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自分の評価と他者の評価  〜デジカメ・ニーズの個人差  その1  2002/2/16

 私は、特定のデジカメに対する他人の評価をあまり信頼していません。だから雑誌のデジカメ評価記事などをほとんど無視します。…というよりも、「ある人にとっての評価」が、「自分の評価」と一致するとは、全く思っていません。むろん、個別機能の有無などの情報はちゃんと参考にはしていますが、「このデジカメは良い、悪い」という感覚的な部分も含めた総合的な評価部分では、他者の評価は参考程度にしかならない…と思っています。

 ここでは、「自分とは撮影スタンスが異なる人の評価は全く意味がない」という話について書いてみます。自分の撮影スタイルやデジカメに求める機能を自分自身で整理してみることで、「欲しいデジカメ」が見えてくると思うからです。
 いつもながら長々とした、あまり意味のない退屈なコメントです。ご容赦を…

■撮影スタンスの違い

 特定のデジカメに対する評価の違いは「撮影スタンスの違い」から来るものであり、結局のところ「写真に何を求めるか?」、「その結果カメラに何を求めるか?」の違いでもあります。これらの点が自分と異なる人間の評価は、全く役に立たないと言っても過言ではありません。
 自分のケースを例にとって話を進めます。基本的に私は、日常記録用スナップ、旅行時のスナップのみにデジカメを使い、撮影時には「意図的な作画」をしません。従って「作画に関係する機能」を軽視します。
 例えば「沈む夕陽が赤く、空がオレンジ色の印象的な写真を撮りたい」という気持ちは非常によくわかります。私もそう思う時があります。そこで、実際に夕陽を撮る場面に遭遇したら、デジカメならホワイトバランスの設定を変更して色温度を調節してやれば夕陽が赤く写るだろうな…とは思うのです。でも、実際に夕陽を撮影する現場で、ホワイトバランスを変更するためにわざわざ液晶モニタにメニュー画面を出して、設定を変更して…なんて操作は、まずやりません。夕陽を撮ろうと思った時に隣に彼女がいて楽しく話をしていたら…と、考えて下さい。その場合、彼女との会話を優先すべきで、写真を撮ることは二の次です。そこであえて写真を撮るなら、ポケットからパッとカメラを出してパッと撮って…、要するにシチュエーションに影響を与えたくないわけです。撮りたいと思った時にシャッターを押す…、それが前提で写真を撮るのです。「意図的に作画する」のは私の趣味ではありません。
 私は、国内外を問わず旅をすることが趣味の1つです。旅をする時には必ずカメラを持っていきますが、「写真を撮るために旅をする」わけではありません。旅そのものを楽しむためには、写真を撮っている時間やカメラを操作している時間は出来る限り短くしたいと思っています。自分の目で見て、相手と話して、食事を楽しんで…という状況そのものを楽しむことが第一の目的であり、写真を撮るのは「ついで」なのです。
 もっと明確に言えば、私は「写真を撮ることを目的とする行動」はとりません。つまり、何か他の目的があって行動する時に、ついでに写真を撮ります。カメラを持って散歩に行く時には、散歩を楽しむことを優先し、そのついでに写真を撮ります。写真を撮る…という行為が、散歩のペースや気分を乱さないようにしたいのです。ついでに言えば、カメラを持ち歩くためにカバンを持つことは稀です。手ぶらで歩くのが好きなので、真夏を除くジャケットを着る季節ならば、ジャケットのポケットにカメラを入れて歩きます。カメラを持ち歩くために、カバンを持つ…、それこそ楽しい街歩きの雰囲気が壊れてしまいます。

 自分にとって写真とは「ライブ」なものです。撮りたい瞬間に以下に速く撮るか…これが重要です。デジカメがまだ存在しなかった時代、銀塩カメラを使っていました。AFがまだ一般的ではなかった頃は、絞り優先オートの小型一眼レフ(PENTAX ME)に28ミリレンズを装着して、絞りをF8、焦点距離を3mぐらいのところに合わせておいて、被写界深度でパンフォーカス状態にし、街を歩きながら適当に撮影する…というスタイルが好きでした。その後AF機構を持つ高性能コンパクトカメラが安くなって、ずいぶん助かりました。
 銀塩、デジタルを問わず、こうした「ライブ感覚で撮る」ことを重視すると、自ずとカメラに求める機能は変わってきます。小型・軽量、単焦点、バッテリー寿命…といった点にまず目が向くのは、まさに私自身の個人的なカメラの使い方に起因します。

■最も差が出るのはデザインと操作性

 ともかく他者の評価と自分の評価に最も差が出るのは「デザイン」と「操作性」です。デザインには好き嫌いがある…これは当然です。
 操作性というのは「ホールド感」を含むものです。コンパクトなカメラが好きな私にとっては、この「ホールド感」が、非常に重要な要素なのです。例えば最近のデジカメでは「DiMAGE X」、これは実際に握って構えてみた感じが、どうしても馴染めませんでした。ソニーのデジカメも、一般的にはホールド感に馴染めません。
 私は小さくて高性能なカメラが好きですが、単に小さいだけではダメなのです。小型デジカメは「横長」で「何らかのグリップ部分がある」ものが好きなのです。でも、同じような感覚で評価されている例は非常に少ないですね。
 次に多機能機が嫌いという点があります。ともかくゴチャゴチャと機能を持っているカメラはダメ。使い勝手以前に、面倒になります。多機能の上に液晶モニターのメニューから選択する方式は、なお嫌いです。
 著名な人気デジカメライターであるF氏がこだわる連写機能も、自分にとっては評価の対象にはなりません。たまに連写をするとしても、2〜3枚続けて撮れれば十分。大容量バッファを搭載して連続で何十枚も速写できる…なんて理由でカメラを評価されても、個人的には何の意味もありません。スポーツやレースの撮影など特殊な用途では使い途があるかもしれませんが、私はスポーツもレースも撮りません。プロのフォトグラファーじゃあるまいし何十枚もの連写機能を必要とする人など、一般ユーザーには少ないと思います。
 「光学ファインダーの位置と視野角」…これについては、評価している記事自体が少ないですね。液晶表示の品質に関する評価は多いのですが、私は逆に液晶モニタの品質なんか全く気にしません。見えればOKという程度です。それよりも光学ファインダーの性能にこだわります。
 バッテリー関係では、リチウム電池が嫌いで、クレードルが嫌い…というのもあります。クレードル方式に対する評価は、一般的に非常に高いようです。前述したデジカメライターのF氏も、クレードルとリチウム電池にはこだわりがあるようです。置くだけで充電ができて、しかもPCへのデータ転送も簡単に出来るというのが「使い勝手がよい」と評価されるわけですね。でも、私はPCにクレードルをつなぎっ放しにしておくのは場所も取るし、USBポートは塞ぐし、かえって面倒。転送はカードリーダー経由の方がいいし、二次電池はリチウムではなくニッケル水素電池の方が好きなのです。海外旅行時など、リチウム電池は逆に不安です。

 ともかく、撮影スタンスの違いによって、デジカメに対するニーズはこんなにも変わるのです。

■画質より優先されるべきもの

 主に操作性やデザイン面での評価基準が異なることは、これまでに書いてきた通りです。では、画質はどうでしょうか?
 プロのライターでも一般ユーザーでも、デジカメの機能について語る時にはまず「画質」を大きな評価基準とします。画質に関する自分の評価については、基本的には他者の評価と大差はありません。高画質であることは、むろん私も望みます。まずは何といってもラチチュードが広いことと、発色がよいことです。そして、基本的には画素数も多い(解像度が高い)方がよいと思います。100万画素よりも200万画素、200万画素よりも300万画素の方が、使い回しが利きます。
 しかし、現状では「多画素機=多機能機」であることが多く、その点で、日常的な利用にはどうも400万画素以上の機種を購入する気になりません。バッテリー込みで200g程度という重量に対するニーズと、ポケットに入るサイズ、シンプルな機能…に合致するのは、だいたい200万画素機クラスに多く、それでどうしても200万画素機を多用することになっています。
 要するに、私にとって「小型・軽量・シンプル」という条件は絶対のものであり、画質よりも優先されるべきスペックなのです。従って、いくら画質がよくても大きくて重いカメラ派最初から評価の対象にはなりません。




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