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自分の評価と他者の評価  〜デジカメ・ニーズの個人差  その2  2002/2/16

■DC3800の評価

 他者の評価と自分の評価が異なる実例として、私のベストデジカメであるKodak「DC3800」が挙げられます。このカメラ、一般的に不人気で「非常によい」と評価する人が少ない機種です。作画機能は全く持っておらず、露出補正もないシンプルなカメラなので、「シャッターを押すだけ」以外の使い方が、事実上できません。むろん、動画撮影機能なんてありません。そんなところが大半のデジカメユーザーにはもの足りなく感じるのでしょう。
 にも関わらず、私にとっては依然として最新機種も含めた上で、現時点(2002年2月)での「ベストデジカメ」です。携帯しやすくグリップしやすい形状、ダイヤル式のモード選択をはじめ、バッテリーの問題や画質も含めて、手持ちのデジカメの中でこれ以上使いやすい製品はありません。
 ライブ感覚で撮影する…という面では、「DC3800」のスタンバイ速度の遅さと撮影感覚の遅さは明らかにネックになります。イライラする時もあります。でも、形状や重量を含む携帯性、グリップ性、操作性の3つの点で、現時点で「DC3800」を上回るカメラが見つかりません。…である以上、速度面での不満を我慢する、という判断で使っています。
 いずれにしても、以前にも書いたとおり、長期の海外旅行に1台だけデジカメを持っていくとしたら、私は迷うことなく「DC3800」を選びます。市場から消える前に、もう1台予備機を購入しておこうかと考えているくらいです。

■もう1つの撮影スタンス

 私は仕事でもデジカメを使います。一番多く使うのが、雑誌や単行本への掲載を目的とする商品や操作説明画面の撮影です。商品撮影とは言っても、シビアな広告用ではなく、雑誌の記事や単行本の本文中で使う小さな説明用画像などです。撮影対象はパソコンの周辺機器やパーツだったり、パソコン関係の機器操作場面などです。その他、たまには店舗の外観や室内風景などの撮影も行います。
 記事中で使われる写真は、概ね縦横が10センチ以下、普通は5センチ以下ですから、製版の解像度を考えれば200万画素程度で十分です。しかし解像度に余裕を見て、主に300万画素以上のデジカメで撮影します。
 こうした仕事で使うためのデジカメは、これまで書いてきた「趣味のスナップ用デジカメ」とは全く異なる基準で選択します。
 まずは各種マニュアル設定が充実していること。…というよりも、露出もフォーカスも完全なマニュアルで設定したい場面が多々あります。そして、撮影距離によって変わるパースをコントロールするために最低でも3倍のズームを搭載していること、そしてカメラに一定の重量があって手ぶれしにくいこと…などが条件となります。加えて、マクロ撮影に強いことも重要です。オートブラケット機能もよく利用します。
 こうした条件は、言ってみれば「趣味のスナップ用デジカメ」に求める機能とは、全く正反対に近いものです。例えば個人利用では高く評価する「DC3800」などは、こうした商品撮影用には全く使えません。条件を満たすカメラとしては一眼レフタイプのデジカメがベストだとは考えていますが、扱うのが私だけではないので、もう少し使いやすいカメラをと思い、300〜400万画素あたりの適当なデジカメを選択しています。
 というわけで、仕事関連での撮影用途に、現時点ではFuji「FinePix4900」、CASIO「QV-3500EX」を多く使います。いずれも1年以上前に発売された機種ですが、現在でもなお十分に使える機能水準にあります。最近は試験的にNikon「COOLPIX 5000」を使いはじめました。非常にグリップしやすく、よくできた製品だと思うのですが、全般的な使い勝手を評価できるほどに使い込んではいません。

 さて、お気付きだと思いますが、この「WS30の世界」というサイトの中ではこれらの機種についてのインプレッションを公開していません。何故なら、「WS30の世界」は趣味で使うデジカメについて書きたかったわけで、仕事で使うデジカメについての話を書いても意味がないと思ったからです。実際に上記の3つの機種は、オフィスの外に持ち出してプライベートで使ったことはほとんどありません。「FinePix4900」だけは、6倍ズームで遊ぼうと思って2〜3回街でのスナップ撮影に使ってみたのですが。重いのとポケットに入らないので、面倒になってあまり撮影しませんでした。結局、普段はオフィスの隅に転がっています。

