をWeb上で公開されている方もたくさんいますが…)。アルバムサイトによくあるのが、道端に咲く花の画像だったり、何の変哲もない風景画像だったり、祭りとか花火とかを撮った画像だったり…、画質がよくても悪くても「被写体への興味を喚起されない」画像が多いですね(こちらを参照)。写真は「何を撮ろうと自由」ですが、他人に公開する画像は「それなりに公開する意味のある画像」であって欲しいものです。

■画質や画素数にこだわって評価した記事を読むのをやめよう

 普及価格帯以上のデジカメを購入する時に、2機種または複数の機種を較べて、まず「どっちが画質がよいか」と深刻に考えることをやめるべきです。
 「画質はどうでもいい…」と言っているのではありません。確かに35万画素のCMOSを搭載したトイデジカメと200〜400万画素の普及機クラスのデジカメとの間には大きな画質の隔たりがあります。また、200万画素機と400万画素機は、パソコン画面で等倍表示して細部を確認したり、A4サイズ以上の大きな用紙にプリントすれば、一見して解像度が違うことがわかります。同じ画素数の機種同士でも明らかに画質の傾向が異なる例もあります。
 でも、少なくとも200万画素以上のデジカメの画質については、「機種による実用上の大きな差」はありません。私は、この「200万画素以上」を「150万画素以上」あたりまで広げても構わないと思っています。私が「実用上の大きな差はない」と言う時の「実用」とは、用途面では概ね「日常生活や旅行時の画像記録」といった利用形態の範囲を指します。
 また、画質の差を気にしないと言う場合の撮影画像の処理としては、基本的に撮影画像はパソコンのHDDに保管し、見る時には「パソコンのディスプレイに表示して見る」…という一般的な使い方が前提になります。日常使うパソコンのモニタの多くはXGA(1024×768dot)であり、大画面・高解像度モニタでもせいぜいSXGA(1280×1024dot)、UXGA(1400×1050)dotです。こうしたディスプレイでの全画面表示を上限とすれば、200万画素機で撮影した画像も400万画素機で撮影した画像も変わりません。
 さらに出力画像の処理については、「プリントするのはせいぜい2Lサイズまで」という条件が付きます。最もよく使うLサイズでプリントした画像を見る限り、200万画素でも400万画素でも、その解像度の違いはほとんど判別できません。
 ところで、「A4サイズにプリントするには400万画素以上が必要」…などと、よく書いてあります。しかし、A4サイズのプリント出力でも、壁に掛けて1m以上離れて見た場合、300dpi程度という人間の平均的な視力(目の解像度)では200万画素機で撮影した画像と400万画素機で撮影した画像の区別はつかないはずです。A4に出力した画像を30p以下の至近距離から「舐めるように見る」という状況の方が不自然だと思います。

 一般ユーザーがデジカメを使うケースにおいて、その全利用場面の80%ぐらいまでの範囲内では200万画素以上のデジカメの解像度が必要になるとは思えません。

■ショップの店員の意見を聞くな

 デジカメ購入時に、ショップ店員に意見を求めることは、ほとんどのケースで無駄です。特に大規模量販店の場合、デジカメ売り場にはメーカーの派遣店員がいることが多く、彼らは当然、自社製品を勧めます。量販店の店員の場合、販売奨励金が多い機種や在庫過大で困っている機種を勧めてきますので注意してください。
 小さなショップで顔なじみの詳しい店員が教えてくれる…というケースも微妙です。相手がデジカメに詳しければ詳しいほど、「その人の価値観」を押し付けられます。これは「評論家の話を聞いてはいけない」というのと同じ理由です。
 実機を見るため、情報を得るためにショップへ行く際には店員の意見を聞くのも面白いでしょうが、購入が目的でショップへ行く場合、店員の意見などには耳を貸さず、自分があらかじめ決めた製品を購入するようにしましょう。

