●裏面照射型CMOS「Exmor R」
「ソニー、世界初の裏面照射CMOS搭載デジタルカメラ」…、かねてより噂があったこの製品の登場が各所で話題となっています。採用された裏面照射型CMOS「Exmor R」は従来比約2倍の感度を持つとされており、手持ち夜景スナップが可能…を謳っている以上、夜景スナップが好きな私は強い興味を持たざるを得ません。
裏面照射(または背面照射)によってイメージセンサの高感度化を図る…というアイデアは、古くからあり、高価な産業用、医療用、天体観測用、科学実験用等向けのイメージセンサとしてはかなり以前から実用化され、実際に多くの機器に使われていました(英国e2vテクノロジーズ社の背面照射CCD、「EM-CCD」などはよく知られており、他に浜松ホトニクスなども同様のCCDを供給しています)。そしてここ数年は、世界中で多くのイメージセンサメーカーが、裏面照射型CMOSのコンシューマ向け製品の開発に取り組んできたものです。
裏面CMOS採用のデジカメの話も、昨年あたりから一部で盛り上がっており、Panasonicが次期高画質コンデジ向けに最初に採用するという噂などもありましたが、やはり先にビデオカメラで採用したソニーが最初に商品化したようです。
裏面照射型イメージセンサの原理については、こちらのサイトがいちばんわかりやすいでしょう。
さて、夜景スナップが好きでそれゆえにF200EXRを絶賛する私ですが、夜景スナップが好きとは言いながらも、結局日常のスナップ用として最もよく使っているデジカメは、いまだに初代GRDです。GRDをかなり使い込んだ後でGRDⅡを購入しましたが、そのGRDⅡよりも初代GRDを持ち歩くことの方が多いのです。
私は初代GRDでフラットに撮った画像が非常に好きです。あくまで感覚的なものですが、GRDⅡの画像と比較すると、ノイズ処理が行き届いていない分、初代GRDの方が自然な画像が得られる印象があります。言い方を変えれば、GRDのノイズは私にとって「好ましいノイズ」です。GRDは、多少光量が不足する場面でもISO200あたりで撮影すれば、GRDⅡで同じ感度で撮影した場合よりもナチュラルな画像が得られるような気がします。相当にノイズが増えるISO400でも、私はノイズリダクションがしっかり利いたGRDⅡの画像よりも、明らかにノイズが多いGRDの画像の方が自然で好ましく感じます。言ってみれば「風情のあるノイズ」です。だからというわけではありませんが、今回発表されたGRDⅢにもいまひとつ食指が動きません。
現時点で、そんなGRDに対してひとつだけ不満があるとすれば、それは28mmという画角で撮るスナップに飽きてきたことです。どうも、ここへ来て原点回帰というと大げさですが、35mmから40mmぐらいの画角のスナップ写真の方がうまく風景を切り出せるような気がするのです。もともと昔銀塩一眼で写真を撮っていた頃は、35mmの短焦点レンズが非常に好きでした。28mm というのは、当時は「策が意図をもって使う広角」でした。GRDの28mm単焦点のディストーションがちょっとクドく感じてきたのは、そういった経験的な背景もあるのかもしれません。
そういう意味では大口径40mm単焦点のシグマDP2に魅力を感じるのですが、いかんせんポケットに入れて持ち歩くには大き過ぎるし、動作も敏捷ではありません。ズームは要りませんから、どこかが小型軽量で40mm前後の単焦点レンズを搭載した高画質コンパクトデジカメを発売してくれないかなぁ…と、切に願う今日この頃です。
それにしても、この期に及んでGRDⅡよりも初代GRDで撮る画像の方が好きだと言っている自分の感覚は、実のところ他人にはうまく伝えられません。「いや、GRDⅡの画質の方が圧倒的にいい」と言われれば、論理的に反論することができません。ただ、「画質」に「絶対的な尺度」を持ち込むこと自体に無理があると言わざるを得ないのです。
デジカメを語る上で「画質原理主義」というのがあっても、別によいとは思います。しかし一方で、このサイト内で昔から何度も書いているように、人間の目の機能(分解能や色認識)の限界、脳による画像認識機能の曖昧さ、そしてなにより人間が持つ目の機能や画像認識機能の個体差(個人差)が極めて大きいことなどから考えれば、画質原理主義には虚しい部分がありまず。加えて、人間の美意識たるや千差万別でありますから、結局デジカメの画質評価なんてものは、相対的、個人的な評価にならざるを得ないと考える次第です。