ボランティア

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ボランティアを志す若者 2003/7/5

　先日会った、大学生A君との会話です。現在A君は大学4年生ですが、卒業後は就職をせずに、ボランティア活動をやりながら人間的に生きることを目指しているそうです。

yama「ところで、卒業後はどうするの？」
A君「僕はボランティアをやりたいと思ってるんです。大学のサークルで、駅や公共施設のバリアフリー化状況を調べて改善点を自治体に提案する…という活動をやってました。それ以外にも、バリアフリー化が進んでいない駅や公共施設に待機して、ハンディキャップがある方の行動のアシストをする…というボランティアもやっていました。あまりよい就職先もないし、卒業後も現在の活動を続けたいと思っています」

yama「立派な社会活動だと思うし、ボランティアもとてもいいことだけど、仕事はどうするの」
A君「いや、決まった仕事をせずに、ずーっとボランティアをやっていくつもりです。いずれは現在の団体をNPOにして、資金を確保しながら活動を続けるつもりです」

yama「でも、NPOの専従では経済的にきついだろ？それにNPOが認可されるまでとか、食べていけるの？」
A君「NPOになるまでは、バイトで食いつないでいくつもりです。それに実家に親といっしょに住んでいるので食べていくには困らないし、将来も必要以上にお金を稼ごうなんて気持ちはないですから」

yama「NPOになったら、スタッフにまともな給料は出せるの？」
A君「何か収益源を確保するつもりですし、いろんな企業から協賛金や寄付金を集めるつもりです。現在の仲間全員が食べていけるぐらいは、お金を集められると思います。また、どんどんスタッフを増やして活動の規模を広げて行きたいと思ってます」

yama「ところで、ボランティアって、ちゃんと自分の仕事をやって稼いでいる人が、仕事の余暇に手弁当で手伝うものじゃないの？」
A君「僕は、あくせく仕事をする気はないんです。それに、サラリーマンになって働くよりは、ボランティアとして社会の役に立っていきたいんです。ところで、yamaさんはボランティアはやらないんですか？」

yama「ボランティア活動なんかやってないよ。毎日仕事が忙しくて…」
A君「どうして、そんなに仕事ばかりするんですか？ yamaさんも、仕事ばかりやってないでもっと社会の役に立つことをやるべきです」

yama「でも、君たちは企業から広く協賛金を集めてボランティア活動をやっていくつもりだろ？それに自治体がバリアフリー化を進めるためには、税金が遣われるんだろ？誰かが懸命に働いて経済活動をやって、社会全体の生産性を上げなければ、そういうNPOのスタッフを養ったりすることも、バリアフリー化するために税収を増やすこともできないんじゃないか？それに、毎日仕事をやっているのは社会の役にたっていなくて、仕事をやらずにボランティアをやってると社会の役に立ってる…ってこと？」
A君「自分は、父親のようなサラリーマンになって奴隷のように働くつもりはありません。あんな生活は非人間的です。お金や世間体にこだわらない、もっと人間的な生き方をしたいのです。」

yama「要するに、働くことは他人に任せて、自分は社会や親に寄生して楽に生きていきたいわけだ。それに君は、奴隷のように非人間的に働いている…という自分の親に、これからも食べさせてもらうんだろう？」
A君「ひどいことを言いますね。今だってけっこうハンディキャップを持つ人たちから感謝されてるし、生きがいも感じてるし…。自分は、ただ人間的に生きたいだけです。社会の役にも立ちたいし…」

yama「そうすると、ボランティアなんてやる暇もなく、毎日懸命に働いている私や世間一般のサラリーマンは非人間的で、そういうところから寄付金を集めてボランティア活動をやっている君のような人たちは人間的なわけなの？」
A君「その通りです」

yama「そうなると、世の中の人全員があくせく働くことをやめて、君のように人間的に生きることを目指すとしたら、誰が社会インフラを維持するための生産活動に従事するの？税金は誰が納めるの？」
A君「…？」

　まったく噛み合わない会話が続きました。私はニコニコしてA君と話しながら、「こいつは救いようのないバカヤロウだ！」との確信が深まっていきました。
　誰か、こういうヘンな若者に、「社会の仕組み」をちゃんと教えてやって下さい。今の大学では、教えないようですから…