« 真夜中に聴きたい50曲 (4) | メイン | 真夜中に聴きたい50曲 (6) »

2009年07月24日

●真夜中に聴きたい50曲 (5)

(5)Carly SimonYou Are My Sunshine」(カーリー・サイモン:ユー・アー・マイ・サンシャイン)

 さて、今回紹介する曲は、先に紹介したニール・ヤングやオールマン・ブラザーズ・バンドのように、そのミュージシャン自体が好きなので、1曲選べといわれてもどの曲を選んだらいいか迷う…というパターンではありません。私はカーリー・サイモンというシンガーを別に好きなわけではなく、むろんアルバムも1枚も持っていません。にもかかわらず、カーリー・サイモンが歌う「ユー・アー・マイ・サンシャイン」は大好きです。これは、言わばある種の「化学反応」のようなもので、「ユー・アー・マイ・サンシャイン」という曲が大好きなわけでもなく、カーリー・サイモンというシンガーが大好きなわけでもないのに、「カーリー・サイモンが歌うユー・アー・マイ・サンシャイン」は特別の曲になってしまったわけです。

 カーリー・サイモンと言えば、私たちの世代にとっては1972年の大ヒット曲「うつろな愛(You're So Vain)」のイメージが余りにも強いシンガーです。まあ、彼女はある時代に非常に高い人気を誇った女性ポップスシンガーで、「うつろな愛」以外にも、「007 私を愛したスパイ」の主題歌 「Nobody Does It Better」など数多くのヒット曲があり、さらに私生活においてもジェームス・テイラーと結婚(後に離婚)するなど、アメリカでは現在も高い知名度とそれなりの人気を保っているシンガーです。
 で、曲の方ですが「ユー・アー・マイ・サンシャイン」は、1940年頃に当時売れないカントリーシンガーであったジミー・デイビスによってレコーディングされた歌。その後ジミー・デイビスがルイジアナ州知事になった経緯もあって、1977年にルイジアナ州の州歌となっています。「ユー・アー・マイ・サンシャイン」が有名になったのは、当時有名なカントリー歌手、ジーン・オートリーやポップシンガーのビング・クロスビーがレコーディングしてヒットしたからです。その後「ユー・アー・マイ・サンシャイン」をレコーディングしたシンガーは多く、第二次大戦義にはレイ・チャールズやアレサ・フランクリンなどが歌ってヒットしました。いまや誰もが知るアメリカのポピュラーソングです。
 you are my sunshine my only sunshine
 You make me happy  when skies are gray
…で始まる歌詞は、明るい恋の曲のようですが、実はトーチ・ソング(torch song)で、要するに「ユー・アー・マイ・サンシャイン」は失恋の歌です。これを知った上で、カーリー・サイモンが歌う「ユー・アー・マイ・サンシャイン」を聞いてみてください。これが、何とも言えずいいんです。ちなみに「Into White」という2007年にリリースされたアルバムに収められています。

 私がこのカーリー・サイモンが歌う「ユー・アー・マイ・サンシャイン」を知ったのは、ごく最近のこと。実は、アメリカのTVドラマ「コールドケース」によってです。シーズン4の第16話「ベビーベッド:The Good-Bye Room」で使われていました。まだアメリカで「未婚の母」が白い目で見られ、中絶もできなかった1964年の田舎町を舞台に、望まれない妊娠をした良家の女の子がこっそりと出産するために両親によって無理やり宗教施設に入れられて、生まれた子どもは養子に出される…という悲しくも切ない話ですが、このエピソードの中でカーリー・サイモンが歌う「ユー・アー・マイ・サンシャイン」は実に効果的に使われていました。今でも、ドラマの最終シーンの情景が目に浮かぶほどです。「コールドケース」のエピソードの中でも傑作の1つです。

トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL: