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MPEG-4動画の概要

■MPEG-4の特徴

 パソコン、インターネット、そしてAV分野で多くの動画フォーマットが存在する中で、MPEG-4は次のような特徴を持ちます。

・データ量が小さい(圧縮率が高い)
・帯域が狭い(小さい画像ならISDN程度の回線でOK)
・Windows環境では事実上プラグインソフトなしでWeb上で利用可能
・エラー耐性能力が高い(不安定な回線や移動通信に適している)

 つまり、インターネットという利用場面を考えると現時点で最も使いやすい動画フォーマットなのです。

 逆にデメリットもあります。MPEG-4は、けっして高画質ではありません。というよりも、一般的に使われるMPEG-4動画は、画面サイズが小さくフレームレートが低いもので、いわゆる「TVやビデオの画質」と比較できるものではありません。MPEG-4のフォーマットは、圧縮率が高く、また圧縮の方法についても画質維持よりも狭帯域化を優先して考えられています。圧縮方式の特性から見ると画質が悪いわけではありませんが、低ビットレート動画という主たる利用場面では画質よりも帯域が優先されます。
 よく使われるタイプのMPEG-4動画は、なによりも画面サイズが小さいものです。大画面・高画質の規格もありますが、これはそれなりにビットレートが高く、個人のパソコン環境やネット環境では、使いにくいものです。MPEG-4のメリットが生かされる低ビットレートの動画は、QCIFまたはCIFというサイズであり、この画面サイズは既存のAV用TVなどでの本格視聴に耐えるサイズではありません。あくまでコンピュータのディスプレイ上、さらにはPDAや携帯電話の画面上で動画を見ることを想定したものです。
 また、MPEG-4のもう1つの大きな問題は、画像編集ソフトやエンコードソフトが少ない点です。いまのところ、MPEG-4ファイルのままで動画編集が可能なソフトは、わずか数種しかなく、そのいずれもが有償のソフトです。
 エンコードソフトについては、2001年以降Microsoft社がWindows用の標準マルチメディアプレヤーであるWindowsMediaプレヤーでMPEG-4動画の再生を正式にサポートして以降、状況が変わりつつあります。Microsoftは、MPEG-4のエンコードをサポートするソフトであるWindowsMediaエンコーダを、無償でユーザーに提供しています。
 いずれにしても画質があまりよくない、処理ソフトが少ないというこれらのデメリットを補って余りあるほど、「低ビットレート」というメリットが大きいのがMPEG-4動画なのです。

■MPEG-4の規格

 MPEG-4の最初の規格は、1998年に定められました。ベースとなる符号化技術はMPEG-1、MPEG-2の延長にあるものです。規格策定作業は既に1993年に始まっており、当初はアナログ電話回線を利用したテレビ電話の実用化を想定したものでした。しかし、実際に規格制定作業が進む中でインターネットの利用が盛んになり、1998年に最初の仕様が確定した段階では、完全にネット上の動画伝送フォーマットを想定したものへと変わっていたのです。
 MPEG-2がターゲットとしている帯域が数Mbps〜数十Mbpsと広く、しかもAVメディア用途に対応する高画質分野であるのに対して、MPEG-4は若干低画質ながら64kbps〜数Mbpsをターゲットにしたもので、まさにインターネット利用に適したものとなっています。しかも、リアルタイム再生、ストリーミング利用を想定したものです。

 MPEG-4は、画像サイズやフレームレートの違いで、概ね以下のように規格が分かれています。

・〜384Kbps(QCIF:176×144dot、〜10fps)
・128Kbps〜2Mbps(CIF:352×288dot、〜30fps)
・15Mbps程度(SDTV:現行の地上波TV放送)
・38.4Mbps(HDTV:現行のハイビジョン放送)

 これらの規格の中でも、当初の規格決定の目的に対応する「低速ビットレート」の部分が、昨今注目を集めているMPEG-4の核心部分です。QCIFの規格である〜384Kbpsというビットレートは、アナログモデムやISDNはむろん、ブロードバンド回線と呼ばれるADSLやCATVの中の低速部分にも対応し、現状の平均的なユーザーのインターネットアクセス環境にずばり適合するものです。さらに、今後数年間でさらに普及すると思われる高速のADSL、CATVに対しては、〜2MのCIFの規格がピッタリと適合します。
 またMPEG-4は、普及が進むWiFi(IEEE802.11b)などのあまり広い帯域が確保できないワイヤレスデータ伝送分野も大きなターゲットとしています。LANはもとより、WANや公衆無線網への応用が進んでおり、監視カメラ網における画像データ伝送などに広く使われ始めています。そして無線といえば、携帯電話における画像データ伝送分野(NTTドコモ:FOMA、au:ムービーケータイ)で既にMPEG-4動画の利用が始まっています。
 むろん将来的には、MPEG-4でSDTVという現行TV放送並の画面サイズの動画を扱う計画もあります。例えばWindowsMediaPlayerでは、400KbpsでVHSビデオ品質、700KbpsでDVD品質を実現する動画コンテンツが再生できる…と唄っていますが、これはMPEG-4動画フォーマットによるものです。しかし、今のところMPEG-2のアプリケーションを狭帯域のMPEG-4で代替していこうという動きは少ないようです(将来的には高画質ビデオソフト分野でもMPEG-4が使われる可能性はある)。現時点では、MPEG-2とMPEG-4は用途における棲み分けが確立しつつあります。


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