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初心者向けデジカメとは?

 先日、あるデジカメ専門誌を立ち読みしていたら、デジカメ全機種を紹介するにあたって「プロフェッショナルモデル」「ハイエンドモデル」「ベストセラーモデル」「ビギナーモデル」…と言った分類がなされていました。
 で、「ビギナーモデル」ってどんな機種かと思ったら、要するに1万円前後からそれ以下の「トイデジカメ群」です。うーん、これはおかしい…と思いました。
 トイデジカメって、けっして初心者向けじゃありません。なぜなら、トイデジカメで「よい写真」を撮るのは難しいし、いろいろな用途にも使えません。例えば、トイデジカメは一般にダイナミックレンジが狭いので明暗の差が大きい被写体はうまく撮影できません。逆光などの悪条件でもよい写真は撮れないのです。少なくとも「簡単によい写真が撮れない」デジカメは初心者向けではありません。だから、トイデジカメは絶対に初心者向けのデジカメではないのです。


■メディアやメーカーが定義する「初心者向けデジカメ」

 まあ、トイデジカメを「ビギナー向け」とするのはとんでもない間違いだとしても、一般的に初心者向けと言われる典型的なスペックっていうのがありますね。
 例えばオリンパス「C-1」あたりは、いろいろなメディアでよく「初心者向けデジカメ」って言われますし、メーカー自身もそう位置付けているようです。まあ、メディアやメーカーが初心者向けと位置付けるデジカメは、概ね次のようなスペックの製品でしょう。
 「画素数は100〜200万画素、操作が簡単でマニュアル設定機能は持たない、PC接続ケーブルと記録メディア、レタッチソフト、2次電池や充電器等一式が同梱され、購入するとすぐに使い始められる」  さて、上記のようなスペックのデジカメって、ホントに初心者向けなのでしょうか?

■初心者向けデジカメは、フルオートでよい写真が撮れるべき

 これは言うまでもありません。物理的な面でよい写真であるための条件は大きく3つあります。「適正な露出」「適正な発色」「適正なフォーカス」です。そして、「手ぶれの防止」もよい写真の条件です。
 となると、少なくとも上記の4つの点について、操作者が特に何もしなくともデフォルト常態でシャッターボタンを押すだけで適正な結果を出してくれるデジカメが、初心者向けデジカメの条件の第一歩となります。
 こんなデジカメって、意外と少ないのです。
 まず適正な露出については、条件がよければ機種による差はあまりありません。問題は逆光など条件が悪い時です。これは、分割測光など特殊な露出制御をする以外に自動化する術はありません。むしろ問題になるのは、「ダイナミックレンジ」や「ラチチュード」です。明暗の差が大きい被写体や、光量が不足する場所で可能な限り適正な露出をもたらし、また適正露出の範囲を超えた画像でも後からレタッチで救えるような撮影結果を得るためには、どうしてもダイナミックレンジが広い撮像素子が必要になります。こうした撮像素子の搭載を低価格機種で実現するのは、非常に困難です。
 次に適正な発色については、「優れた撮像素子」「優れた画像処理回路」「優れたチューニング」そして「優れた光学系」が必要です。これはいずれも実現にお金のかかることなので、低価格機種よりは高級機の方が発色がよいと言う結果となることが多いのです。
 適正なフォーカスについても同じです。フォーカスステップ数をアップし、しかもフォーカスレンジを広くとることで、様々な条件下でのフォーカス精度がアップします。さらに、暗い場所でもフォーカス精度を上げるためには、演算処理回路の高度化・高速化が必須となります。低価格機でこうした機能を実現している例は非常に少ないのです。

■初めて購入するデジカメは、画素数が多めのものを…

 これは簡単な理由です。要するに「大は小を兼ねる」ということです。一般論としては「画素数が多い方が高画質」であることは否めません(反対の例もありますが…)。となると、初心者だからこそ、簡単に高画質の画像を得るためには、一定数の画素数があった方がよいのです。
 例えば100万画素以下の機種、トイデジカメによくあるVGA機などでは、見栄えのする画像を撮るのは非常に難しいわけです。
 また、初心者は撮影画像をプリントすることが多いという話もあります。となると、言っての画素数があった方が、簡単にきれいなプリントを得ることができます。

■初心者向けデジカメは、ある程度多機能機の方がよい

   デジカメのどこが面白いのか、デジカメで何ができるのか…その全貌がわからないのが初心者なのですから、使い慣れてきて何かをやりたいと思った時に、それなりに対応できる程度の機能があった方がよいと考えます。
 シンプルな機能の製品が初心者にとって使い安いのではなく、「シンプルな操作性」の製品が初心者に使いよいのです。要するに多機能であっても、いろいろな機能を設定していない状態、つまり電源を入れたデフォルトの常態で撮影するだけで誰でもよい画像が撮れればいいわけです。様々な機能は、それが使えるようになってから使えばよいのです。ただし、いろいろ機能部分について、その優先順位と使用頻度を考えた操作性が考慮されていなければなりません。
 機能がない方が、よい画像を得るのが厳しい場合が多いと思います。これは他のところでも書きましたが、露出補正がないカメラで逆光の写真を撮るのは難しいですよね。そんな時には、「逆光ボタン」というのがあって、押すと「+1.5」ぐらいの補正をしてくれた方が簡単じゃないですか。
 ズームレンズについても、難しい問題です。私は、個人的にはデジカメにズームレンズは不要なのですが、初心者の方が被写体に近づくことが難しいケースが多いでしょうし、自分の位置を変えて撮りたい構図を決めるのも慣れが必要です。だから、初心者向けデジカメは光学ズームを装備している方がよいかもしれません。

■オールインワン・パッケージにこだわる必要はない

   どうも、初心者が購入するデジカメの鉄則として「PCとの接続ケーブル、記録用メディアの同梱」が必須条件になっているようです。  個人的な見解ですが、デジカメとPCを直接USBで接続する方法はベターではありません。やはり、利便性や将来複数のデジカメを所有したケースを想定して、パソコン側にリーダーを装着すべきです。また、デジカメの機種が変わるごとに異なるドライバーを入れることになり、トラブルの原因になりかねません。読み出し用のマシンが変わる人には便利かもしれませんが、ドライバーと専用USBケーブル「を持ち歩く必要がある人はそれほど多くないはずです。  また、記録用メディアの同梱も不要です。同梱されているメディアって、スマメでもCFでもたいていは8MB〜16MB程度。昨今は32MBのスマメ/CFが1500円前後、64MBだって3000円以下で入手できます。すぐに使わなくなる16MBなんてメディアを付けてくれるくらいなら、その分値引きして欲しいですね。  初心者向けデジカメこそ、初めてデジカメを使うユーザーに対して、最も合理的なデジカメの利用形態へと誘導するものであるべきだと思います。

■高機能カメラほど初心者向き!?

   早い話が、「高機能・高性能であればあるほど初心者向け」という言い方もできるのです。ただし、フィーチャされている高機能・高性能が、どこまで操作が簡略化され、また自動化されているかが問題なのです。
 例えば「逆光の被写体の撮影」がよい例です。レンズが高性能じゃないと、強い逆光時にフレアの無い写真は撮れません。ローエンドクラスのデジカメは、レンズの内部反射が抑えられていないので、フレアが発生しやすいのです。ベテランなら、逆光時に手でレンズの上部を覆うなど、様々な対応を思いつきます。しかし、初心者はそのまま撮って失敗する確率が高いでしょう。こうして見ると、初心者向け製品ほど、よいレンズを搭載すべきだと思うのですが…。さらに、自動露出で逆光を補正できればいうことはありません。一部の銀塩一眼レフなどに採用されている「分割測光」などが装備されていればいうことなしです。初心者向けデジカメにはぜひ採用して欲しい機能です。
 「手ぶれ防止」にも同じようなことが言えます。初心者の撮影ミスの最大の理由の1つが手ぶれです。だから初心者向けデジカメにこそ「手ぶれ防止機構」が備わっているべきです。ところが、光学式の手ぶれ防止機構は非常にコストが高いので、手ぶれの影響が大きい高倍率ズームの高級機にしか搭載されていません。これは本末転倒です。お金のある初心者ユーザーで高倍率ズーム機が欲しいのなら、こうした手ぶれ防止機構を持つ機種を購入するのも手です。
 フォーカス精度の問題も重要です。私は、「初心者向けだからパンフォーカスで構わない」とは思いません。また同じオートフォーカスでも、中抜けなどを防止するためにエリアを広くするとか、サイドフォーカスエリアを設けるなどの対応があった方が初心者には使いやすいはずです。
 あと、カシオやニコンの一部機種が採用しているような「シーン別の撮影設定」をあらかじめプログラム化して備えている…という製品も、初心者向けカメラの1つのアプローチかもしれません。

■理想の初心者カメラ

    トイデジカメは初心者用のデジカメではありません。むしろ、ある程度「写真撮影の楽しみ」を知っている人が使った方が面白いカメラです。またオリンパス「C-1」あたりも、「簡単によい写真を撮る」ためには、少し力不足の感じがします。また自分の愛用しているカメラの中で言えば、何の機能もついていない「DC3800」のようなカメラは、初心者向けではありません。  私が初心者に適していると考えるのは、200〜300万画素、2〜3倍程度のズームを搭載し、適当に多機能で、フルオートでよい写真が撮れる…デジカメでしょう。しかも、フォーカス精度、露出精度がそこそこに高く、小型で操作性がよければ言うことはありません。
 具体的な候補機種を挙げることはしませんが、価格帯としては実売で3〜4万円台を見ておけば十分なはずです。このクラスのカメラなら初心者が最初に購入する1台として使いやすいでしょう。デジカメで画像を撮ることがだんだん面白くなったら、機能を使い切っていけばいいのです。そこで逆に、「2台目はズームは不要」などといった自分の考えが形成されてくるはずです。
 高機能デジカメの方が初心者向きだからと言って、「DiMAGE7」のように500万画素オーバーは不要ですし、完全なマニュアル撮影機能も不要です。何よりも、バカでかいデジカメは初心者向けではありません。少しでも撮影機会を多くするためにも、小型で携帯しやすく、バッテリ寿命の長いデジカメが理想です。


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