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Nikon「COOLPIX2500」  〜デザインが購入の決め手!?   2002/5/29

 Nikon「COOLPIX2500」の個人的なレビューと実写画像サンプルです。お散歩カメラとしての実用性に期待して購入しました。このサイトの画像掲示板に投稿して頂いた画像を含めて、いろいろなサイトで公開されている実写画像が気にいったこともありますが、最大の購入動機は、実売価格の下落とユニークなデザインです。


■デザインもコンセプトも好みじゃないけど…

 またしてもクドクドと述べますが(笑)…、私はスナップ用カメラにはズームレンズは不要と思っていますし、また専用バッテリーを使う機種も嫌いです。さらに、デジカメにも視野率の高い光学ファインダーが欲しい…というのが持論です。
 となると、3倍ズームを搭載、専用リチウムイオンバッテリーを採用、そして光学ファインダーがないCOOLPIX2500は、ことごとく私のデジカメに対する好みとは異なるスペックを持つ製品です(個人的な意見で申し訳ありません)。
 しかもCOOLPIX2500は、デザインも好きではありません。プラスチッキーで質感がないばかりか、不必要に曲線を多用したカプセル形状のデザインとパステルブルーのカラーリングは、時代遅れのデザイナーが「女性に受けよう」と考えてデザインしたに違いありません(笑)。さらに、「インナースイバル」というレンズ部の回転機構も好きではありません。私はレンズ部がポップアップしたり回転したりといったギミックを持つカメラは基本的に嫌いなのです。いずれにしても、ユニークではありますが「所有欲を満足させる」デザインではないですね。
 そこまで気に入らない点が多いにも関わらずCOOLPIX2500を購入したのは、そのポップなデザインと「インナースイバル」というレンズ部が回転する点に、逆に撮影上の大きなメリットを感じたからです。
 また、ここへ来て価格も安くなってきました。4月頃までは実売4万円前後だったのが、最近では実売3万円前後に下がってきました。私も3万円以下で購入しました。Nikonのデジカメを使うのは、初代の「COOLPIX100」、仕事用の「COOILPIX5000」に続いて、3台目になります。

■デジカメは撮ってナンボ

 最近私は、ますます「ライブに撮る」ことにこだわるようになりました。ライブな雰囲気の画像さえ撮れれば、多少の画質の良し悪しなんかどうでもいい…って感じ。だから、細かいスペック差はほとんど気にならないし、街角スナップや人物スナップに多機能機は不要です。また、多くの場合はフルオートで撮影します。つまり、簡単操作でよい画像が撮れるカメラしか使わなくなりつつあります。画素数だって、プリントもしないので300万画素でも100万画素でも同じ…って感じです。
 そして、私はいまだに海外旅行時に持ち歩くeggyの使いやすさに、完全に脱帽しています。先日も海外で、動画だけでなく静止画も含めてeggyで撮りまくってきました。eggyのデザインは「カメラらしく」ないので、カメラで撮影されていることを相手に意識させないで済みます。だから気軽にレンズを向けられます。その上、レンズが回転するeggy独特の撮影ポジションでは、顔の前に構えるのではなく上から液晶画面を覗き込みながら胸の前で構えるため、撮影時に相手に対して威圧感を与えません。どんな場面でも、さりげなく撮影できます。カメラを向けた時の相手の反応を読みにくい海外旅行時の撮影などでは、これは決定的なメリットです。それに、eggyなら暗いところでもノーストロボで撮れます。

 実は、COOLPIX2500にもeggyと同じメリットを感じるのです。まずは、外観がカメラらしくない点、これは実にいいですね。そしてインナースイバルデザインによってレンズが回転することで、相手に正面を向いてカメラを構えずに済みます。レンズ部を収納する本体フレーム部分が邪魔になるので、eggyやニコンの新機種「COOLPIX4500」のように完全に液晶面を上に向けてウェストレベルで撮影することはできません(自分撮りはできますが…)。しかし、レンズ部を収納した状態から約45度回転させた状態で撮影すると、相手にカメラを正面向けなくとも、斜めに構えられます。私は、これだけで十分なのです。顔の前でカメラを構え、レンズを真っ直ぐに相手に向けないで済むことが重要なのです。自分が話している相手を撮影する場合の威圧感は、これで大きく減ります。こっそり撮るのではなく相手に断わって撮る場合でも、より自然な雰囲気で撮影できます。
 つまりCOOLPIX2500は、そのオモチャっぽいデザインと、斜めに構えられる点で、「人物撮りカメラ」「スナップカメラ」として非常に優れた適性を持っていると考えます。でもって、eggyとは比較にならないほどきれいな静止画が撮れるし…、発売当初から気になってはいたのです。3万円を切ったのを機会に、購入して使ってみることにしました。

