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Parts Impression No.1

 様々なパソコンパーツのインプレッションを書きます。
 本稿は、いろいろなパソコン雑誌向けに書いた原稿をリライトしたものであり、掲載雑誌発売後2ヶ月以上経過したものになります。従って、最新パーツのインプレッションではありません。


■MSI 「K7N420 Pro」
   2001/10/15

●nVIDIA社製の統合チップセットを搭載
 Athlon/Dulon対応マザーボードに注目すべき新製品が登場した。今回紹介するのはMSI「K7N420 Pro」で、チップセットに「nForce 420D」を採用している。「nForce 420D」はビデオカードで知られるnVIDIA社が初めてリリースした統合型チップセットで、定評ある同社のグラフィック機能を内蔵しているのだ。
 nForce420Dは、North Bridgeに相当するIGP(Integrated Graphics Processor)とSouth Bridgeに相当するMCP(Media and Communications Processor)で構成されている。ICPとMCP間は、AMDが提唱する次世代のI/Oバス規格「ハイパートランスポート」で接続され、最大毎秒800MBのデータ転送が可能になった。従来のチップセットのNorth Bridge−South Bridge間のデータ転送が最大266MBであったのと較べて約3倍のスピードであり、今後普及する各種高速インタフェースへの対応は万全である。
 もう1つの注目点は、ツインバンクメモリーアーキテクチャーを採用していることだ。これは128bitのメモリインターフェースであり、2つのメモリーチャンネルから同一メモリに同時にアクセスした場合、メモリのデータ転送速度は最高で4.2GB/sec(通常の2倍)となる。DDRメモリの採用と合わせて、高速のメモリアクセス環境を実現する。なお、「nForce 420D」の下位チップセットとなる「n Force220」には、このツインバンクアーキテクチャーは採用されていない。

●オーバークロックにも対応する
 さて、「K7N420 Pro」の一般仕様を見てみよう。ATXフォームファクターを採用し、305×225oと標準的なサイズだ。マザーボード上にはIGPチップセットが斜め方向に配置され、ヒートシンクが載っているのが目を引く。スロット構成は、PCI×5、CNR×1、AGP×1。メモリスロットは3本で、DDRメモリのみに対応する。最大搭載メモリは1.5GBだ。斜めにマウントされたチップセットを除けば、マザーボード上のパーツ配置は一般的なもの。ただし、電源コネクタとLAN/USBコネクタが非常に近い位置にあり、電源コネクタの抜き差し時には多少窮屈な思いをする。
 IDEはATA100をサポートしている。また、LANもオンボードで搭載する。USBポートはI/Oパネル部に2ポートのほか、ブラケットに2ポートあり、計4ポートを利用できる。このUSBポート用のブラケットは「D-Bracket」と呼ばれ、USBポートの他に4つのLEDが付いている。このLEDランプの点灯の組み合わせがシステムデバッグ用の信号となっており、ビデオやメモリなどに関するシステムからの警告を表示する。
 FSBはBIOS設定で変更が可能だ。デフォルトの100MHzから157MHzまで12通りに設定できる。コア電圧も-0.05V〜+0.1Vの範囲で6通りに設定可能であり、オーバークロック動作が可能だ。前述の「D-Bracket」の警告信号もオーバークロック時には有用なものとなる。
 「MSI K7N420 Pro」にはドライバCD-ROMが添付されており、Windowsインストール後にシステム、サウンド、LAN、ビデオ、の各ドライバをインストールする形となる。

●注目のグラフィックス機能とサウンド機能
 IGPに内蔵される内蔵のグラフィックコアはnVIDIA「GeForce2MX」に相当するものだ。ただし、一般の「GeForce2MX」ビデオカードがAGP×4であるのに対して、AGP×6で内部接続されるため比較的高い性能を発揮する。外部AGPスロットは×4までのサポートとなる。ビデオメモリはメインメモリからのシェアで、デフォルトでは最大の32MBが割り当てられている。また、オプションで内蔵グラフィックのテレビアウトカード「MS-6952」が用意されている。
 グラフィックスだけではなく、MCPに内蔵されるサウンドにも注目だ。サウンド機能は、2chステレオはむろん、5.1chのドルビーデジタルに対応している。さらに、ドルビーデジタル5.1のデコーダだけではなくリアルタイムエンコードができるのだ。ドルビーデジタルのエンコード機能は、ゲームなどのサウンド再生時に利用するために搭載されたもの。いまのところ対応するゲームはないが、今後の発売が期待されている。なお、ドルビーデジタル出力用のブラケットも添付されている。

