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「写ルンです」+フジカラーCD  〜銀塩カメラの復権

 ここは一応デジカメサイトなんですが、今回は銀塩方式のレンズ付きフィルム、つまり「写ルンです」のレポートです。それも、「写ルンです」で撮影した画像を「フジカラーCD」というサービスで、CD-Rに書き込んでもらいました。要するにデジカメ感覚で「写ルンです」を使ってみたわけです。
 別に「写ルンです」じゃなくても、一眼レフや高画質コンパクトカメラで撮影した画像をデータ化してもよかったのですが、ここはトイデジカメや「撮ってもEG」とコストパフォーマンスを比較するために、あえて「写ルンです」を使ってみました。さて、トイデジカメと比較して、使い勝手はどうでしょうか…


■最高画質の「写ルンです」

 今回使ったカメラは「写ルンです エクセレント Flash27」という、"写ルンです史上最高画質"を実現したレンズ付フィルムです。どこがすごいかというと……まず、レンズ付フィルムでは世界初となるAE機構を搭載、絞りを自動的に切り替えます。また、センサー付フラッシュを搭載し、フラッシュ光量をセンサーが自動的に調光します。さらに超高感度フィルム(ISO1600)や周辺光量が落ちない非球面レンズ2枚を採用しています。
 …まあ能書きはともかく、世界最高画質の触れ込みに惹かれて購入しました。実際に手にとって見るとちょっと大きめなんですが、グリップした感じは悪くありません。これなら手ブレは少なそうです。シャッターボタンのクリック感もしっかりしており、ちょっとしたコンパクトカメラの感覚で使えます。

■フジカラーCDサービス

 これは、フジカラーのDPEサービスの中の「FDiサービス」の1つで、フィルムを持ち込むと現像後のネガをスキャンしてCD-Rに焼いてくれるものです。サービス内容の詳細はこちらをご覧下さい。  今回は撮影済みの「写ルンです」を富士フィルム直営のDPE店に持ち込み、現像とCD-R書き込みを依頼したわけです。
 フジカラーのFDiサービス受付店は池袋の西口周辺だけで5ヶ所もあり、さらにampmやセブンイレブンの一部でも取次ぎを受け付けているので、全国どこでも簡単に見つけられるようです。
 出来上がりまでに要する時間は「中2日」です。今日出せば、3日後にCD-Rに書き込まれたものを受け取ることができます。同時プリントを依頼しない場合でも、サムネイルプリントが添付されます。



 データが書き込まれたCD内には「FotowareEZ」というソフトが添付されており、ビュワーと簡単なレタッチ機能を使うことができるので、他に画像処理ソフトがなくても、ひとととおりのことはできるようになっています。

■画質

 まずは画像を見てください(クリックすると640×427dotにリサイズした画像が表示されます)。



 いかにも「写ルンです」で撮影した画像っぽいというか、まあこんなもんでしょう。ともかく人物の服装などの細部も、遠景の大仏像も、周辺の枯れ木の枝なども、平均的によく写っています。奥行き感というか、立体感や質感もそれなりに出ています。
 あくまでこのスキャンデータで見た感想ですが、解像度に関してはVGA機よりもはるかに上、発色もCMOSのトイデジカメよりははるかに上…です。ましてや「撮ってもEG」の画像なんかとは比較になりません。

  

 ともかく、ラチチュードが広いので、直射日光下の屋外画像でも、影の部分まではっきりと写ります。白飛びはほとんどありません。シャープさもあります。



ストロボで3〜4mほど離れた人物を撮影したものです。まあまあの結果です。

 さてこれらの画像を見ると意外としっかり写ってはいますが、かといって「すごく画質がいい」って感じでもありません。色のりは"濃すぎる"って感じですし、うまく表現できませんが、なんとなく"安っぽさ"を感じる画像ではあります。
 でも、比較対象がVGA程度の解像度でCMOSを採用したトイデジカメなら、こちらの方がはるかによい画質です。例えばWS30あたりよりは、完全に上です。100〜150万画素クラスのCCD機との比較になると、難しいところ。感覚的な話ですが、「いい勝負」じゃないでしょうか。解像度感も階調も、200万画素機よりは上なのですが、総合的に見た画質イメージは、手持ちのデジカメで言えば、130万画素の「D-360」あたりといい勝負…って感じなのです。遠景のピントの甘さなども関係していると思います。
 今回公開しているサンプルは、被写体がよくないってのはあります。「写ルンです」は、もっと近距離で人物などを撮った方がきれいですから。そういった画像も撮りましたが、プライバシーの関係で公開できません。

 むろん、この画質は印画紙にプリントしたものよりは悪いと思います。ネガをスキャンするわけですし、どのようなスキャナを使ってどのように補正しているのかはわかりません。書き込み画像サイズは1536×1024dotですが、これがスキャン解像度と同じなのかどうかはわかりません。

■画質の詳細検討

 さて、ここで「FDiサービス」でスキャンされた1536×1024dotの元画像を見て見ましょう(クリックすると1536×1024dotの画像が表示されます)。

 

