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海外旅行に持っていくデジカメ  その2

■撮影してはいけないシチュエーション

 さて、これまでの話が、「海外旅行向けデジカメ」というハードウェアの話だとすれば、ここから先は「海外での写真撮影のノウハウ」という「ソフトウェア」の話です。

 海外に行くと、宗教上の理由、軍事的・政治的な理由、社会慣習など様々な理由で、「写真を撮ってはいけない場所や場面」がたくさんあります。また、カメラを向けられることを嫌がる人もたくさんいます。あらゆる場面で「ここは写真を撮ってもよい場所か?」ということを考えるべきです。
 個人的も、写真に関してはいろいろなトラブルを体験しました。アジアのある国境でなにげなく国境検問所にカメラを向けたら、銃を持った軍人がすっ飛んできたことがあります。同じくアジアの某国では、王宮の写真を撮ることが許されていません。やはりアジアの少数民族の村で、なんとなく建物にカメラを向けたら、年寄りにすごい剣幕で怒られたこともあります。メキシコでは、軍事施設にカメラを向けてトラブルになりかけたことがあります。そしてイスラム国でベールを被った女性に不用意にカメラを向けたら、近くにいた男に怒鳴られました。
 とりあえずは、写真を撮る前に周囲を見回して、「ここで写真を撮っても大丈夫」ということを「立て札や看板」、そして「周囲の雰囲気」などで確認しましょう。自分がいる場所の宗教的な慣習や社会慣習について、きちんと把握するようにしましょう。また、撮影禁止区域ではないからといって、誰にでもカメラを向けてよいわけではありません。問題は、写真を撮ることで周囲の雰囲気や相手との関係がまずくなるケースがあることです。
 これはうまく具体例を挙げて説明できませんが、ルール上写真撮影をすることに制約がなくても、撮らない方がいい場所やタイミング…というのは確実に存在します。ある場所での写真を撮ることの是非と微妙な撮影タイミングについては、海外旅行の経験値を積むにつれて自然と雰囲気でわかるようになるはずです。
 「どうかな?」と思ったときは、ともかく「Can I take your picture?」「Is it alright to take pictures?」…など、「写真を撮ってもいいですか?」と聞くべきです。このフレーズを口に出すことが、コミュニケーションのきっかけになる場合もあります。
 余談ですが、タイ語で「写真を撮ってもいいですか?」は「コー ターイ ループ ダイマイ?」と言います。

■ストロボOFFが基本

 「夜間の撮影や公共スペースの屋内撮影時に出来る限りストロボを発光させない」…、これは海外での写真撮影時における重要な注意事項です。

 ストロボを発光させてはいけないケースには2つあります。1つは規則上「写真撮影はしてもよいがストロボはダメ」という場合。これはアメリカの美術館や博物館などでよくあるルールです。もう1つは、ストロボを発光させると周囲の雰囲気を損なう…という場合です。以前、ニューヨークのイーストビレッジにある落ち着いたレストランで、お互いに写真を撮り合っている日本人の若い女性のグループを見ましたが、ストロボが光る度に周囲の客が迷惑そうな顔をしていました。確かに、レストランなどで写真を撮りたい場合もあるでしょう。しかし、周囲の人間が落ち着いて食事をしている場所で写真を撮る時は、ストロボを発光させないのが基本的なマナーです。
 しかし、こんなルールの問題以前に、「夜間でも、屋外や公共の場所では出来る限りストロボを発光させない」というのが、海外における撮影の基本だと思います。ストロボを発光させるということは、広範囲な周囲の人間に対して「カメラを持っている人間がいる」ということをアピールしているのとおなじことです。金を持っていそうな観光客…というだけで非常に目立つし、それが危険につながるような場所もたくさんあります。

 というわけで、デジカメは「ストロボOFF」をデフォルトの状態にしておいた方が無難です。夜間撮影はストロボOFFが基本と考えましょう。さらに、ストロボOFF設定が再起動した時にも維持されるかどうか…ということも確認しておきましょう。起動の度にいちいちストロボOFF設定をしなければならないデジカメは、海外旅行向きではありません。むろん、ストロボOFF設定ができないトイデジカメなどは使うべきではありません。
 ついでに、ストロボOFFでスローシャッターを切る撮影方法に慣れておいて下さい。手ブレに留意することもむろんですが、自分のカメラがどの程度の明るさでノンストロボ撮影ができるのか、また夜間のノンストロボ撮影時の画質などについてもよく知っておくことが大切です。

■「こっそり撮る」時の注意

 「隠し撮り」というと語弊がありますが、「相手に知られないように撮影したい」ことはよくあるでしょう。また海外では、自分が撮影していること自体を知られたくない…というシチュエーションも多いですね。そんな時、下手に隠し撮りしているのがバレると、堂々と写真を撮っているよりも、かえってまずいことになるケースもあります。
 そこでお勧めなのが、「相手にカメラを向けない撮影」です。要するに「ノーファインダー撮影」のこと。相手に正面を向いて顔の前にカメラを構えるのでなければ、人間は意外と写真を撮られることに抵抗を感じないもの。完全なノーファインダー撮影でも、「下手な鉄砲数撃ちゃ当る」式にたくさん撮れば、1枚ぐらいはまともな画像が撮れるものです。
 また、本サイト内のあちこちで書いているように、レンズ部が回転する仕組みを持つデジカメならば、液晶モニタを見ながらウェストレベルで水平に構えて撮影すると、撮られる相手は心理的な抵抗が少ないと思います。私は、ウェストレベルで構えられ、ストロボなしで暗いところで撮影可能なeggyを使って、アジアの夜をあちこちでさりげなく撮影をしました。同じくウェストレベルで構えられる小型200万画素機Nikon「COOLPIX2500」は、ヨーロッパの街でスナップに重宝しました。
 Nikon「COOLPIX4500/3500/2500」やSONY「DSC-F77」、CASIO「QV-2400/2900」、RICOH「RDC-i500/700」など、回転レンズを機構を持つとか、可動式液晶モニタによってウェストレベルで撮影できる機種などは海外旅行向き…と言うことができます。
 いずれにしても、隠し撮りは「絶対にバレない」自信がある時以外には、やめるべきです。自信がない場合は、堂々と「Can I take your picture?」と聞いてから撮影してください。

 いろいろとネガティブな話を書きましたが、私は逆に「カメラで写真を撮る」という行為が円滑なコミュニケーションの手助けになる…という体験も何度もしています。カメラは上手に使えば、見知らぬ国の見知らぬ相手と打ち解ける有用な道具にもなるのです。特にデジカメは液晶モニタを搭載しているので、ポラロイドカメラのように撮った画像をその場で見てみんなで楽しむことができます。  海外旅行でデジカメを、うまく使いこなしましょう。




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