■機能と操作性

 CCDは1/2.7インチの200万画素で、補色系フィルターを採用しています。平凡なCCDですが、後述するように発色はナチュラルだし、200万画素にしては解像度感は高いもので、ノイズも少ない画像が得られます。35mm換算で37〜111mmというオーソドックスな画角の光学3倍ズームレンズを搭載、F2.7〜F4.8という割合明るいレンズです。ズームの動作は速くも遅くもなく、比較的スムーズに画角を変更できます。電源投入後の起動時間は約5秒で、けっして速くはないですが、我慢できないほど遅い…ということもありません。
 シャッター速度は2〜1/3000秒、速い方の1/3000秒というのは、このクラスのデジカメとしてはなかなかたいした数字です。オートでも絞りが開くので、ズームの長焦点側でポートレート撮影をする楽しみがありそうですね。ISO感度は100で、これはマニュアル設定でも変更できません(ストロボOFFで自動ゲインアップ)。

 上部にあるスライド式の電源スイッチは、サイズ、抵抗感ともに非常に使いやすいもの。しかし、撮影時スタンバイのためには、レンズ部を背面から押し出す動作が必要です。ちょっと力がいるので、スムーズな感じではありません。このインナースイバルという方式には賛否があるでしょうが、個人的にはあまり違和感を感じません。撮影準備に入るためのセレモニーみたいなもので、慣れの問題だと思います。ところで、レンズ部が収納されている状態で電源をONすると、モニタに「レンズ部を出せ」という感じのアニメが表示されます。このアニメ画面は非常にうっとおしいので、やめて欲しいですね(笑)。
 本体の半分がレンズ収納部になるため、スイッチ類は背面の右半分に集中、従って全てのボタンはかなり小さめです。特に十字キーが小さいのがちょっと気になるところ。しかし、使っているうちにすぐに慣れました。ズームボタンの位置もちょっと窮屈ですが、これも慣れます。1.5型と小さめの液晶モニタですが、画面はまあ見やすいもので、明るさの調整も可能です。直射日光下での視認性が悪いのは、仕方のないところです。

 ボタン操作はストロボのON/OFFぐらいで、撮影に関する全ての設定は基本的にメニュー画面から行います。オートとマニュアルの2つのモードがありますが、マニュアル時でも設定項目はあまり用意されておらず、代わりに、「ポートレート、風景、打ち上げ花火、パーティー、夕焼け、クローズアップ、夜景ポートレート、夜景、モノクロコピー、海・雪、ミュージアム、逆光」…の12種類の「シーンモード」が用意されています。
 モニターの下にある「SCENE」ボタンを押すと12種類のシーン一覧が表示され、十字キーでシーンを選ぶという手順です。
 マクロボタンがないので、マクロ撮影はシーンモードの「クローズアップ」で設定することになります。こうした操作系は好きではありませんが、まあ日常の撮影ではあまり設定を頻繁に変える方ではないので、よしとしましょう。…というよりも、慣れるとシーンモードは、けっこう使えます。個人的にはマクロ、夜景、逆光、ミュージアム(ストロボOFFで後述するBSS機能が働くので、手ブレしがちな屋内撮影時に便利)などのモードをしばしば利用します。「SCENE」ボタンを押して十字キーで選択、再度「SCENE」ボタンを押して確定…という一連の操作の流れは、最近わりと素早くできるようになりました。
 シーンモードの利用に関しては、1つだけ注意したい点があります。シーンモードで撮影した後、そのまま電源をOFFにすると、次回撮影時にシーンモードの設定のままになっています。次回起動時に慌てないように、シーンモード利用後は速やかにシーンモードを解除して電源をOFFにしましょう。
 あと変わったところでは、上述した「BSS(ベストショットセレクタ)」という機能がフィーチャされています。これは、シャッターボタンを押している間、連写を行って(最大10枚)、撮影した全コマの中から手ブレの少ない最も鮮明な画像を1枚を自動的に選んで記録する…という機能。夜間撮影や屋内撮影など、場面によってはかなり使い途があると思います。