 ところで、nForceのグラフィック性能を体感すべく実際に3Dゲーム「Quake3 Arena」をプレイしてみたが、解像度800×600ドットでのプレイはほとんどストレスを感じない。最新の3Dゲームを高解像度でプレイ…というのでなければ、ある程度のゲームプレイはオンチップのグラフィックで十分だという印象だった。
 このMSI「K7N420 Pro」、本稿執筆時点での実売価格が2万4千円程度である。DDRへの対応といい、ハイパートランスポートの採用といい、統合型とはいえAthlon/Duron用マザーとしてはハイエンドに属する。そうなると、このGeForce2MX相当のグラフィックス機能というのは、ちょっとひっかかる部分だ。これだけの価格のマザーとDDRメモリ、さらにはドルビーエンコード機能を要求するユーザーの場合、もう少し高い描画性能のグラフィックスカードにニーズがあるのではないだろうか。確かに従来の統合型チップセットと較べるとnForceのグラフィック性能は一頭地抜け出るものだが、グラフィックス以外の機能がハイエンド相当だけにコンセプトには多少中途半端なイメージもある。ビジネス用途には過ぎたる性能だが、最新3Dゲームのプレイ用にはもの足りないのだ。
 nForceチップセット搭載マザーボードは、MSIに続き、ギガバイトやAsusなど主要マザーボードメーカーからリリースされる予定である。


■長瀬産業「TRASGEAR DVD-B300-P」   2001/10/14

●CD-Rドライブ感覚で手軽に使える
 今回紹介する長瀬産業「TRASGEAR DVD-B300-P」は、松下電器製のドライブユニットを使った低価格のDVD-RAM/Rドライブである。対応するフォーマットは、書き変え可能型のDVD-RAM(片面4.7GBまでのメディアに対応)、ライトワンスのDVD-R、そしてDVD-ROM、CD-R/RWの読み出しができる。定価は4万4,800円、現時点で最も安い実売価格のDVDドライブということになる。
 内蔵型のドライブである「DVD-B300-P」のパソコンとの接続方法は、通常のCD-ROMドライブと全く同じだ。IDEに「DVD-B300-P」を接続して起動したパソコンは、「DVD-B300-P」をCD-ROMとして認識する。その後、添付のドライバをインストールすることで、挿入したDVD-RAM、DVD-Rを認識する(DVD-RAMは「リムーバブルディスク」として認識される)。実際にi815チップセット搭載パソコンに装着してみたが、WindowsMeの標準添付のドライバであっさりと認識、添付ドライバによるDVD-RAMドライブとしての認識も全く問題はなかった。自作PCにはこれ1台あれば、通常のCD-ROMドライブとしても利用可能である。

●豊富で使いやすい添付ソフト群
 現時点におけるDVDの最大の用途は、DVDビデオソフトの作成であろう。DVカメラの映像を編集してDVDタイトルを作ったり、パソコンで予約録画したTV番組をDVDに焼いたり…といった使い方である。「TRASGEAR DVD-B300-P」は、豊富な添付ソフトでこうしたDVDソフト作成をこなすことができる。ただし、DVDビデオの編集ソフトのみは添付されていない。
 まず、基本となるDVD-RAM/Rのデータ書き込み用のソフトには、「primoDVD」が添付されている。データ、オーディオ、マルチセッションなど様々な形式でディスクを作成できる。市販ソフトの簡易版だが、通常の利用においては機能に不足はない。
 「CAMpeg RT」は、DVカメラ映像をMPEG2に変換するためのソフト。通常は、DVカメラ映像をMPEG2に変換するためには、映像を一度AVIファイルに変換しなければならないが、「CAMpeg RT」を使えば、DVカメラをダイレクトにDVD-Video用のMPEG2映像に変換してくれる。
 DVDオーサリングソフトとしては、「neoDVD」が添付されている。「neoDVD」は、AVI、QT、DV、MPEG-2形式の映像をDVDディスクに出力する機能を持っている。HDD内に保存されている動画をDVD−Video形式で焼いてDVDプレイヤーで見たい…という時には、この「neoDVD」を使えばOKだ。他に、「CinePlayer DVD」が同梱されている。

●DVDメディアの規格を理解して使おう  ドライブ価格がここまで下がりメディア価格も手頃になってきているので、そろそろDVD導入を考えているパソコンユーザーも多いはずだ。そこで問題なるのが、乱立するDVD規格。書き換え可能型メディアとしてはDVD-RAMとDVD-RWの2つの規格がある。システムのバックアップや大容量データの収納用に使うのならば、両者の使い勝手に大きな差はない。ただし、本製品も含めてDVD-RAMドライブの方が低価格の製品が多い。また、一般のDVDプレヤーで再生可能なDVDビデオタイトルを制作するなら、DVD-Rの「DVD-Video」形式でなくてはならない。こうしたことを念頭に置いて、自分の利用目的に合ったDVDメディアを選択する必要がある。
 「DVD-B300-P」は、一般のパソコンユーザーに手の届きやすい価格のDVD-RAMドライブである。添付ソフトは有名な製品ではないが、いずれも機能・使い勝手ともに良好だ。添付ドライバも安定しており、初心者にも安心して勧められる。


