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私にとってのDSC-MZI…  (超私的評価)

 それなりに話題になっているDSC-MZ1、様々な条件下で撮影してみましたが、現時点で特に静止画撮影機能面での大きな不満はありません。レンジ感はほぼ期待通り、解像度も十分ですし、あらゆる条件で「よい写真」を撮ることができます。200万画素機としては間違いなく秀逸なカメラでしょう。こうした評価をする反面、使い込むに従ってちょっとネガティブな感想をも抱きつつあります。つまり、DSC-MZ1は自分の撮影スタイルを満足させてくれない部分があるのです。
 というわけで、DSC-MZ1に関する現時点での、ほぼ確定した自分なりの評価を書いてみます。個人の撮影スタイルを前提にしているという点で、きわめて個人的かつ偏った評価です。第一、一般的な評価が高い動画撮影機能を全く評価していません(こちらに書いた通り)。
 誰かに納得してもらいたいわけではありませんので、同意の意見も反論も受け付けません。自分の意見とは違う…という方は、無視して頂くのが一番です(笑)。

実写レポートNo.2はこちら


■機能と画質は、ほぼ文句なし

 ごく普通に撮影する限り、失敗写真となることはあまりありません。まずもって、200万画素にしてはレンジ感と解像度感はほぼ文句なしです。特に階調表現は非常に豊かで、あらゆる被写体の質感た存在感を引き出してくれます。
 発色も悪くありません。多少、赤系統の色が強調されるキライはありますが、全案的には比較的ナチュラルな発色と言えるでしょう。
 また、あちこちで囁かれている「バッテリー寿命」に関しても、特に文句はなし。私のように、光学ファインダー利用をメインで静止画を撮影している限りでは、コンスタントに300枚程度は撮影できます。これなら十分です。

■意外に「外れショット」が多い。

 「外れショットが多い」という評価は、上述した「ごく普通に撮影する限り、失敗写真はあまりない」という言葉と完全に矛盾することは承知の上で書いています。ここで言う「外れショット」とは、「意図通りの画像ではないショット」のことです。DSC-MZ1は、"撮りたいように撮れない"というケースが、思ったよりも多いのです。
 繰り返しになりますが、DSC-MZ1に「失敗ショット」が多いというわけではありません。被写体にカメラを向けて普通にシャッターボタンを押せば、それなりの高画質画像を撮影できるのは、前述した通りです。  しかし、かなり高い確率で、その時の"空気感を捉えていない"画像があるような気がするのです。それは、「抜けるような青空」だったり、「きらめく水しぶき」だったり、「燦燦と降り注ぐ太陽」だったり、そういったものです。
 まずは露出です。屋外の風景撮影では全般的に露出がアンダー気味になります。でも、すべての画像がアンダー気味かというと、時々かなりオーバーな画像になったりもします。周囲の照度はむろん、狙った被写体の明るさ、被写体の周囲の明るさなどの影響を考慮しても、なんとなく予想外の雰囲気の画像になることがあるのです。下に並べた撮影画像は、その「空気感」を捉えていないと感じた画像群です。
 次にピントです。マクロ撮影では、後ピンになるケースが意外に多い。また望遠側で撮影するポートレートについても、時々思うようにピントが合わないことがあります。
 これはあくまで感触ですが、ただ構えて撮るだけなら、例えば150万画素のFinePix1500の方がベストショットが撮れる可能性が高いようです。
 ただし公正に考えれば、この評価については見方によります。どんなデジカメでも、はたまた銀塩カメラでも、意図通りの画像が撮れないことはけっこうあります。結局のところ、これはDSC-MZ1に期待し過ぎたからでしょう。


晴天下の乾いた空気感が
表現されていない

同左

同左

解像度は十分だが…

■なんとなく自然に撮影できない

 これも非常に主観的な評価ですが、DSC-MZ1はどことなく"自然な撮影スタイル"で撮りにくい部分を感じます。うまく言えないのですが、DSC-MZ1が「あまりにも"デジカメ的"過ぎる」というのが、その理由です。DSC-MZ1は、実に"デジタルな"カメラです。操作感やボタン・スイッチ類の配置など、銀塩カメラとは全く異なる志向を持った作りがなされています。
 私は銀塩カメラも使いますが、だからと言ってデジタルカメラは銀塩カメラに近づくべきだなどとは全く思っていません。デジカメにはデジカメの歩むべき道があるということは十分に承知です。そんな私ですら、DSC-MZ1というカメラを構えると、「デジカメ」ということを意識し過ぎてしまうのです。この感覚は、DSC-MZ1の持つ多様な機能と、デザインや操作性の全てが複合して感じるものです
 しかし、「DSC-MZ1はあまりにデジカメ的過ぎる」というのは、これまた不当な評価かもしれません。「デジタル的だからいい」というユーザーも多いでしょうから。

■日常持ち歩くカメラとしては"ベスト"ではない

 DSC-MZ1の重量とサイズのバランスはけっして悪くはありません。手ブレもしにくいカメラです。にもかかわらず、ホールディング時の違和感が抜けません。右手のグリップがしづらい点、前にも書いた右手の親指が液晶モニタにかかる点、そして光学ファインダー撮影時のグリップの不自然さ…などが相まってのことです。また、本体の厚みもあまり具合よくありません。
 こうした操作性、サイズ、重量、そして上述したように"自然に撮影できるかどうか"…といったいろいろな点を考慮すると、日常持ち歩くカメラとしてはDC3800やFinePix1500の方が上です。むろん、この評価には、「あくまで私にとって…」という条件付きのものです。
 DSC-MZ1は、パッと取り出してパッと撮る…感覚にならないのが、なんとなく気に入らない部分です。これは、起動時間や記録時間の問題を言っているのではありません(これらの点で大きな不満はありません)。でも、もしDSC-MZ1が単焦点レンズで発売され、もうちょっと小型・軽量でレスポンスがよければ、さらに愛着がわいたかもしれませんね。
 DSC-MZ1を構えると、ついつい「こんな雰囲気の画像を撮るにはどうしたらいいか」とか、「こういう感じで撮ろう」とか、いろいろと考えてしまうのです。

■あらためて高い評価をする部分

 反面、使い込むに従って評価が高まった部分もあります。
 まずは「ブツ撮り」です。私は仕事で、雑誌に掲載するためにパソコンのちょっとしたパーツなんかを撮影する必要があります。ここのところは、こうした用途にはFinePix4900zを使っていました。このブツ撮りについては、みかけによらずDSC-MZ1は向いています。マクロ、ストロボ撮影など、あらゆる条件下で、そこそこの画像を撮ることができます。
 低照度下の屋内撮影に強いことも、あらためて高い評価をしたい部分です。人工照明下でも、ホワイトバランスがオートのままで比較的自然な発色の画像が得られます。


薄暗い店内の雰囲気がよく出ている

暗い屋内と明るい室外の対比がいい

手持ち撮影の夜景
実際の雰囲気どおり

■結局のところ…

 私は、DSC-MZ1を「レタッチを前提とする素材画像のレベルでは非常に優秀な写真が得られるカメラ」と考えはじめました。かなり優秀な素材画像が得られるカメラです。わざわざ「ワイドレンジショット」を使わなくとも、通常のオート撮影で十分なダイナミックレンジが得られます。従って、一見してつぶれているところ、白飛びしているところも、レタッチをすると、たいていはちゃんと画像が出てきます。
 見かけ上の画像がどうあろうとも、高い解像度があって階調が表現されている限り、どのようにでもレタッチが可能です。
 要するにDSC-MZ1は、「シャッターボタンを押して撮るだけ」のデジカメではないような気がしています。クセを知ってこまめに補正してやることで、よい写真が撮れるカメラです。その場で補正するのでなければ、後からレタッチする必要があります。
 私は、今後は「日常カメラ」としては、DSC-MZ1をあまり使わないかもしれません。その代わり…と言っては何ですが、取材も含めた仕事用カメラとしては活躍することになりそうです。

 発売直後のDSC-MZ1に関する私的な論評は、ひとまず本稿で終りにします。


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