 専用リチウムイオンバッテリーは小型のものですが、持ちは悪くありません。かなりの頻度でズーム操作をしたり撮影画像をモニタで確認したりしながらでも、少なくとも64MBのCFカード1枚分(NORMALモードで120カット以上)程度は楽に撮影できます(ストロボ使用は10%程度)。いろいろと遊びながら1日中バッテリーが持つ…って感じ。1日に数回の使用でそれぞれ10枚程度の撮影なら、3〜4日間はバッテリーが持ちます。充電時間は約2時間ですし、まあ一般的な撮影スタイルなら予備バッテリーは不要でしょう。正直言って、ここまでバッテリーが持つとは思いませんでした。予備バッテリーを1個と充電器を持って行けば、海外旅行なんかでもハードに使えそうです。バッテリー充電器は、ほぼ世界中で使える240V対応でした。
 さて、いちばん気になるのは、バッテリーやCFカードを挿すための開閉部分の強度です。フタを引っ張り出してから90度折る…というちょっと複雑な開閉機構を採用しており、支点となるプラスチック部分が頻繁な開閉に耐えられるのかどうかちょっと心配です。

 撮影ポジションはグッドです。前述したようにレンズ部を45度回転した状態でウェストレベルで撮影するには、非常に具合がよいものです。このポジションでのホールド感も、悪くありません。ちなみに私は、人物スナップだけでなく風景スナップも、この45度回転させた状態で撮影していますが、慣れると手ブレしにくい撮影スタイルだと感じています。
 さらに細かい点ですが、回転式レンズ部の後ろ側に滑り止めのゴムが貼ってあるのは、よい配慮だと思います。重量はバッテリー込みで200gちょっと、サイズはスナップカメラとしてはちょっと大きめかもしれません。しかし、綿パンのポケットやジャケットのポケットに入れて歩けるサイズ・重量なので、お散歩カメラとしては合格点です。そういえば、三脚穴もちゃんとあります。
 なおビデオ出力機能がありませんが、私は使わないので問題ありません。動画についても「音声なし15秒」なんてものは使わないので、論評しません。また私は、本体をPCを直接USBで接続しての読み出しはしないし、添付ソフトも使わないので、これらについては論評できません。

■画質には満足

 実写画像をアップしておきます。街を歩きながら適当に撮影した画像ですが、最高画質はむろん、圧縮率の高いノーマルモードでこれだけ写れば個人的には満足ですね。
 200万画素としては解像度は十分…というか、解像度は現行の200万画素機の中ではトップクラスでしょう。基本的には、どんな撮影シーンでもシャープなイメージの画像が得られます。階調表現も豊かで、被写体の質感や立体感もよく表現してくれます。ダイナミックレンジの広さはあまり感じませんが、シャドウ部についてはかなり持ちこたえ、黒ツブレは少ない感じです。
 発色は良好です。派手さはないですが、被写体の色によっては補色系CCDらしからぬ鮮やかな発色もします。デジカメが苦手とする赤の発色も悪くありません。基本的にはナチュラルで落ち着いた発色であり、私は好ましく思います。室内撮影時の発色は、蛍光灯下でも白熱電球下でもまあまあです。白熱電球下の発色は、オートでもミュージアムモードでも黄色味が強くなるなど不自然なケースもありますが、あまり室内撮影が得意ではないDC3800よりはかなりマシです。
 一般撮影時のオートホワイトバランスの精度はかなり高いと思います。また、シーン別撮影モードではホワイトバランスの設定ができませんが、各シーンモードごとのホワイトバランスの精度も高く、普通のケースではホワイトバランス設定変更の必要を感じません。
 夜景もけっこうよく撮れます。シーンモードで「夜景」にセットすると自動的にISO400まで増感されるので、しっかり構えればあまり手ブレすることもありません。手ブレが心配なら、BSS機能を使う手もあります。
 マクロは、このクラスのデジカメとしては秀逸です。マクロボタンがなく、シーンモードで設定するのはちょっと面倒ですが、それにしても4cmまで寄れるのはうれしいですね。最短マクロ撮影は、最望遠側をちょっと戻した焦点距離で行います。マクロの画像が非常によい上、レンズ部を45度に出した状態ではローアングル撮影がしやすいので、花や昆虫などを観察するのにも向いていると思います。さらに、マクロではない通常モードで30pまで寄れる点も評価します。

