« 震災後の日常雑感 | メイン | 普段どおりの生活 »

2011年03月18日

●震災後の日常雑感 その2

 ネット上の情報だけでなく、様々な企業(電力会社や原発製造関連企業も含め)に勤める人間や医師などの個人的な交友関係からも、可能な限り情報を集めていますが、現時点はまだ自分自身がどの段階でどんな行動をとるべきか判断できません。昨日以降の北風が強まる状況の中では、さすがに不安な気持ちも強まってきます。また、今朝のニュースで流れた「6400本の使用済み燃料」の話も含めて、情報がきちんと出てこない状況には苛立ちます。「この程度の放射線なら健康に害が無い」という言葉よりも、「その量をどれくらい長期的に浴び続けると健康に害が出るのか」、そして「現在の対処方法が上手くいって事態が収束したとき、どの範囲の人が、どの程度の期間、どの程度の放射能を浴びるのか」、さらには「現在の対処方法がうまくいかなかったときはどうなるのか」「妊婦や子供への影響はどうか」…といった本当に知りたい情報は、公的には全く流されません。
 こうなると、200km以上離れた東京に住んでいる自分自身の話は置いておくとしても、ほぼ50km圏にある郡山市や福島市、二本松市、ほぼ100km圏に入る会津若松市、喜多方市、そして政令指定都市である仙台市、山形市、米沢市あたりに住む人々、さらには東京と較べればかなり原発に近い150km以内にある水戸市や宇都宮市あたりに住む人たちですら、情報不足による不安と苛立ちが募っていると考えられます。
 多くの欧米系メディアの論調は、事故の現況から見て20Km圏の避難では不十分、最低でも半径50Km、半径100kmといった圏内の住民は避難すべき…が主流です。では、なぜ政府は50kmあたりまでの避難計画を実施しないのでしょうか。政府も、アドバイスする専門家も、最悪の事態を想定しても20km圏で安全だと考えているわけではないでしょう。できればもっと広範囲に避難を進めた方がよいとわかっているかもしれません。
 しかし、原発災害の際の避難対象地域は、現行の国の指針では、基本的に原発から半径10km圏内を想定しているとのことなので、政府にも東電にも今回の事故の規模自体が想定外で、実は半径20km圏以上、ましてや50km、100kmの避難計画などは、もともと存在しなかった可能性があります。さらに、50Km圏なら100万人、100km圏なら250万人の人が避難することになるわけで、そもそも現在の政府の能力では、移動手段も他県への受け入れ態勢も構築することが不可能な事態なのかもしれません。加えて、100km圏には、震災、津波の避難者がたくさんいます。避難所や被災地にはまだ食料も燃料も十分に届いていないというのに、そうした人たちを含めての大規模避難計画を立てることは、今の政府の行政能力では不可能のようにも感じます。
 どうも私たちは、根本的な行政能力、そして危機管理面での能力が大きく欠如した不幸な国に生まれてしまったようです。別に民主党が政権党でなくても同じだってでしょう。ここで政府や東電を批判・非難しても別に事態がどうなるわけでもないので、こうなると「自己責任」と「助け合い」によって国民が自らの命を救うしか道はありません。
 東京でも自己判断で避難を始める人が増えててきました。西へ向かう新幹線や飛行機はほぼ満席状態だそうです。今後は、国が新幹線や飛行機の座席販売を管理し、妊婦や子供の避難を優先する手法をとる必要があるかもしれません。
 オフィス近くの100円ショップの店頭で、箱に山積みした状態で放射能除けのビニールカッパを販売していました。あまりに凄惨な津波被害の光景に加えて、近所で放射能除けのビニールカッパを売っている光景を、自分が生きているうちに見ることになるとは思ってもいませんでした。

トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL: