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2008年11月13日

●CPビジネスのその後

 昨年、新会社設立の経緯を書いた携帯公式サイトのCPビジネス、相変わらず続いています。本業の片手間でやっている割に、まあ順調と言えば順調です。ほとんど自己資金ゼロで始めた会社ですが、設立してすぐに国民生活金融公庫に「開業資金」を申し込んだところ、比較的簡単に申請が認められ、500万円を借り入れることができました。それを元手にサーバーを借りるなど準備を整え、3人のスタッフが本業の合間を見てサイトを作り、次々に公式サイトのサービスインを果たしました。

 実質的に業務をスタートして約1年が経過した現在、アミューズメント系の携帯電話の公式有料サイトを6サイト運営中です。うち3サイトはドコモ、au、Softbankの3キャリアで展開、残る3サイトはau、Softbankの2キャリアで展開しています。
 サイト管理業務、サポート業務では特に面倒な作業は何もないですし、コンテンツの更新に多少の手間がかかってはいますが、自前の更新プログラムを使って可能な限り簡素化しているので、現状では本業の合間にできる程度。むろん、スタート当初から変わらずスタッフ3人だけで、事務所も間借り状態でやっているので、月々の経費はと言えば、サーバー代と広告費(アフィリエイト代)のみです。まあ大きく儲かってはいませんが、毎月それなりに利益を出している状況です。年内に、あと2サイトを開設する予定で準備を進めており、来年3月までにさらに2サイトほど開設できれば…と考えています。

 ところで、今回、実際に携帯公式サイトのCPを1年間やってみて、世間ではCPビジネスについての誤解、というか「伝説」が非常に多いことを、改めて考えさせられます。
 例えば公式サイトの企画を通すためのキャリアの審査についてですが、ネット上などでは、キャリアの審査を通すのはけっこう難しい…なんて書いてある例が多い。特にドコモの審査を通すことはかなり難しい…としているところが多いですね。お金を取って公式サイト審査代行とか公式化支援サービスとかをやっている会社のホームページを読むと、ドコモなどの公式サイトの審査を通過することがいかに難しいか…について、得々と書いてあります。
 例えば、やたら分厚い企画書が必要…とか、コンテンツ審査担当者と何度も会ってプレゼンし、さらに審査通過までに何度も企画書を書き直させられ、結果的に通過までに何ヶ月もかかるのが普通…とか、コンテンツ審査担当者やドコモとのコネがないと通りにくい…とか、ドコモ公式サイト運営の実績がある会社か資本金が大きな会社でなくては通らない…とか、占い・診断系などすでに類似サイトが多い分野は、よほど有名人を監修者にしないと通らない…等々。

 実際に私たちの会社が6サイト(うち3サイトは3キャリア、残り3サイトは2キャリア)の審査をキャリアに申請してみた結果から言うと、こうした話はみんなウソ。特に「ドコモ神話」は、公式サイト制作支援、審査代行…を受託している会社が、お金を取るために作り上げた、大げさな話です。

 実際に私がドコモに企画書を提出して審査を通過させた経緯で言えば、私たちの会社は設立して1年も経っていない小さな会社で、サイトの運用実績も全くないにも関わらず、一発で企画書は通ったし、企画書提出から審査までに要した時間も、いずれも部会議、全国会議の最短日程の2ヶ月以内です。審査のためにキャリアとの面倒な交渉など不要だし、膨大な企画書も不要でした。むろん、1件目に企画書をネットで提出した段階では、審査担当者との面識もコネもありませんでした。2件目、3件目の申請など、担当者にメールで企画書を送付しただけで、後は面談もなしで審査を通過して公式化を果たしました。

 ただ、こういった形で私たちの会社の公式サイト企画がスムーズに審査を通過した最大の理由は、「企画自体が優れている」「わかりやすく過不足のない企画書を提出する」…という前提があったからこそだと考えています。逆に言えば、企画さえ優れていれば、ドコモの公式サイト審査通過にあたっては、別にコネも金も時間も不要ということです。CPになりたければ、誰でも簡単に会社を作って、キャリアに企画書を提出すればよいのです。公式サイト向けのよい企画、オリジナリティが高くアクセスを見込める企画をお持ちの皆さんは、例え相手がドコモと言えども、臆せずに企画書を提出してください。特別なノウハウとかコネなど、全く必要ありませんから。

 ただ、肝心なことを一言だけ言っておきます。公式サイトのCPビジネスなんて、そう簡単には儲かりません。サイトを開設するのは簡単でも、会員を集めるのは非常に難しい状況です。例えば上述した占い・診断系サイトの例で言えば、公式メニューに載ったところで、何の広告もしなければ、会員数は数百人もいけば上出来で、下手をしたら1年経っても100人以下…なんてこともあります。アフィリエイト広告などを打っても、1000人以上の会員数にするには相当な広告費が必要です。新たに会社を設立して、オフィスを借りて、人材を集めて、給与を払って…といった正攻法に則って資本を投入し、新規に携帯のCPだけで食べていく会社を運営しようと考えている人に対しては、「いくらよい公式サイトの企画を持っていても、CPビジネスだけで短期間で黒字化して投下資本を回収できる確率はかなり低い」…と申し上げておきます。いっそ、私たちの会社のように、投下資本をうんと抑えて、ゲリラ的にサイトを展開した方が面白いかもしれません。

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