    ※各画像をクリックするとNORMALモードのオリジナル画像が表示されます。
       (表記のある一部はFINEモードです)

広角側で撮影したエントランス

望遠側で撮影

50o前後で撮影

広角側で屋内手持ち撮影

約5pの距離でマクロ撮影

夜景モード(手持ち/FINE)

最短4pでマクロ撮影(FINE)

ホワイトバランス変更(白熱灯)

晴天下の新宿駅前(FINE)

■個人的評価

 どことなくキッチュでポップなデザインとプラスチッキーな質感は、けっして「モノを持つ喜び」を感じさせてくれるカメラではありません。また、マニュアル設定項目が少なくシーンモード中心の利用を前提としているため、作画意欲も喚起しません。
 でも、フルオート撮影を前提としたスナップ用としては、機能・デザインともに非常に使いやすいデジカメだと思います。かなり優秀な「お散歩デジカメ」です。画質については、購入前の予想よりもずっとよく、発色も解像度も手持ちの200万画素機の中では最も高画質な部類に入ると思います。オートホワイトバランスはかなりヒット率が高く、たいていの撮影シーンで意図した色を出してくれます。マクロ画像は、このクラスのデジカメの中では特筆モノで、マクロ撮影だけが目的のユーザーでも十分に購入する価値はあります。サイズ・重量のバランスはまあまあで、ほぼ1日中使えるバッテリーも悪くありません。レンズ部の保護を気にせずに、裸でポケットに入れられる点もOKです。操作性やユーザーインタフェースには若干のクセがありますが、慣れれば使いやすいカメラです。

 マニュアル設定が少なく作画派には向きませんが、毎日持ち歩いて気軽に使うデジカメを探している方にとっては、COOLPIX2500は「買い」のデジカメと言ってもよいでしょう。ただし、値段が安ければ…という条件付きです。
 本体を3万円以下で購入でき、しかもCFカードやカードリーダーなどを既に所有していて余分な出費をする必要がない環境なら、「スナップ用カメラ」の選択肢として検討してみましょう。初心者でも、2台目、3台目でもそれなりに使えると思います。また、キッチュなデザイン…と何度も書きましたが、実際に使っていると適度な重量感と相まって、さほど安っぽい感じはしません。使い込めば、あまり気にならなくなります。丸みを帯びたデザインは、ポケットなどに入れた時に角が引っ掛からない…というメリットがあります。
 COLLPIX2500にはケースが付属していませんが、私は100円ショップの「携帯電話用ソフトケース」を使っています。クッション性はちょっと不安ですが、サイズはピッタリで満足してます。ストラップの位置が左右逆だとよいのですが、これも慣れました。首にカメラをぶら下げる趣味はないので、付属のネックストラップは捨てて適当なハンドストラップを付けました。
 いずれにしても、結論としてはCOOLPIX2500はコストパフォーマンスもよく、かなり楽しめる「スナップ用デジカメ」だと思います。機能や操作性、画質などに不満点も多々ありますが、実売3万円以下のデジカメとしては上出来です。最近では、いつもカバンに放り込んで持ち歩いています。


追記
 そういえば、ほぼ同等の機能の「COOLPIX2000」が発売されました。オーソドックスなデザインと単三電池の採用は評価できるのですが、4本使用ということでサイズ・重量ともに2500よりもかなり大きくなります。特に電池込みの重量が約300gというのは、日常的に持ち歩くカメラとしては相当重い感じですね。単三4本化って、廉価版を商品化する時によく使われる手法です。CANONで言うところの「IXY」と「PowerShot」の関係と同じですね。現物を手にとってみましたが、2500以上にプラスチッキーな雰囲気で、しかも大きさと重さはかなりのものです。あと2000は、このデザインとサイズで光学ファインダーを省いた点が気になります。原色CCD採用は、どうでしょうか? 性能は大差ないでしょうが、コンセプト面や撮影スタイル面を比較すると、個人的にはCOLLPIX2500よりは面白みに欠ける気がします。


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