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July 05, 2006

テポドンかぁ…

 起床後出勤までの時間帯、概ね午前7時15分頃から8時40分頃までの間は、朝食を摂ったり、新聞を読んだり、そしてTVを見て過ごしています。まあ、どこの局を見ると決めているわけではないので、チャンネルを替えながら面白い話題をやっていそうな番組を見ているわけですが、特に民放は基本的にはどのチャンネルも同じニュースをやっていることが多く、キャスターが「小倉某」だの「みの某」だのと変わり、コメンテーターが変わっても、言っていることは誰も同じで、甚だ面白くありません。
 例えば、昨日はNHKを除く全てのチャンネルで中田英寿選手引退のニュース、そして今日は北朝鮮によるミサイル発射のニュースです。中田選手引退については、かの人物に対する関心があまりないので、別に全ての民放チャンネルが同じような内容を流すほどのことじゃない…と強く感じました。そういえば新聞に全文が掲載されていた中田選手の引退コメントを読んでみましたが、あの手の文意・文章は、私は生理的にダメです。あの、ブラジル戦後にピッチで長時間寝そべってたのも、わざとらしいと思ったくらいですから。ま、こんな話はどっちでもいいか…
 そして、今日の北朝鮮によるミサイル発射は、NHKも含めて全局が同じ内容のニュースです。安部氏の記者会見中継以外には、各局が用意した「自称北朝鮮問題専門家」諸氏の憶測だけのコメント。輪をかけてヒドイのが各局のコメンテーターの言いたい放題。本当に、こんなどうでもいい話を延々とやられても面白くない。
 素人の感想ではありますが、朝の時点ではミサイルの数も落下時点も不明瞭なコメントばかり。どこから発射されてどこに落ちたのかリアルタイムで正確にトレースしていながら、情報を出さないようにしているだとすれば理由はさっぱり不明。逆に、官房長官のコメントのように、発射後数時間たった時点で「正確な落下場所については現在精査している」なんて話なら、もっとわけがわからない。正確に弾道をトレースできないのであれば迎撃なんてできっこないわけです。まあ、アメリカのミサイル迎撃実験は失敗続きの上、米軍関係者が「よほど条件が揃わないと迎撃は難しい」「迎撃の確率は低い」と公言しているような代物ですから、まあどうでもいいんですけど。おまけにこの記事によれば、「ミサイルは同日午前3時半すぎから断続的に計6発発射されたが、海上保安庁が警報を出したのは午前8時53分」…って何だ? 船舶や飛行機にリアルタイムで警報すら発せられない状況なわけで、世界第2位だったかの国防費を使っているこの国の防空能力なんて、こんなものです。新聞記事によれば、米軍の早期警戒衛星が最初に発射確認、海上自衛隊のイージス艦「こんごう」は米海軍のイージス艦と連携しミサイルの弾道を捕捉した…とのことですが、民間に警報を出せないようじゃ、「自衛隊」は誰を守るためにあるんだろう。
 あげくに早速制裁措置を決めたとのことですが、特定船舶入港禁止法を発動して万景峰号など北朝鮮船舶の入港を半年間禁止するって、たった半年間の措置ってそりゃ何だ? 日本に敵対する意図でミサイルを発射した、すなわち「宣戦布告」に近いと捉えるのなら、あまりもほのぼのとした措置。どうせ今後、送金停止などの経済制裁を行うことになるのでしょうが、何だかこれが、敵対的な意図でミサイルを発射した国への対応かと思うと情けない。
 国連の安保理に持ち込んだって、別にどうにもならない可能性が高い。そんなことは誰もがわかっていること。まずシビアな制裁決議には中国が拒否権を発動することは確実。それ以前に、アメリカにとっても欧州諸国にとっても、日本海の真ん中辺りに向けて北朝鮮がミサイルを発射したなんてレベルの北朝鮮と日本との小競り合いなんて、ほとんど関心の対象にならない。しょせんは極東の片隅、世界地図の端っこでの小さな出来事です。欧州や米国にとっては、パレスチナ問題やイラク問題の方がはるかに、直近の解決すべき紛争でしょう。

 欧米の認識以前に、日本の安全保障…、いやそんな大げさな話ではなく、日本という国に住む我々自身の生活への影響を考えても、北朝鮮が日本海へ向けてミサイルを発射したなんて出来事よりも、パレスチナやイラクで現在進行中の「戦争」の行方の方が、はるかに大きな問題だと思うのは私だけじゃないでしょう。こちらの方は、ことによればさらに大きな地域紛争へと発展し、日本に石油が入ってこなくなる…という方向へと事態が急激に展開するかもしれない。日常生活への影響は、大変なものになります。

 不謹慎を承知であえて言わせてもらえば、今回は別に日本の国土にミサイルが打ち込まれたわけじゃないし、ミサイル落下時点はほとんど領海の境界線上あたりと国土からは程遠い。私はここまで大騒ぎするのが理解できません。
 私は小心者だから、北朝鮮のミサイルは怖いし、戦争も怖い。何よりも、日常生活が大きな影響を受けるのは怖いことこの上ない。でも、現実的に考えて、日本の大都市なり工業地帯なり原発なりに北朝鮮がミサイルを撃ち込んでくる確率よりも、イラクへ自衛隊を派兵し、さらいはアメリカとの軍事同盟をいっそう強調したことで、東京の地下鉄にイスラム過激派が爆弾を仕掛ける可能性の方が、はるかに高いように思います。

 そんなことを考えれば、最初の話に戻って、朝のニュースで北朝鮮問題だけを報道し続けることで、本当に知りたいニュースをきちんと解説しないのは困ったものです。
 例えば前述したパレスチナの情勢。もっと詳しく報道して欲しい。ハマスなどによるイスラエル兵拉致に端を発したイスラエル軍のガザ地区攻撃は、民間人の犠牲者を増やしながら凄惨な状況になっています。エジプトが仲介に乗り出していますが、おそらく今回は簡単に解決しそうもない。そして、イラク。ここはもう手が付けられない「紛争地域」と化しています。
 そしてリアルタイムで状況を詳しく報道して欲しいのが、開票中のメキシコ大統領選です。ベネズエラ、ペルーと中南米諸国に相次いで成立している左派政権が、アメリカと国境を接する大国メキシコにも誕生するかどうか…は実に大きな問題です。アメリカ離れが進む欧州に加えて、中南米の反米政権がさらに増えることで、アメリカの影響力は大きく低下します。ベネズエラのチャベス大統領が西アフリカで開かれているアフリカ連合首脳会議にゲストとして招かれるなど、第三世界における反米潮流は進んでいる。日本も、アメリカとの同盟強化ばかり図っていては、世界の中で孤立が進むのは目に見えている。外交の軸足をアジアやアフリカ、中南米に移さなければダメだと考える人間は多いはず。
 世界的に見て、これほどに平和が脅かされる危機的な状況なのに、そうしたニュースはきちんと報道・解説されず、北朝鮮のテポドン一色ってのも、何だかなぁ…

 まあ、今日の日記は全部が素人の与太話です。別に日本が世界から孤立しても構わないんですけど、個人的には海外での仕事が増えているので、できる限り日本が海外から後ろ指を指されないような状況になる方がありがたいですね。

投稿者 yama : July 5, 2006 04:48 PM

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