« GR DIGTAL | メイン | 憂鬱な雨が続きます »

July 15, 2006

うなぎが食べたい

 朝刊を読んでいると、しばし虚無的、絶望的な気分に襲われます。

 イスラエルによるレバノン攻撃の記事。国際空港に続いてベイルート市街地に対する空爆が続き一般市民に犠牲が出ています。ライス国務長官によるイスラエルに対する「自制」要請も、一方でブッシュが「レバノンを攻撃することで自国を防衛する権利はある」と発言しているようでは効果なし。むろん、侵攻の原因にヒズボラによるイスラエル兵拉致があるにしても、圧倒的な戦力を駆使しての市街地攻撃は、アフガニスタン攻撃やイラク攻撃を思い出させます。結局、犠牲になるのは市民。
 ところで、そのイスラエルが停戦条件を提示しました。拉致された兵士の解放…という条件はまあ当然でしょう。しかし「ヒズボラの武装解除などを定めた国連安保理決議の履行」を条件として提示しているのには、驚きました。よく知られていますが、イスラエルは1948年のイスラエル建国で生じたパレスチナ難民の帰還権を宣言した国連総会決議194号を無視しました。1967年には、第3次中東戦争後にイスラエルに対して占領地からの撤退を求めた国連安保理決議242号を無視、それ以後もイスラエルは安保理決議を無視し続けています。近いところでは、2004年に安保理はデモ隊に向けての発砲と住宅破壊に関してイスラエルを非難する決議を行っていますが、イスラエルは当然無視しました。イスラエルはこれまでに60以上もの国連の決議を無視しています。イスラエルが無視しているのは国連決議だけではありません。2004年に国際司法裁判所が、ヨルダン川西岸の分離壁を違法と認め、撤去を勧告したこともありました。これまた当然、イスラエルは無視しました。
 翻って、現在朝鮮のミサイル発射に対する安保理非難決議の成立が難航しているという記事。「安保理決議」や「国連決議」そして「国際法」なんてものが、現実の世界でどんな意味と効力を持つものか、中東の歴史やイラク攻撃の経緯などを見ていれば誰でもわかることです。いったい、日本政府は何がしたいんだろうか?

 まもなくサンクトペテルブルグでサミットが開催されます。このサミットで、アメリカとロシアが衝突の可能性…という記事がありました。ロシアおよび旧ソ連圏の民主化の遅れを非難するアメリカ、そして沿カスピ海諸国においてエネルギーを巡る欧米とロシアの争いの表面化。この記事を読んでいたら、7月8日にNHK BSで放送された「BS世界のドキュメンタリー-潜入ルポ・旧ソ連軍巨大兵器庫 密輸疑惑に迫る」という番組を思い出しました。たまたま見ていたのですが、秀逸な番組でした。世界各地の紛争地域への武器密輸出の拠点と疑われてきた「沿ドニエストル共和国」への潜入ルポで、フランスのTV局が制作したもの。ウクライナ国境に接するモルドバ共和国内の「独立国」である沿ドニエストル共和国については、こちらや、こちらを参照して頂くとして、ともかく沿ドニエストル共和国のような傀儡国家を平然と作り上げるロシアとそれに対して何もできない「国際世論」の現状は非常に不気味です。旧ソ連の覇権回復を狙うプーチン政権下のロシアと、もう一方の覇権国家であるアメリカは、そんなに遠くない将来、大規模な地域紛争の形で争う可能性は高いかもしれません。

 そして、もっとも絶望したのが、国立教育政策研究所が実施した学力テストの結果を報じた記事。小学生から大学生まで、学力低下を指摘する記事にはもう驚きませんが、それにしても、国家や社会の将来を考えると虚無的な気分になります。

 こんな気分を吹き飛ばすには、美味しい物を食べるに限ります。今日は暑いし、久しぶりに神田「きくかわ」でうなぎでも食べようかなぁ…

投稿者 yama : July 15, 2006 12:27 PM

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.pit-japan.com/ws30/mt3/mt-tb.cgi/47

コメント