■画質以外の選択基準を大事にする

 「Aという機種はBという機種よりも画質がよいのでお勧めです…」という言葉は、デジカメを比較した場合に必ず使われるフレーズです。なぜ、こうした書き方がされるかというと、デジカメの良し悪しの尺度に「画質」をもってくる人が多いからです。
 確かに、「まず画質にこだわる」という判断基準は、数年前までは有効でした。普及価格帯のデジカメの画素数が100万画素あたりが上限だった時代です。この頃のデジカメ画像の画質は、機種によってかなり大きな差がありました。
 普及価格帯のデジカメの画質が全般的に著しく向上し、機種間の画質差がほとんどなくなった現時点においては、デジカメの良し悪しの尺度、すなわち選択基準の中で、「画質」は2番目以下に持ってくるべきだと思っています(一般的なアマチュアユーザーのケースです)。解像度(画素数)比較が無意味なだけではありません。「発色の良否」もよく話題になっていますが、これだって実用レベルで考えるとたいして意味はありません。人間の記憶色なんて曖昧なものですし、色彩認識能力には個人差もあります(こちらを参照)。
 私の場合、価格、携帯性、デザインあたりが主要な選択基準で、画質はその次ぐらいに来ます。これはけっして、私が特別だからではないと思います。デジカメの選択基準は、結局は「使い方」に帰結するからです。例えば、私は500万画素の「COOLPIX5000」と130万画素の「DSC-U10」の両機種を所有していますが、日常的なデジカメの利用においては、DSC-U10がメインのカメラで、COOLPIX5000はたまにしか使わないサブカメラです。仮に1台しか持たない…という条件で、この2台でどちらを購入するかと比較した場合、私にとっては「DSC-U10」の方を選択します。
 「デジカメは画素数だけでは決まらない」とはよく言われますが、「画質だけでは決まらない」とまで言い切る人は多くはないでしょう。私は、デジカメを選択するにあたって、画質よりも大切なもの…があると思っています。画質より大切なもの…とは、「たくさん撮る気にさせるデジカメ」ということであり、それは「毎日持ち歩けるデジカメ」ということでもあります。

■ズームレンズの有無や倍率は、あまり気にしない

 ズームの有無やズームの倍率も、デジカメの重要な選択ポイントと考える人が多いようです。私は、これも「どっちでもいい」に近いと考えています。確かに高倍率のズームは面白い。ズーム無しのカメラでは絶対に撮れない画像を撮ることができます。
 極端な考え方ですが、私は3倍程度までのズームなら、あってもなくても撮れる写真に大きな変化はない…と考えています。ズームの画角変化を必要とするケースの大半は、自分が撮影位置を変えればいいだけのケースです。でも「自分が動けないシチュエーションもある」と言う反論に対しては、「そんなシチューションは少ない」と言っておきます。
 ズームを搭載してデカい機種と、単焦点で非常に小さい機種があれば、私は単焦点の小型機種を選びます。サイズが同じでズーム搭載/非搭載機を選ぶことになったら、ズームを搭載することによる起動時間の遅れをよく考えます。まあそんなことを比較する以前に、ズームを搭載していようがいまいが、小型でカッコいい方のデジカメを選択します。

■操作性の良し悪しの判断は、主観によるところが大きい

 「操作性」というのも、確かに大きな選択基準の1つです。でも、雑誌記事などに他人が書いている操作性に関する論評は、全く当てになりません。デジカメのライターが「この機種の操作性はよくない」と書いている文章は、あくまで「そのライターにとって操作性が悪い」という意味でしかありません。
 操作性というのは不思議なもので、人間は「学習し、慣れる」ことで、操作性の良し悪しをある程度平均化する能力を持っています。ライターはメーカーから試用機を借りて短期間だけ試用した結果で操作性の良し悪しを判断します。そのライターだって、実際に操作性が悪いと判断した機種のユーザーになって長時間使用すれば、操作に慣れてきて「使いやすい」と感じる可能性が高いのです。結局、デジカメ新製品の操作性の良否は、ライターが個人的に気に入っている特定機種を基準に判断していることが多いはずです。デジカメユーザーに質問してみるとわかりますが、自分が長く使っているデジカメについては、機種を問わずその操作性を「良好」と判断するのが普通です。
 さらに、「よく使う露出補正がメニューの第2層になっているので操作性が悪い」…という論評があったとしましょう。これは「露出補正をよく使う人にとっては操作性が悪い」ということであって、「露出補正など使わない人には関係のない話」です。
 操作性なんてものは、使い方でその基準が変わるものです。使う人間の経験値によっても変わります。現行の日本製の工業製品は、概ね操作性に関してかなり配慮してデザインされており、デジカメも例外ではありません。コンシューマ向け工業製品として一定以上の水準を満たしている現行デジカメ同士を比較した場合、「操作性」の良し悪しに客観的な基準はありません。

■デジカメ画像のプリント画質にはこだわらない

 もしあなたが、これまで銀塩フィルム式のコンパクトカメラや一眼レフカメラを愛用していて、撮った画像をいつもプリントして楽しんでいたのであれば、銀塩コンパクトカメラの代わりにデジカメを購入することはほとんど無意味です。カメラはあくまで撮影画像をプリントして楽しむものだ…と考えているのなら、デジカメを購入するのはやめましょう。特に、年間のフィルム消費量が20本以下程度で、その代替にデジカメを購入しようとしているのなら、コスト面でもデジカメを購入するメリットはほとんどありません。

 プリントするのであれば、デジカメよりも銀塩カメラの方がはるかに画質は上です。200万画素のデジカメで撮影した画像のプリントは下手すると使い捨ての「写ルンです」よりも画質は低いし、400万画素のデジカメで撮影した画像のプリントは2万円程度の銀塩コンパクトカメラで撮影した画像よりも低い画質…と思ってください。
 むろん、時々インクジェットプリンタでプリントしてみる程度なら、デジカメの楽しみ方の1つでしょう。でも、Lサイズにプリントするのなら130万画素で十分ですし、前述したように2Lサイズ以下までなら200万画素の撮影画像も400万画素の撮影画像も、その違いはほとんどありません。
 基本的には、プリントしないでパソコンの画面上で見て楽しむことができるからこそ、デジカメの存在意義があります。プリントすることが絶対的な目的なら、デジカメを購入する必要はありません。これは多大な反論を覚悟の上での見解です。デジカメよりも高画質で安価な銀塩フィルムカメラを使いましょう。

■初心者のための、正しいデジカメ購入法(笑)

 あなたは、初めてデジカメを購入しようとしています。でもデジカメは種類が多い。何を買っていいのかわかりません…、こんな時どうすればよいのでしょうか?
 パソコン雑誌の記事でも読んで、少しデジカメについて勉強してもいいし、誰か詳しい人に聞くのもよいでしょう。でも、記事を書いている人達は、「自分がよいと思う機種」を勧めています。そこには、「客観性」なんてありません。
 他人の勧めに従うよりも、やはり自分で気に入った機種を買った方が後悔しません。そこで、次のような手順を踏んで購入しましょう。

・まずは雑誌やWebなどで最新機種のリストを見る

・メーカーや機能に関係なく、購入予算に合った機種だけを選択する

・Webサイトかカタログで外観やデザインを見る

・カッコいいと思った順に5機種ほど選ぶ

・お店に行ってこの5機種の実物に触ってみる
(ここで店員の言うことは無視する)

・デザインやサイズなど、いちばん気に入った機種を購入する
(なるべく小型のデジカメを購入する)

 これが、初心者の正しいデジカメの購入法です。「価格とデザイン」以外の要素を一切無視する購入法ですが、多くの場合「いろいろな雑誌を読む」「いろいろな人の意見を聞く」よりも、愛着のある気に入った機種を購入できるはずです(日常記録用としてですが…)。なんたって、デジカメは「機能よりもカッコが第一」です。


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