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名古屋の話

 いつも通り大型書店内を徘徊していたら、「県民性」というタイトルの付いた本が何冊かありました。私は、県民性などという「何の根拠もないいいかげんなもの」でステレオタイプに人を類型化することは大嫌いです(ついでに「血液型」による性格分類ってヤツも大嫌いです)。県民性などというものは存在しないと思っていますし、一人一人の人間をその個性で見るべきだと考えています。しかし、土地の気候風土や経済環境などが住人のライフスタイルに一定の影響を与える可能性…までは否定しません。そこで、ここでは私のよく知っている「名古屋」という街について少し語ってみます。

 私は現在東京に住んでいますが、名古屋という街で、生まれた直後から高校までの長い期間を過ごしました。別に名古屋を愛しているわけではないし、「郷土を誇りに思う」気持なんか微塵もありません(私は日本という国に生まれたことも別に"誇り"には思っていません)。だから、出来る限り客観的に、私の知っている名古屋という都市について書いてみます。名古屋以外で生まれた方で、出張や赴任で名古屋に行く機会がある方は読んでみて下さい。



■名古屋は閉鎖的か?

 閉鎖的です。これは県民性などという曖昧なものではなく、明白な理由があります。
 名古屋、と言うよりも愛知県は工業出荷額では東京をはるかに凌ぎます。車だけではなく、ファインセラミックスや航空機産業などの先端分野や、陶磁器、繊維、機械、電気、食料品に至るまで幅広い産業を擁しています。製造品出荷額は19年連続全国一を続け、経済規模は世界全体のGNPの1%強を占めるなど、製造業に関しては圧倒的に日本一の県です。加えて、小売業や農業でも全国でトップクラスです(農業生産額は全国5位)。
 結局、愛知県という地域は定住性の強いライフスタイルや自給率の高い工業生産など、生活、産業経済の両面で「域内充足性」が他県に類を見ないほど高いわけです。その愛知県、中部経済圏の中心に位置するのが名古屋です。
 この「地域充足性が極端に高い」「定住性が強い」という地域特性が、名古屋という都市の閉鎖性を生み出しています。要するに名古屋で生まれた人間は、小学校から大学まで名古屋市内(もしくは愛知県内)の学校に通い、そして名古屋または愛知県にある企業に就職する例が圧倒的に多いわけです。他県に出る必要がありません。愛知県下には上場企業や非上場ながらも特徴を持つ有力企業、しかも優良企業が非常に多く、雇用が確保されています。一生を名古屋で過ごす人が多いのは当然で、人口の流動性が少ないのですから閉鎖的にならざるを得ません。

■名古屋の人間はケチか?

 名古屋は統計的に見て貯蓄率が高いそうですから、こんな話が生まれたのでしょう。当たり前の話ですが、ケチかケチでないかは、人によります。「どこの県でもどこの国でも、ケチなやつはケチ」という…ただそれだけの話です。

■名古屋の冠婚葬祭は派手か?

 派手だと聞きました。個人的に派手な冠婚葬祭に出席したことがないので、「聞きました」という間接表現になっています。市内の新興住宅地(当時)に住んでいた私は、個人的には嫁入り道具を載せたトラックの行列なんてのも見たことがありません。まあ、名古屋市内の人口の多くを占める新興住宅地では、世代交代と核家族化が進んでおり、派手な冠婚葬祭をする人がいなくなったのでしょう。自分の知人に関して言えば特に派手に冠婚葬祭をする人はいません。東京と同じです。

■名古屋の人間はエビフライが好きか?

 まじめな話、よく知りません。私自身は特に好物ではないし、名古屋在住の友人の中でもエビフライが大好きという人は聞きません。またエビフライを食べさせる店が他地域に較べて多いという統計も聞いたことがありません。

■名古屋の美味しい食べ物

 名古屋の食べ物には、それなりの個性があります。美味しいか美味しくないかは、各人の個人的好みに属する問題でしょう。とりあえず、名古屋の食べ物で他県にはあまりない、美味しいものを2つ挙げておきます。

(1)鬼饅頭(おにまんじゅう)

 名古屋には、鬼饅頭という食べ物があります。サツマイモと小麦粉で作る"蒸し菓子"で、家庭でよく作られる「おやつ」です。私は小さい頃に、母が作った鬼饅頭をよく食べました。
 特別な材料や調理器具はいらないので、どこの家庭でも簡単に作れます。レシピはこちらにありますので、ぜひお試し下さい。
 鬼饅頭と言えば家庭で作るものですが、地下鉄東山線の覚王山駅近くにある「梅花堂」というお店の鬼饅頭はよく知られています。

(2)櫃まぶし(ひつまぶし)

 「櫃まぶし」とは鰻丼の一種。鰻丼や鰻重とは違って、蒲焼にした鰻を小さめに刻んでご飯にまぶしてあるものです。何故か名古屋以外では食べさせる店が少ないですね。
 一応は正式(?)な食べ方があり、1.まずはそのままの味を楽しむ 2.薬味(細かく刻んだネギとワサビ)を乗せて食べる 3.だし汁をかけてお茶漬けのように食べる…と、3段階に分けて食べるのです。こちらを参照してください。
 熱田神宮近くの「蓬莱軒」や、栄町にある「以ば昇」といった名店がよく知られていますが、私のお勧めは「うな東」というお店です。場所は中川区の黄金陸橋を大須方面に向かい、少し直進した右側です。本当は誰にも教えたくない、とっておきのお店です。

うな東 名古屋市中川区福住町9-22 (052)351-2844 高速「小金」出口近くのローソン横

■「寿がきや」の話

 名古屋には「寿がきや」というラーメンのチェーン店があり、高校時代はよく食べに行きました。東京にも何店かあったらしいのですが、現在は撤退しているそうです。スーパーでもカップ麺やチルド麺などを売っているのですが、東京ではあまり知られていません。インスタント麺ならネット通販で購入できますし、名古屋の郵便局が「ゆうパック」で生麺を扱っているそうです。
 この「寿がきや」のラーメンは安いのですが、特に感動するほど美味しいラーメンではありません。しかし、私には懐かしい味です。「寿がきや」の公式サイトはこちら、ファンサイトはこちらです。

■名古屋は好きな街か?

 私は名古屋という都市が嫌いです。名古屋の人口は217万人、何でも揃う住みやすい都市です。東京より地価や家賃は安く、逆に東京で買えるものは全て名古屋でも買えます。こんな街に生まれ育ったにも関わらず、私は個人的には名古屋が好きではありません。閉鎖性、というよりも「定住性が強い部分」がともかく嫌なのです。私は名古屋の高校を卒業しましたが、進路指導とやらで地元名古屋の大学への進学を強く勧められました。冗談じゃありません、一生を同じ街で過ごすなんてイヤです。
 名古屋在住の人間には、名古屋の大学を出て名古屋に本社がある一流企業に就職し、名古屋に住み続けるのが「堅実な生き方」だと思っている人が多いのです。私には理解できません。安定より変化を好み、しかも放浪癖のある私にとっては、名古屋の特性である「人口の非流動性」は退屈です。そんなわけで、高校卒業とともに名古屋を飛び出して、以後実家には帰っていません。


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