 先ほど「100〜150万画素のCCDを搭載したデジカメといい勝負」と書きましたが、単純に「情報量」から見ると、いい勝負どころか「200万画素のデジカメよりも上」かもしれません。
 まずは画素数の問題を考えてみましょう。普及タイプのISO100のネガカラーフィルムの画素数は約1,000万強です。「写ルンです」に使われるのはISO400〜800の高感度フィルムでありこれはISO100のフィルムよりも粒状性が落ちます。従って、まあ1000万弱と考えればよいと思います。これだけを見ると、500万画素のデジカメでもとても追い付かない解像度で記録されていることになります。ただしこれは、あくまでフィルム上の画像の解像度の話です。
 しかし、「写ルンです」の実解像度を決定する要因には、もう1つ「レンズ解像度」があります。DPEショップでプリントする場合には、さらに引き伸ばしレンズの光学解像度も関係してきます。「写ルンです」に使われている2群構成程度のプラスチックレンズの場合、一眼レフカメラ用交換レンズのせいぜい1/2〜1/3程度、またはそれ以下の光学解像度でしょう。また、引き伸ばし用レンズの場合、高性能の二ッコールレンズの光学解像度は5000dpi程度に達しますが、デジタルラボでそこまで高解像度の引き伸ばしレンズが使われているかどうか不明です。従って、フィルム面の解像度と実解像度にはかなりの差があります。なお、DPE店で写真プリントした場合は、階調に関しては16bitである銀塩フィルムの階調がかなり忠実に反映されます。
 いずれにしても、低解像度の光学レンズを通しているとは言え「写ルンです」で撮影された画像をフィルム面で撮影画像を見た場合の解像度は、おそらく300〜400万画素クラスのデジカメの撮影画像に相当すると思います(パンフォーカスのピントが最も合っている部分なら)。これをデジタルラボ機でプリントした場合、様々な要件を考えて200〜300万画素程度の画質という判断をしてもよいのかと思います。フィルムスキャナで読み込んだ場合は、まさに今回のサンプルです。この画像をよく見ると、階調表現が大きく影響する大仏の表面、洋服や肌などの「材質感」などは、200万画素のデジカメよりも上と感じます。
 実質解像度はともかく、解像度感は200万画素クラスのデジカメよりも上、階調表現に関しては300万画素のデジカメクラスですが、パンフォーカスから来るピントの甘さが目立ちますし、発色もよいのですが自然な感じは損なわれています。全体的な表現力から見ると、スキャン画像に関しては高画質の200万画素のデジカメ相当か、それ以下という雰囲気です。もう少し高級なフィルムスキャナを使い、丹念にレタッチすれば、ピントの合った画像分に関しては300万画素のデジカメ以上の画質になるかもしれません。

■コストパフォーマンス

   コストパフォーマンスはどうでしょう。ここでは「撮ってもEG」と比較してみましょう。「撮ってもEG」は1980円です。「写ルンです」+フジカラーCDの場合、「写ルンです」が高画質タイプで概ね800円前後で売られており、プラス現像料金500円とCD-R書き込み料金700円で、合計2000円。コストは全く同じです。「写ルンです」の廉価タイプを使えば、安売り店で500円程度で購入でき、さらにコストは下がります。
 ただし、このコスト比較は、「とってもEG」の方はプリントが入手できるがデータは手に入らない、「写ルンです」の方はデータは入手できるがプリントはなし…という比較です。
デジカメの方がプリント、銀塩カメラの方がデータ、という逆の結果になる点が面白いですね。
 むろんフジカラーCDでプリントサービスも依頼できますが、その場合は料金がアップします。個人的には、データがないデジカメ画像なんて不要です。逆にプリント無しでデータだけあれば十分ですから…
 撮ってもEGとの総合的な比較ならば、画質と使い勝手は、はっきり言って「写ルンです」+フジカラーCDの方が、はるかにいいと思います。

■どんな場面で使うか

 旅行に持っていくカメラを選択する場合、記録としてのデジタル画像データが欲しい人は、当然ですがデジカメを使うわけです。私も最近ではデジカメしか持っていきません。でも海外旅行先によっては、バッテリーやAC電源関係のトラブルが予想される場所がけっこうあります。例えば、アメリカなんかはデジカメを持っていっても、経験上まずトラブルはありません。東南アジアでもバンコクやシンガポールなどの大都市ならば、電源に関する情報も多いし、バッテリーだってAC電源の変圧器だって現地で入手が可能です。ところが、東南アジアの辺境部へ旅行する場合など、デジカメが使えないような非常事態は十分に考えられます。変圧器やAC240V対応ACアダプタを用意しておいても、ホテルやゲストハウスの電源コンセントがどうなっているかは、行って見なければわからないのです。
 こんな非常事態に備えて、「写ルンです」のようなレンズ付きフィルムを2〜3個カバンに忍ばせておくと、非常に安心感があると思います。
 また、デイパック1つの荷物を減らしたい旅行の場合、デジカメをやめて「写ルンです」だけを持っていく手があります。落としても紛失しても損害は少ないし、デジカメ+バッテリー+ACアダプタの組み合わせよりも大幅に荷物の重量を軽減できます。

 いずれにしても、「写ルンです」+フジカラーCDサービスの組み合わせは、その画質といい、使い勝手といい、デジカメユーザーでもいろいろな場面で便利に使えそうです。
 また今回のテストで、「写ルンです」というレンズ付き銀塩フィルムの機能と画質をあらためて見直しました。デジカメユーザの方も、一度遊んでみてください。


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