■QV-3500EXという名機

 例えばCASIO「QV-3500EX」というカメラは、先に評価した「DC3800」の対極にあるカメラです。"バカでかい"とも言えるサイズと重量、オールプラスチックの質感のないボディ、ゴチャゴチャとした多機能、スナップ利用時の操作性の悪さ、デザインセンスの悪さなどから、個人的には日常的に持ち歩いて使う気にはまったくなりません。
 あらゆる点で日常のスナップ撮影では全く評価の対象にもならない「QV-3500EX」ですが、仕事で利用するカメラとしては非常に高く評価しています。実際に気にいってもいます。カシオというブランドイメージからは想像も出来ないほど、よく出来たデジカメです。複数の測光方式を使い分けられるし、ファインダー内でフォーカスエリア指定ができるのも非常に便利です。6センチまで寄れるマクロ撮影機能も優秀です。状況に応じて、完全なマニュアル撮影も可能です。屋内撮影だけでなく、たまに屋外で取材写真を撮るときにも、しっかり構えられるそのサイズと重量は、誰にでも使いやすいものです。非常にグリップしやすく。きちんと構えられる形状ですね。
 F2.0という大口径のキヤノン製ズームレンズを使っていることもあって、画質も悪くありません。確か、レンズとCCDの組み合わせは「Canon G1」と全く同じはずです。廉価版のG1と言ってもいいでしょう。個人的な感想では、シャープネスや発色などの点でFuji「FinePix4900」よりも高画質だと思います。
 日常の撮影では絶対に使わないであろう「ベストショット機能」も、ある意味で便利です。写真撮影に関する知識が全くないオフィスの女性スタッフでも、これを使うことで、いろんなシチュエーションでそこそこの画像が撮れるからです。
 仕事で使う場合には、操作性の良し悪しはほとんど無視できます。多少わかりにくいメニューであっても、じっくりと撮影する場合には設定に要する時間はあまり気になりません。
 こうして見ると、「QV-3500EX」はコストパフォーマンスも含めて「名機」と呼べるかもしれません。個人的には絶対に持ち歩く気にはなりませんが、このサイズと重量が苦にならず、デザインに不満がないユーザーにはオススメできます。

■WS30とCOOLPIX5000を比較する!?

 日立マクセル「WS30」とNikon「COOLPIX5000」、片やCMOSの35万画素のトイデジカメ、片や民生用コンパクトタイプでは最高画質・最高機能に近いデジカメ…、比較にもなりません。片や「おもちゃ」で片や「カメラ」、と言いきってもよいでしょう。この2つの機種を比較することは、常識的に考えて非常に乱暴な話です。
 でも私は、シチュエーションによってはこの2者の比較でWS30を選ぶケースがありますし、実際にそういうシチュエーションの方が多いかもしれません。
 例えば今日からロサンゼルスに出張で4日間行ってくるとします。現地で2泊の短期出張ですから、荷物は機内持ち込み分だけにしたいですね。荷物は少なくしたいけど、カメラは持っていきたい。また、仕事の合間に街をぶらつくのだから、スーツのポケットにカメラを入れて、歩きながらさりげなく撮りたい…こんな風に考えます。そこで「WS30」と「COOLPIX5000」の2機種しか選択できないとするなら、私は迷わず「WS30」を選びます。
 むろん、こんな私の選択は一般的ではないかもしれません。でも私は、いつもポケットに入れておいてさりげなく撮れる小型・コンパクトなカメラ以外は、持ち歩きたくないのです。
 ここまで極端な比較でなくとも、例えば「COOLPIX5000」と「DC3800」の比較ならば、仕事で使う以外の全ての用途で、「DC3800」を選びます。

■自分のデジカメは自分の評価基準で選ぶ

 デジカメに関しては、雑誌記事からネット上の個人サイト、そして大手BBSサイトに至るまで、「評価」記事が溢れています。プロのライターの手になるものから、ユーザーの使用感報告、ユーザーでもないシロート評論家のコメントなど、ともかく製品に対する情報量が多いのが特徴です。そんな大量の情報の中から、「自分にとって有用な情報」を探すのは難しいことです。自分がデジカメに求めているものを同じ前提条件としない他者の評価は、あまり気にせずにいきたいものです。
 趣味領域における私の撮影スタンスとデジカメに対するニーズは、あまり一般的ではないかもしれません。でも、私ほどではないにしても、デジカメの使い方や使う場面というのは、かなり個人差があるはずです。私個人でさえ、趣味で使うデジカメと仕事で使うデジカメは、全くニーズが違うのです。だからこそ、雑誌の記事などに書かれる他人の評価を気にするのではなく、自分のニーズに合ったデジカメを自分の力で探すべきだと思うわけです。


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