■Hercules「Prophetview 720」   2001/10/12

●「TFT-3生成LCD技術」で高速表示を実現
 ホンの1年前までは「液晶モニターはゲームに適さない」とされていた。CRTと比較して解像度や色数が劣り、しかも表示速度(応答速度)の遅さがゲームには致命的だったのである。特に動きの速い3Dゲームを液晶モニターでプレイすると、画面上を高速で動き回るオブジェクトに表示がついてこれず、残像が目立つ結果になった。しかし、ここ1年間の液晶モニタの高性能化はめざましく、普及価格帯の製品でも1600万色表示を実現し、またXGA以上の解像度を持つ大画面モニターの低価格化も進んでいる。
 こうした状況の中、Hercules社から"3Dゲームに適した液晶モニター"を称する「Prophetview 720」がリリースされた。Hercules社はビデオカードメーカーとして知られているが、液晶モニターの商品化は初めてである。
 「Prophetview 720」は可視域対角サイズ38.1cmの15インチモニターで、17インチCRTに相当するサイズ。推奨解像度は1024×768ドットで表示可能色は1670万色、垂直リフレッシュレートは最高75MHzだ。コントラスト比300:1、輝度230Cd/m2は、最近の液晶モニターの標準的なスペックだが、「Prophetview 720」の最大の特徴は「TFT-3生成LCD技術」を採用して応答速度を高速化している点にある。「Prophetview 720」の応答速度は約30msecであり、これは昨今の液晶モニターの中にあってはずば抜けた数値ではないものの、普及価格帯の液晶モニターとの比較では、まあ高速表示を達成している部類に入るものだ。30msecというのは、3Dゲームプレイ時の残像をなんとか抑えることが可能なスペックとされているのだ。
 チルトは後方20度、前方5度で、左右のチルトはないが、本体が軽量なので特に不便は感じない。視野角は左右140度、上下110度を確保する。また、モニターの右脇に装備されたボタンで、コントラスト、色温度、フォーカス等の設定を行う。このボタンはチタン製となっており、こうした細かい部分に対するデザイン上のこだわりを感じる。インターフェースはD-Sub15ピンで、RGBアナログ入力のみをサポートする。

●スタイリッシュな外観はイチオシ…しかし残像は残る
 実際に「Prophetview 720」を使用し、3Dアクションゲーム「Soul Reaver 2」をプレイしてみた。ポリゴンの動きをよく見ていると、確かに従来の液晶モニターと比べ、残像は減っているような気がする。しかし残念ながら、「あきらかに残像が減った」とまでは言えないレベルだと感じた。プレイするゲームにもよるのかもしれないが、残像を気にして見ながらプレイしなければ、従来の液晶モニターとの性能差は分からないレベルだ。「Prophetview 720」を使ってもなお、リアルタイムで動くポリゴンのエッジがどうしても「ブレて」表示されてしまう。CRTモニターでのプレイと比べれば、やはり残像は残るのである。スピードが重視されるシューティングゲームなど、この残像はどうしても気になるところだろう。
 最近は、普及価格帯の液晶モニターの中でも25msecという応答速度を達成している製品も登場しており、「3Dゲーム対応」を謳うのであれば、もう一段の高速表示を実現してもらいたいと感じた。
 さらに、液晶モニターの最大の欠点である「推奨解像度以外の解像度では表示が乱れる」点はいかんともしがたい。推奨解像度である1024×768ドット時の画面は、Windows画面、ゲーム画面ともに非常に鮮明に表示される。しかし、800×600ドットなど、解像度を変更すると、ゲーム中で表示されるテキスト表示などは乱れてしまう。

 表示性能についてはさほど特筆すべきアドバンテージを感じなかったが、「Prophetview 720」のスタイリッシュな外観は秀逸だ。まず、メタリックブルーのフレームにシルバーの台座が目を引く。そしてモニター部の奥行き20mm、台座でも160mmという省スペース設計は見事だ。本体重量も3.5kgと軽い。「取っ手」や「壁掛け用器具」などは付いていないが、シンプルな外観だけに余計な装備は不要だ。市販されている液晶モニターと言えば、そのデザインは似たりよったりである。いずれもビジネスパソコンと同系色のホワイト/ベージュ系の平凡なデザインの製品ばかりだ。これら一般的な液晶モニタと比較すると、この「Prophetview 720」のデザインは全く異なる次元のものである。最近流行のコンパクトでカラフルなベアボーンキットなどと組み合わせると似合うかもしれない。実売価格もさほど高くないだけに、デザインが好みにフィットすれば、それだけで十分に「買い」のモニターだと言えるだろう。事実、筆者は少なからずこの製品に触手をそそられている。
 「Prophetview 720」にはドライバCDが添付されており、マニュアルによると、「モニターはプラグアンドプレイで自動認識され、その後CDからドライバをインストールすればよい。」と記載されているが、今回WindowsMeマシンに接続してみたところ、自動認識はされなかった。しかしこの場合は、「ハードウェア追加」から「モニター」を選択してやれば認識するので、プラグアンドプレイで認識されないといってもあまり心配する必要はないだろう。
 ちなみにこの「Prophetview 720」は、パッケージにニューヨークのマンハッタン島を南側から空撮した写真を使用しており、今は無きWTCのツインビルが映っている。


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