« いまのところ、ロクな電子書籍がないけど… | メイン | DEGEN「DE1123」 »

2010年05月29日

●iPADを使ってみました…

 昨夜、初めてiPADをじっくりとイジリ倒しました。基本機能は「でかいiPhone」そのものであり特筆する部分はありませんが、サイズと重量のバランスは思ったよりも使いやすいし、画面の視認性や、画面サイズが大きくなったことによるタッチ操作のしやすさ、縦横表示の切り替えなども含めて、見やすく、使いやすいタブレットデバイスだと思います。特にiPhoneユーザであれば、そのまま普通に移行することができるでしょう。
 また、注目したいのは、これまでiPhoneユーザではなかった、初めてタブレットデバイスを使うユーザ層です。画面サイズが大きくなったことによる表示情報量の増加とタッチ操作のしやすさを考えれば、むしろiPhoneよりも、誰にとっても使いやすいデバイスです。
 ただし、電子書籍端末としては、視認性・操作性は問題なくても、大き過ぎるし重過ぎるので、使う気にはなりません。電車の中でつり革につかまって立ち読みするのはつらいし、寝転がって手持ちで読むのもつらい。これも予想通りです。

 今年度の国内出荷予測が50万台程度と、ちょっと市場が小さいのが気になるところですが、ビジネスターゲットとしては面白いので、早速私の会社でもiPAD対応コンテンツの開発をスタートさせました。iPhone用アプリと基本的な方向性は同じですが、たまたま私の会社では医療用ソフトなども作っているので、そういった方面でもアプローチしてみたいと思っています。

 それにしても、iPADのコンセプトと機能については、先に書いたように特に目新しいものではありません。これまでにも、WindowsやlinuxなどのOSを採用したサイズ、重量、表示解像度、そして機能がiPADとほぼ同等のネットワーク対応のタブレットデバイスが何種も商品化されてきました。でも、はっきり言って過去にタブレットデバイスで市場的に成功したものはありません。その中で、iPADが初めて市場で成功を収めつつあるわけですから、面白いものです。むろん、その理由は誰もがはっきりとわかっています。そして、iPADだけが成功した理由こそが、iPAD向けのコンテンツを創りやすい理由ですし、iPADを利用したビジネスモデルをコンセプトしやすい理由でもあります。

 基本的にiPhoneユーザ、iPADユーザは、その特徴を次のように考えることができます。
 …自分自身のことを「社会の動きに高感度」「感性に優れる」「高い社会性を持つ」…などと考える層が多く、しかも比較的高所得で、消費行動が活発、高学歴かそうでないにしても自分のことを頭がよいと自覚し、「エコ」とか「環境」といった言葉に敏感な層…、といったところでしょう。こうした層は、消費行動が読みやすく非常にマーケティングしやすいわけで、それに従ってコンテンツを展開していけばよいわけです。

 まあ、これまでにも書いてきたように、個人的にはiPADを使う予定は全くありませんし、興味もありません。仕事にも日常の情報行動にも、ネットブックの方がはるかに使いやすい。でもビジネスでは、iPADに、そしてむろんiPhoneにもAndroid系スマートフォンにも、しっかりと対応していくつもりです。
 そういえば昨日のエントリーで、「iPhoneやiPAD対応の電子書籍が、当面は自己啓発系やライフハック系などロクでもないものばかりになるのが嫌だ…」といったことを書きましたが、個人的にはこの手のコンテンツに全く興味がなくとも、ビジネスとしては十分に成り立つ…と考えています。だから、会社の方ではこうした「安易な電子書籍コンテンツ」にも注力していこうと思っています。個人の好みとビジネスは別物です。割り切って、楽して稼ぐことが肝要です。

 ところで、今日のエントリーを書いていたら、前にも似たようなことを書いた気がしたので調べてみました。
 もう5年以上前ですね、2004/8/30の日記で、次のようなことを書いていました。まったく私は進歩がないですね。



 …Macユーザの第一の特徴が「インテリで所得が高め」だってのはよく知られているところ。アメリカのマーケット調査会社によって「Macユーザは Windowsユーザと比べて高所得で高学歴」という調査結果がしっかりと提示されています。でMacユーザは、この「インテリで高所得」に加えて「心情 的反体制または自称オルタナティブ」であり、さらに「『文化』という言葉に弱い」という特徴を持つことは確実です。「Windowsのような体制派とは違 う」という点にアイデンティティを見い出し、さらに「新しい文化の担い手」なんて言葉を聞くと、もう無条件で喜ぶタイプ。これって、マーケティングを考える立場からすると、「もっとも乗せやすい」ユーザ層ということになります。単純なミーハー層は流行に対する好みがどう転ぶかわからないし、ガチガチの保守派は逆に複雑なマーケティング手法を応用する余地が少ない。自らを革新的と考え、自分は流行に左右されないと自認している層こそが、実はもっとも「マーケティング手法を使って恣意的に流行を与えやすい」層である…

トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL: