●真夜中に聴きたい50曲 (3)
(3) Neil Young「Keep On Rockin' In The Free World」(ニール・ヤング:キープ・オン・ロッキング・イン・ザ・フリー・ワールド)
だいたい、ニール・ヤングの曲から1曲を選べ…というのが土台無理な話。1960年代のデビュー以来、60代になった現在に至るまで、ソロシンガーとしての活動はむろん、バッファロー・スプリングフィールド、CSN&Y、そしてクレージーホースとのセッションを含めてあらゆるジャンルの音楽に手を出し、公民権運動やベトナム戦争から9.11テロ事件に至るまで常にその時代に起きた歴史的な出来事へのメッセージを送りながら第一線を走り続けてきた彼には、時代を象徴する曲や傑作と言えるアルバムが山ほどあります。アルバムで言えば「アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ」や「ハーベスト」、曲では「オンリー・ラヴ」や「ハート・オブ・ゴールド」などをベストに挙げる人も多いでしょうが、あえて私は、彼のミュージシャンとしての真髄を示す象徴的な曲として「Keep On Rockin' In The Free World」を挙げたいと思います。
この曲を収録した1989年のアルバム「Freedom」は、グランジのがベースの轟音・爆音系の曲と、ジャンル分類不能なオルタナティブ系の曲、リンダ・ロンシュタットとのデュエット曲から叙情的な曲までがバラエティ豊かに収録されていますが、その中で「Keep On Rockin' In The Free World」はといえば、ともかく「ロック」をしている…としか言いようがない曲。時代へのメッセージを発信し続けてきたニール・ヤングだからこそ、ストレートなサウンドと歌詞が、心に響きます。私はこの曲が大好きです。ニール・ヤングは、○○系とレッテルを貼るのは難しいミュージシャンですが、私としては、やはり永遠のロックシンガーとしての彼が好きですね。
そういえば、マイケル・ムーア監督の映画「華氏911」のエンディングテーマで、「Keep On Rockin' In The Free World」が使われていました。
Keep on Rockin' in the Free World
ロックし続けろ、ここは自由の国だ!
…と歌うニール・ヤングは、これからもずっと、過激なロックおやじでいて欲しいものです。