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eggy写真紀行     「饅頭神社」を行く

 私は和菓子、とりわけ饅頭が大好きです。岐阜の金蝶園饅頭、岡山の大手饅頭、名古屋の納屋橋饅頭など、美味しい饅頭があると聞くと、どうしても食べたくなります。でも、一番好きなのは東京練馬区、豊島園の裏あたりの石神井川沿いにある小さな和菓子屋「三笠」の和菓子なのですが…。
 永年にわたって和菓子を食べ続けた私は、とうとう念願の「饅頭神社」を訪れました。これは、eggyで撮影した「饅頭神社」のルポです。



漢国神社・林神社

 近鉄奈良駅から歩いて2〜3分、大宮通り沿いに「漢国神社」があります。通りに面したところに赤い鳥居があり、左の石注に「林神社」と書いてあります。鳥居を潜って小路を行くと、突き当たりにひっそりと佇むように神社の入り口があります。


  

 
 訪れた時には木の扉が締まっており、丁寧に紐までかけてあったのですが、定められた開門時間内であったので、勝手にそっと門を開けて境内に足を踏み入れました。小雨の降る境内は、表通りの喧騒がウソのように静まり返っています。


 漢国神社が開かれたのは推古天皇元年(593年)と言いますから、古都奈良にあっても古い神社の1つ。勅命によって大神君白堤が大物主命を、さらにその後、元正天皇の養老元年(717年)に藤原不比等が大己貴命と少彦名命を合祀しました。……と聞くと、静かな中になにやら畏れ多い、神々しい雰囲気すら漂っています。




 漢国神社の境内はけっして広くはなく、入り口正面にあるお堂の他に、小さな鳥居を持ついくつかの神社があります。正面のお堂の右手に、目的の神社がありました。


 このお堂の両側にある2段重ねの鏡餅のようなオブジェ(?)を見てください。そうです、この場所こそが「和菓子・饅頭・たいやき」が大好きな私が探し求めていた「林神社」だったのです。この漢国神社内にある林神社には、日本に饅頭を伝えた林浄因と日本の菓祖田道間守(たじまもり)が祀られており、別名「饅頭神社」とも呼ばれているのです。

 餡の入った和菓子の原型ともいえる饅頭は、1350年に元から帰国した龍山徳見禅師に伴われて来日した林浄因が作ったものと伝えられています。日本に来た林浄因は、奈良に居を定め、中国の饅頭「マントウ」にヒントを得て、「饅頭」を作り始めました。肉が入ったものは仏様にお供えできないので、小豆を煮詰めて甘葛と塩で味を調えたものを、小麦粉で作った皮に包んで蒸し上げたのが、饅頭の始まりだそうです。



 林浄因の作る饅頭の美味しさは評判を呼んで、御村上天皇の耳にも届き、とうとう天皇に饅頭が献上されました。饅頭がいたく気に入った御村上天皇は浄因に官女を賜りました。その官女との結婚式の折に、子孫繁栄を願って丸い石の下に饅頭を埋めたのが、林神社の横手にある「饅頭塚」です。


 その後、林浄因は日本に帰化して現在の漢国神社のある林小路で店を開きましたが、非常に繁盛したとのことです。ちなみに林浄因から三十四代目の子孫が経営するのが塩瀬総本家です。


 毎年、林浄因の命日である4月19日の午前10時から、全国の和菓子業者や饅頭職人が集まって例大祭(饅頭祭)が行われます。全国から菓子業者が集まり、祭りは盛大に催されます。


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