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D-snap(SV-AV10)の使用感    2002/2/2

 浜崎あゆみをキャラクターに使ったD-snap(SV-AV10)のポスターが駅や街に溢れています。松下電器がこのD-snapの販売に力を入れているのがわかります。
 D-snapは「SDマルチカメラ」と称する、小型・軽量のMPEG-4動画カメラ。MPEG-4録画機能を内蔵してAVレコーダー兼ビュアーとしても使える他、AAC方式のシリコンオーディオレコーダー/プレヤーとしても利用することが可能です。
 ここでは、動画/静止画撮影カメラとしての機能や画質を中心に、操作性も含めたインプレッションをお届けします。


■デザインと機能

 液晶モニタを畳んだ状態でのデザインは、小さくてシンプルで申し分ありません。ともかく軽くて、薄くて、小さい。タバコサイズというか、ワークシャツの胸のポケットやスーツのポケットに入れておくと、入れておいたのを忘れるほど。デザインの好き嫌いは別にして、このサイズにまとめたのは、たいしたものです。
 シリコンオーディオプレヤー(レコーダー)としても使えますが、このサイズなら一般的なMP3プレヤーと同等のサイズです。ただし、D-snapの音楽フォーマットはMP3ではなくAACです。
 可動式の液晶モニタの採用がポイント。撮影スタイルの自由度を高めてくれます。180度回転させて畳むとモニタ表示面を表にする事が可能。この状態で、動画ビュアーとして使えます。
 液晶モニタの開閉のためのラチェット部分が、固めでちょっと脆弱な感じ。長期に渡る頻繁で乱雑な開閉に耐えられるかどうか、ちょっと心配です。
 外部インタフェースは、録画用AV入力端子のみ。出力端子は一切ありません。従って撮影した動画・静止画データをパソコンに転送するのは、SDカード経由だけ。割り切っていると言えばその通りですが、SDカードリーダーは、CF/スマメのリーダーほど普及していないだけに、一般ユーザーにはちょっと厳しいかもしれません。
 バッテリーは薄型のリチウムイオン電池で、携帯電話用バッテリーに類似したタイプです。液晶モニタの反対側の側面をスライドさせて交換します。ACアダプタは240Vに対応していますから、海外での利用も心配なさそうです。
 ただし、バッテリーはあまり長く持ちません。だいたい、静止画を20〜30カット、1分程度の動画を10本ほど撮影するとバッテリーマークは半分ほどになります。最終的には、静止画50カット、1分程度の動画20本ぐらいでバッテリーはなくなります。公称持続時間の半分程度しか持たない感じです。やはり、常時液晶モニタを表示しっぱなしの上、モード切替などに時間を使うのが原因でしょう。

■パッケージング

 パッケージングには少し問題があると思います。コンセプトとターゲットユーザーから見て止むを得ない部分がありますが、ネット利用を目的とする動画撮影カメラとしては不満を持つ人が多いかもしれません。
 まず本体だけを購入してもデータを読み出すことはできません。要するに本体にパソコン接続インタフェースはなく、当然SDメモリカードリーダーも別売です。さらにMPEG-4動画の簡易編集ソフトもオプションです。購入時の標準的なパッケージング内容は、カメラで動画や静止画を撮影して、本体のモニタで再生して楽しむ…ことが基本です。その他AV入力用ケーブルが添付されているので、MPEG-4レコーダ兼ビュアーとして使うことができます。これはこれで面白い使い方なのですが、撮影画像をパソコンで楽しめないのはなんとなく釈然としないですね。
 私のように、eggyユーザーであったり、カードリーダーを持っていたりすれば、パソコンで動画を編集していろいろと楽しむことができますが、初めてこのカメラを購入したユーザーは、別にSDカードリーダーを個人で購入し、しかも撮影した動画は編集もせずにそのまま楽しむことしかできないわけですね。一般的なスマメやCFを使っていないわけで、SDカードリーダーというのはほとんどの人が持っていないと思います。つまり必ず購入しなければならないってことです。さらに同梱のSDカードが8MBであり、これは176×144dotのノーマルモードの動画で3分しか記録できません。日常的な撮影を楽しむには最低でも64MB以上のSDカードが必要です。
 こうなるとD-snapの購入者がパソコンで撮影画像を処理して楽しむためには、本体以外に大容量SDカードとSDカードリーダー、簡易編集ソフトを購入することになり、合わせて最低でも15,000円程度の追加出費が必要になります。これは多くのユーザーにとって痛いはず。
 メーカーはD-snapの販売にあたって、「パソコンで楽しむためには別売のSDカードリーダーが必要です。添付のSDカードでは3分間しか動画記録ができません。長時間録画のためには大容量SDカードが必要です」…と、誰にでもわかるように明記すべきでしょう。

