« トレンドだった「ビートルズ嫌い」 | メイン | 日本国民であること「誇り」9割 »
September 14, 2005
デジカメサイトとしては、書くことが…
昨日発表され、Web上でも話題を独占したたリコー「GR-D」には、なんとも感慨深いものがあります。評価は様々ですが、曲がりなりにも広角単焦点レンズを搭載した高級コンパクトデジカメが製品化されたことは、デジカメ市場の「成熟」を明確に物語っています。
GR-Dについては、「スペックが中途半端」とか「APS-CサイズCCDを採用して欲しかった」などの声もあるようですが、個人的には機能・デザインともになかなかよくできた製品だと思います。単4型バッテリーの採用も、市販電池使用の利便性とサイズ・重量のバランスをとった結果でしょう。あえて注文をつければ、視野率が多少低くてもいいから光学ファインダーが欲しかったことぐらいですね。この手のカメラなら、やはり液晶をモニタを見るために顔や体から離して構えるのは、なんとなく違和感があります。あとは、エンプラの採用でボディの剛性や質感を落とし、レンズの明るさをF2.8にするなど光学系のスペックを落とした、実売4万円前後の廉価版の発売を希望します。個人的にはもう、いかにスペックが魅力的であろうと、実売価格5万円以上のコンパクトデジカメを購入する気持ちはありません。
ここへ来てのデジカメ市場の成熟の証は、他の様々な製品でも見て取ることができます。手ぶれ補正機能の一般化もそうです。そして、SONYからCMOSとは言え1000万画素を超える撮像素子を搭載したコンシューマ向けデジカメ「DSC-R1」が発売されたことも、ある種の感慨があります。ほんの5年前、200万画素機が「高画質」の代名詞であったころ、撮像素子の画素数の1000万という数字は、理屈では確実にいずれ到来することがわかっていても、現実には「夢」のような話でした。しかも、「DSC-R1」が採用したCMOSの「5.49um」というセルピッチにもインパクトがあります。
特にCCDについては、多画素化、特に画素ピッチが小さくなることへの批判もある中で、現実に多画素化による弊害は確実に抑えられつつあり、いつのまにかエントリーモデルですら500万画素CCDを採用する時代に入りました。しかも1/2.5型の500万画素や、1/1.8型の700/800万画素CCDは、大きな破綻を見せてはいません。この分だと、1年以内にメインストリームの製品は、すべて700万画素以上のCCDを搭載することになりそうです。
最近の製品では、Panasonic「DMC-LX1」も、とても魅力的なコンセプトの製品です。28㎜の広角側を活かす「16:9」のワイドCCDで撮る画像は、優れた光学系と併せて、使ってみたい気にさせてくれます。いずれ価格が安くなったら、購入するかもしれません。古い銀塩ユーザーには違和感が大きい「16:9」のワイドCCDが、今後広く普及するかどうかを、興味深く見守りたいと思います。
その他、デジ一眼の大幅な低価格化(ボディの実売価格が6万円台)や、レンジファインダー機のエプソン「RD-1」の存在、そしてMPEG4動画の撮影に特化した三洋「DMX-C5」、CCDに替わる撮像素子の可能性を示す「FOVEON X3」や「ν Maicovicon」の実用化なども含めて、デジカメの高機能化と多様化は、趣味の領域での利用も含めて、ほぼ銀塩カメラの存在を不要にしつつあることは間違いないでしょう。
こうなると、あと個人的に欲しい製品はといえば、U30と同程度またはそれ以下のサイズで400~500万画素のCCDを搭載した「デジタル・ミノックス」のような製品ぐらいですが、これも間違いなく近々製品化されるでしょう。
現実に、仕事では過不足のない性能のデジ一眼を使い、旅行などでは700万画素のコンパクト機を愛用している私は、もうほとんどデジカメに求めるものがなくなりました。そりゃ確かに、よりダイナミックレンジが高いCCDの搭載や、小型で長時間利用できるバッテリーの採用、PCとのインタフェースの改善(この面では無線LANを搭載したNikon「COOLPIX P1」は興味深い試みです)、GPS搭載デジカメの低価格化など、デジカメに希望すべき機能はありますが、反面、日常的な利用においては現行レベルの製品にほとんど不満はありません。
そろそろ、「デジカメサイト」なんてものをやめる時期が来たようです。
投稿者 yama : September 14, 2005 04:19 PM
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.pit-japan.com/ws30/mt3/mt-tb.cgi/25