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「規格統一」に反対する

 TVのニュース番組なんかでIT関連の特集やデジタル家電特集などをやっているのを見ると、「評論家」とか「コメンテーター」とかいう人種が、必ず「規格がバラバラなのはユーザー不在だ。メーカーは自分勝手に規格を乱立させずによく話し合って規格を統一して欲しい」といった言い方をします。また、「規格乱立は市場拡大を阻害する要因だ」…といった論理もよく使われます。
 規格統一の話になると、いまだによく引き合いに出されるのがビデオの「VHS」と「ベータ」です。最近でも、現行CDの上位ハイファイ・オーディオ、DVD-RAM、音楽配信用フォーマット、ストリーミング用動画フォーマットなど、規格が乱立している製品分野は枚挙にいとまがありません。こうした状況を批判する人たちは、要するに規格が乱立していると消費者は何を買ったらいいかわからないし、後で消える規格の製品を購入すると不利益を蒙るということなのでしょう。
 いずれにしても、この「消費者のために規格は統一されるべきだ」という意見に、私は強く反対します。


■規格は乱立すべき
 技術発展の途上にある分野については、無理に規格を統一する必要は全くありません。
 確かに消費者の側から見れば、確かに規格が統一されている方が便利です。しかし、先端技術分野においては一般に規格が統一されると、採用される技術や部品類の共通化が一気に進みます。共通化された部品は量産規模の大きいメーカーが寡占的に供給する形となり、最終的にはメーカー間の製品機能の差が小さくなっていきます。つまり、似たような商品ばかりになってしまいます。こうした状況は、結局は技術の発展とメーカー間の競争を阻害するため、実は消費者にとっては不利なことです。
 発展途上にある技術や製品については、出来る限りギリギリまで規格統一を図ることなく、自由な競争が行われるべきです。発展途上にある技術が、「消費者のため」という大義名分で、早い段階で規格統一されると、間違いなく技術の発展は止まってしまいます。

■賢い消費者になりたい

 過去には、より優れた技術であるにも関わらず、規格競争に敗れて消えていった技術や製品が数多くあります。技術的に遅れたメーカー同士が手を組んで、技術的に進んだメーカーの特許に抵触しない技術規格を無理やり認知させていく…というのは、非常によくあるケースです。極論ですが、消費者は本当に優れた技術を見極めて、その技術を持つメーカーを育成していく気構えを持つ必要があると思います。
 基本的には、「規格統一されていた方が選択が楽だ」という考えを捨てることが大事でしょう。乱立する規格の中から本当によい技術を見極める…これは商品を選択する時の基本です。ハイテク商品を購入する時には安易に他人に聞くのでなく、いろいろと自分で調べて選びたいものです。「将来的に通用する技術」を調べることも、商品選択時には重要なことです。ないでしょう。そうなると、DSC-MZ1にフィーチャされている動画機能は中途半端にオーバースペックです。

■デファクトスタンダード

 私は「デファクトスタンダード」という考え方が非常に好きです。ユーザーによって淘汰された結果、自然に標準化が進む…これこそが本来あるべき規格統一のプロセスだと思います。全ての規格は、このデファクトスタンダードによって統一されるべきでしょう。ただし、ここでもメーカーの力関係が働く場合があります。より資本力のあるメーカーが大規模な宣伝によって、技術的に低い規格を普及させるケースもあるからです。しかし、例えそんなケースがあったとしても、誰かが音頭をとって無理やり規格を統一するよりは、はるかにマシですね。
 規格統一の中で最悪なのが、国、例えば官公庁のような公的機関が規格統一に乗り出すことです。官公庁は規格統一のための機関を作り、それを特殊法人にして認可制度の名のもとに天下り役人を送り込みます。さらにどこか力の強いメーカーの働きかけがあると、技術評価とは異なる基準で標準化が進んだりします。
 技術の標準化には、絶対に国は関わるべきではない…と思います。

■デジカメ分野の新規格

 考えて見ると、デジカメ分野でも統一されていない規格がたくさんあります。ちょっと考えただけで、バッテリー、メモリカード、次世代大容量記録媒体、静止画フォーマット、動画フォーマット、パソコン−デジカメ間のデータ通信規格…などは統一されていません。
 幸いなことに、デジカメ分野ではこれらの各部分の規格について「何が何でも規格統一をすべきだ」という声はありません。こうした中で、私が最も興味を持っているのは、静止画フォーマットです。というのも「JPEG2000」という規格が、いよいよ本格的に採用されることになりそうだからです。従来のJPEG特有のブロックノイズやモスキートノイズがなくなり、高圧縮率で高画質を実現している点で非常に期待しています。また「Motion JPEG-2000」はMPETG-4のような"動き予測"を行わないため画像編集が簡単であり、これまたデジカメ用高画質動画フォーマットとして期待できます。あるカメラの1つです。私は、DSC-MZ1をあくまで「小型軽量の高画質スチルカメラ」として評価します。

■余談です

  ところで、近頃流行のブロードバンド、「光か? メタル線か?」などと言われていますよね。そりゃメタル線でしょう。なぜ現在、膨大な社会資本を投下してまで光ファイバーを個別家庭にひく必要があるのでしょうか。公共工事削減という世論が高まっている中、IT関連の投資は世論の批判が少ないため、意図的に光ファイバーの整備を進めようとしていると感じます。
 現在既に存在するインフラを有効活用することを第一に考え、不要な公共投資はやねてもらいたいと思っています。
 現在のDSL技術なら、既存の電話線で8Mbit/s〜12Mbit/sまでのデータ伝送を簡単に実現することが出来ます。光ファイバーなら100Mbit/s以上も可能とのことですが、そのために膨大な社会資本を投入することに何か意味があるでしょうか…。10Mbit/sという帯域は、MPEEG-4やMPEG2の帯域を考えればわかるように動画データ伝送に十分なものです。また、今後のデータ圧縮技術の進歩によってさらに高品質のマルチメディアデータを送受信できるようになるはずです。


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