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November 02, 2006
履修単位不足問題 …生徒の責任は?
いじめ問題や履修単位不足問題に関するマスコミ報道を見ていると、「責任の所在」…に対する考え方がヘンです。
まず「いじめ問題」ですが、マスコミの報道を見ていると、責任逃れに終始していじめを認めない学校側や教育委員会の対応に対する非難ばかりが集中しています。でもいじめに関して、最も責任を取るべきなのは、誰がどう考えても「いじめた側の人間」です。「教育現場の責任」なんてものは、「本人の責任」、「家庭の責任」の次にくるべきものです。この点を、もっときちんと報道すベきです。相手を死に至らしめるまでいじめた人間こそが、まずもって速やかに責任を問われるべきです。年齢によっては、保護者の責任も問われなければなりません。私は、実名を公表しろとは言いませんが、少なくとも暴力行為があれば即、暴行・傷害の罪に問うべきでしょう。言葉によるいじめであっても、犯罪として立件可能であるることは言うまでもありません。ともかく、「いじめは犯罪」であることを、教育現場は明確にわきまえるべきです。そして、学校や家庭が、刑事責任・損害賠償責任を回避する目的で虚偽申告を行うこと、それもまた犯罪であることを明確にする必要があります。
履修単位不足問題も、「責任の所在」議論がおかしいのは同じです。学校の責任だけでなく、文科省や教育委員会の責任も問われています。そしてこの履修単位不足問題では、ともかく「生徒が被害者」ということになっています。進学率向上を目的に履修科目を減らした学校や、それを黙認した形跡がある教育委員会に責任があるのは当然ですが、本当に履修単位不足の生徒達は「単なる被害者」に過ぎないのでしょうか? 大学入試に都合がよいだけのカリキュラムを黙って(喜んで)受け入れた生徒達には、何の責任もないのでしょうか?
自分たちは被害者…と憤る生徒たちを見ていると、「ちょっとおかしい」とも感じます。彼らが自らを被害者と感じるのは、「受験も近いこの時期に補習授業を受けなければならないから」であって、「高校がちゃんと所定の科目を教えなかったから」ではありません。つまり、高校生たちは多くの場合、本来受ける権利があるはずの授業を受けられなかったことに対して憤っているわけではない…のです。
さらにTVを見ていたら「自分たちはちゃんと所定の科目を履修しているのに、50時間しか補習しないでも済むのは不公平」だ…と憤っている高校生がいました。これもヘンです。自分たちは「苦労した」が、彼らは「楽をした」と言っているわけです。本来なら、全科目を履修できた自分たちは幸運であり、受けられなかった生徒を「気の毒」と思うべきでしょう。自分は、ちゃんと教養を身に付ける機会を得ることができたのですから。
考えて見れば、高校生にもなれば、自分たちが「何のためにどんな科目を履修しているか」「何のために学ぶか」については、強い自覚があって然るべきです。例えば「世界史の時間に日本史を履修されられた」のであれば、真っ先に生徒自身が抗議すべきことであり、それを「入試への利便性を図ってくれる」と感じる方がヘンなんです。自らが「楽をする」ために履修不足を見過ごした生徒達自身にも、大きな責任があります。18歳にもなって、何を甘えたことを言っているのでしょう。
誤解しないで頂きたいのですが、私は「生徒には学校側のカリキュラムが適法であるかどうかを調べる責任がある」…と言っているのではありません。それは無理ではないにせよ、さすがに酷な話です。私は、「生徒には自ら何を学ぶか判断する責任があるのではないか」…と言っているのです。
いずれにしても「補習の上限50時間以内」なんて、こんなことで決着をつけるのは間違っています。履修単位不足の生徒全員に、正規の授業時間に相当する補習を義務付けるべきです。また、高校の履修単位不足で入学した大学生は、大学に在籍しながら高校での補習を受けるべきです。履修単位不足のまま既に大学を卒業した社会人は、いったん高校・大学の卒業資格を取り消した上で、正規の授業時間に相当する補習を受けた上で、改めて高校・大学の卒業資格を付与すべきです。
そういえば、履修単位不足が発覚して自殺した校長がいました。あえて死者に鞭を打ちますが、もしこの自殺の理由が履修単位不足の発覚にあるのなら、自殺するなどというのは甚だ無責任であって、教育者、しかも校長という教育現場で指導的立場にある人間の行動としては、到底容認することはできません。若者の自殺が相次ぐ中で、教育現場では「人生で壁にぶつかったら死を選ぶのではなく、粘り強く解決法を探して強く生きるべき」と教えなければならないはず。校長が自殺などすれば、安易に死を選ぶことを肯定しているようなものです。
投稿者 yama : November 2, 2006 12:18 PM