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2010年03月16日

●グリニッチヴィレッジの青春

 10年近く愛用していたノースフェースの小振りのデイパックがなんとなく汚くなってきたので、新しいデイパックを入手しました。買ったのはKELTYの「NIGHT HAWK」で、18リットルの小型バッグです。3気室に分かれているので大きいものは入らないけど、背中のパッドの気室側部分に大型のジッパーポケットがついていて、ここにはA4の書類でもネットブックでも入ります。上部のコンパートメントには、文具などのガジェットが整理できるようなポケットもついているし、普段使いにちょうどよいサイズ。
 ところでKELTYと言えば、私の世代には非常に懐かしいブランドです。デイパックの元祖メーカーの1つとして、70年代のライフスタイルの大きな影響を与えた「Made in U.S.A. Catalog」なんかでも紹介されていました。それ以上に、個人的な思い出があります。高校時代に山に登っていた私にとって、KELTYの「Tioga/タイオガ」というフレームザックは憧れの的でした。当時大型ザックの主流であったキスリングとは雲泥の差のカッコよさです。タイオガは、当時でも4万円近くしたと思います。大学に入った頃、どうしてもパックフレームが欲しくてエバニューだったかの安いのを買ったのですが、たまたま帰省時に中学時代の友人と御嶽山に登る話になり、駅で待ち合わせた彼が持っていたのがタイオガでした。うらやましかったし、悔しかった。ただ、タイオガは確か80リットル以上の容量があり、2泊3日の御嶽山行にはどう見ても大き過ぎたと思います。
 その友人も、雪の鈴鹿・藤原岳で遭難し、20代で逝ってしまいました。もう1人、同じ中学からの友人も、歯科医として活躍していた40代初めにガンで逝き、私は大切な友人を2人失っています。

 もう1つ、懐かしい…という話です。河出書房新社から発売された「グリニッチヴィレッジの青春(スージー・ロトロ)」を読みました。60年代、ボブ・ディランの恋人だったスーズ・ロトロの回想録です。スーズ・ロトロといえば、ディランのアルバム「フリーホイーリン」のジャケットの写真があまりにも有名です。特に目新しい話や衝撃的な暴露話はありませんが、それでも60年代のヴィレッジの雰囲気が絵や写真を見るように伝わってきて、なんとも言えない気持ちなりました。私はこの本で書かれた時代から15年ほど経った70年代の半ばにハウストンの南側に住んでいたことがあります。当時はまだ、この本で描写されている60年代のグリニッチヴィッジからイーストヴィレッジ、アルファベットアベニューあたりやハウストン通り周辺の雰囲気はまだ色濃く残っていました。アルファベットアベニュー周辺などは、80年代に入ってから急速に治安が悪くなりましたが、70年代はまだユダヤ人街として独特の雰囲気を持っていました。
 ディランに代表される当時の音楽やアートに関する思い入れ、さらには個人的なニューヨークに対する思い入れなどが入り混じり、いろんな意味で懐かしく、興味深い本でした。

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