■撮影スタイル

 光学ファインダーないので、液晶モニタを開いて右手で構えます。普通に真横に液晶モニタを開くと、モニタが目の前にくるように顔の前の位置で構えることになります。この場合は要するにDVと同じ撮影スタイルになるわけで、DVでの撮影に慣れているユーザーにはおなじみの撮影スタイルでしょう。でもこの撮影スタイルには、はっきり言って違和感があります。D-snapはせっかくこんなに小さくてスタイリッシュなカメラなのに、撮影スタイルが大げさになる感じ。どこから見ても、カメラかビデオを撮影している…って感じになりますよね。
 しかし、D-snapの液晶は可動式ですので、液晶画面の方向を自由に設定できます。私は、液晶モニタを斜め上向きにして、胸より下の位置で構えるスタイルで撮ります。この方が自然で、街中の撮影や人物相手の撮影時には自然なポジションだと思います。低く構えて撮る場合、シャッターボタンを親指で押します。液晶モニタは可動ですが、eggyやVN-EZ5のようにカメラ部分は回転しません。

 2型、11万画素の液晶モニタの見易さは特筆すべきです。明るくてコントラストが高いもので、eggyではほとんど視認できない直射日光下でも十分に視認することが可能です。これはビュアーとしての利用も想定しているD-snapだけのことはあります。

■操作性

 基本的にはシャッターボタン以外には、2つのボタンと1個のジョグダイヤルで全ての操作・設定を行います。けっしてわかりくい操作系ではありませんが、操作性がよいとも言えません。
 一般的に、機器の大きさと操作性はバーターの関係にならざるを得ません。小さいカメラほど操作性を良くするのは困難。D-snapはここまで小さいわけですから、一般的な意味で操作性がよいわけはありません。ボタンは小さいし、メニュー画面からの選択・決定についても、小さなジョグダイヤルとMENUボタンを使い分ける必要があります。
 むろん、このサイズの機器にここまでの機能を詰め込んだのですから、多少操作が煩雑になることは、止むを得ないことです。
 もっとも不満なのは、ともかく電源をONにして液晶モニタを開いて、さらにメニュー画面からモードを決めてからでないと、事実上の撮影がスタートできない点です。電源をONにするか、液晶を開いたら、とりあえず静止画か動画の撮影スタンバイ状態になっているべきだと思います。「気軽に撮影する」という感覚はありません。

■MPEG-4録画(リアルタイムエンコーディング)機能

 これはD-snapの目玉機能となるでしょう。ハードウェアでMPEG-4リアルタイムエンコーディングが可能な製品と言えば、これまでのところ、SHARP「VN-EZ5」と「CE-VR1」だけでした。このD-snapは、TV番組などを直接録画して、それを電車の中などで再生して楽しむことができます。英会話講座などを録画しておけば、通勤時間にお勉強ができるというわけです。
 特筆すべきは、「録画タイマー」機能を持っていること。この点だけをとっても、D-snapが「AVレコーダー&ビュアー機能」に注力していることがわかります。
 しかし、問題がないわけではありません。標準バッテリーでの連続再生時間は約60分です。朝夕の通勤時を想定してモバイルビュアーとして使うにはちょっと短すぎる感じです。
 レコーダー兼ビュアーとして使うためにも、やはり大容量メディアが必要になります。ノーマルモード(176×144dot)で1時間録画するためには、最低でも128MBのSDカードが必要なのです。SDカードは現時点でもCFカードの2倍以上の価格ですから(現時点で1万円以上)、いろんな番組を録画する為に複数枚の大容量SDカードを購入するとなるとかなり出費が嵩みますね。


D-snapの画質 に続く…


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