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2010年04月26日

●一瞬の夏 ~カシアス内藤

 昨夜、NHKのBShiで放映された「終わりなきファイト~伝説のボクサー カシアス内藤~」を見ました。見終わった後で、番組のエンドロールを見ながらしばし放心するほど、心を揺さぶられる番組でした。そして、本棚からずいぶん昔に読んだ沢木耕太郎「一瞬の夏」を探そうとして、膨大な本の山の中から見つけられるわけがないとすぐに諦め、明日にでも文庫本で買い直そうと考えながら眠りに就いた次第です。

 それにしても、30年近く前に読んだ「一瞬の夏」の、あのカシアス内藤が、中咽頭ガンを患っていることは知りませんでした。そして声を失っては後進の指導が出来ないと手術を拒否し、告知後の2005年に横浜で「E&J カシアス・ボクシングジム」を開いていることも知りませんでした(こちらの「ジムができるまでの長い旅」を読むと、ジム開設に当たっては沢木耕太郎やカメラマン内藤利朗らの有形無形の援助もあったようです)。さらに、彼には律樹という長男がいて、その内藤律樹が高校ボクシング選抜大会、高校総体、新潟国体のライト級で優勝して高校3冠を取り、将来有望なボクサーであることも知りませんでした。

 番組の中で、カシアス内藤は長男の律樹とともに、かつてカシアスから東洋チャンピオンのタイトルを奪い、その後何度も死闘を繰り返した韓国のボクサー柳済斗がソウルで開いているジムを訪れます。20数年ぶりに再開した柳済斗とカシアス内藤の互いに控えめな感情表現、初めて親しく食事をしながらカシアスがガンを患っていることを聞いて黙りこくってしまう柳済斗、そして翌日になってカシアスの長男の律樹に対して何かを思い詰めたように真剣に指導する柳済斗の姿…、どれも美しいシーンでした。

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