■カンティヨン醸造所からルーベンへ 〜ビール三昧の1日

 ブリュセルも3日目である。特に予定はない。ゆっくり朝食を食べながら、今日はどこへ行こうかと考え、とりあえずベルギービールの醸造所の見学に行くことにした。
 目的地は、「グーズ博物館(Musee Bruxellois de la Gueuze)」の別名で知られているカンティヨン醸造所(Brasserie Cantillon)である。ホテルを出て近くの地下鉄駅へ、そこから地下鉄で南駅まで行き、南駅からは徒歩で約5分ほどのところにカンティヨン醸造所はあった。
 建物の前まで行ってみると、入り口がどこかよくわらない。やはり見学に来たらしいヨーロッパ系の若いアベックが入り口を探してウロウロしていたが、目立たないドアを開けて一緒に入った。ここでは、酸味の強いランビックを昔ながらの製法で作っている。オネーサンの英語での説明を聞くと、見学と言っても要するに勝手に工場の中をうろついてよいとのことらしい。3ユーロを支払って、工場見学に臨んだ。30分ほど見学して戻ると、カンティヨン・グーズ(Gueuze:ランビックをベースに年代の異なる3種類のランビックをブレンドし、二次発酵させて2年以上樽で熟成させたもの)をグラスに注いでくれる。これがウマイ!
 で、飲みながらオネーサンと話をしていたら、カンティヨン・グーズを日本にも輸出しているとのこと。「小西酒造」と提携していると教えてくれた。さらに、チェリー味のカンティヨン・クリークをグラスに注いでくれる。非常に満足した。
 朝から美味しいビールを飲んで、実に幸せである。醸造所の見学を終えてホテル近くまで戻ったが、まだ11時にもなっていない。

カンティヨン醸造所
   
ビールを寝かせる樽

   
お土産売り場もある


 市内をウロウロするのも飽きたので、ブリュッセル近郊にある大学の町、ルーベン(ルーヴァン)まで行ってみることにした。とりあえず徒歩でブリュッセル中央駅まで行き、リエージュ方面行きの列車(IC)に乗った。わずか15分足らずでルーベン駅に到着。まだお昼前である。

ルーベン行き列車の車内
   
ルーベン駅


 ルーベン(Leuven/Louvain)もまた、中世の面影を残す古い都市である(こちらを参照)。中世の面影…とはいっても、ブルージュなどとは違い、現代的な文化とうまく溶け合っている感じ。1425年に創設されたベルギー最大の大学、ルーヴェンカトリック大学がある学園都市でもある。学生数が2万7千人というのだから、早稲田、慶応など日本の有名私大並みの学生数だ。
 そしてルーベンは、ビールの町としても知られている。市内にはベルギー最大のビール会社インターブルー・ステラ・アルトワの本社工場があるし、古い醸造所もいくつかあるそうだ。

 だだっ広いルーベンの駅前広場を、市庁舎方面へ向かって歩く。街の中心部へ向かう道は駅から真っ直ぐで、市庁舎の尖塔が見えているので迷うことはない。落ち着いた商店街を歩いて15分ほどで市庁舎前の広場に到着した。15世紀に建設されたゴシック建築の市庁舎は、荘厳だ。その市庁舎の中にツーリスト・インフォメーションがあったので、地図を貰って周辺を散歩することにした。
 街中には、ともかく学生が多い。駅方面から見て市庁舎の裏側一帯は学生街となっており、大学の施設も多い。しばらく歩き回ったら、お腹が減ってきたので食事にすることにした。目指すはグロート・マルクト(Grote Markt)である。
 グロート・マルクト…要するに「マルクト広場」であり、アントワープを始め、ゲントやブルージュなどベルギーの主要都市やオランダの主要都市の中心部には必ず存在する広場だ。「グラン・プラス」と同義語である。

 ルーベンのグロート・マルクトは圧巻だ。かなりの広さがある石畳の広場をぐるっと十数軒のカフェ(ブラッセリー)が取り巻き、広場いっぱいに椅子とテーブルを並べている。そこで、何百人、何千人もの学生がビールを飲みながらワイワイと話をしているのだ。実に壮観である。
 この日も天気がよく、お昼時の広場は学生でいっぱいであった。その中の1軒に入り、早速ビールとサンドイッチを頼む。秋の日差しを浴びながら、学生たちに混ざって飲むビールは、たまらなく美味しい。ついついお替わりをしてしまう。

 食事を終えて、あちこちとルーベンの裏通りを歩いて回った。街並みを堪能したので駅まで戻り、ほどなくやってきたブリュセル行きのICに乗り込んだ。午後3時前にはブリュッセル北駅へと戻ってきた。
 朝から動き回っても、まだ午後の早い時間である。無理してあちらこちらを観光する気もないし、こうしてのんびりと街歩きができればそれでいい。いったんホテルに戻って日暮れまで休憩することにした。それに、ネットに接続して少し仕事をやらければならない。

市庁舎(拡大)
   
街角のレオポルド2世像(拡大)

ルーベンの街並み(拡大)
   
ルーベンの街並み(拡大)


市庁舎前広場
   
ルーベンの街並

ルーベン大学構内
   
グローテ・マルクトのカフェ

「Corsendonk」ブロンズとブラウン
   
昼食のタルティーヌアメリカン


 ホテルで一仕事終えたら6時頃になった。陽もすっかり傾いてきたので、ビールを飲みに街に繰り出すことにする。昨日訪れた「ファルスタッフ」が気に入ったので、今日もここで食事をすることに決めた。いろいろなベルギー料理を試してみるのだ。ストゥンプ(マッシュポテト)のソーセージ載せとゲント風ワーテルゾーイ(チキンのクリーム煮)を注文する。今夜のビールは「Leffe」と「Kwak」だ。
 今日は朝から、カンティヨン醸造所でビール、お昼はルーベンでビール、夜はブリュッセルのビアカフェ…と、ビール三昧の1日であった。

「Leffe」
   
「Kwak」

ストゥンプ
   
ゲント風ワーテルゾーイ


本日のビール
・グーズ(カンティヨン醸造所)>
・カシスグーズ(カンティヨン醸造所)>
・Corsendonk bronde(ルーベンのカフェ)
・Corsendonk brawn(ルーベンのカフェ)
・Leffe(ファルスタッフ)
・Kwak(ファルスタッフ)
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