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ホントの話 その2     2001/9/20

 ともかく、他人に説教されるのは嫌いです。人生訓めいたことを言われるのも大嫌いです。「世間一般では…」という前フリが付く言葉も嫌いです。「常識」を言われるのも好きではありません。私はホントに身勝手なヤツです。
 勝手なことを書きますので、少し読んで不愉快になりそうだと思った人は、最後まで読まないで下さい。



■1つのことを長くやり続ける人はエライか?

 春秋の2回行われる「叙勲」ってヤツがありますよね。その中に民間人を対象とした黄綬褒章というのがあって、これは「その道一筋に業務に精励し衆民の模範である方」から選ばれるのだそうです。実際にどんな人がこの勲章をもらうのかと言うと…「42年余にわたり川の水位観測業務に従事し、洪水予防及び治水事業の推進に尽力された方、28年余にわたり特別養護老人ホームの寮母として老人の養護に尽力された方、53年余にわたり消防団員として業務に精励するとともに後進の指導育成に尽力された方…」等々です。
 「その道一筋」ってそんなに褒められるべきことなのでしょうか? 途中で仕事を変える人はダメなのでしょうか?
 大企業に行けば「経理畑一筋」とか「設計畑一筋」なんて人がゴロゴロいます。それよりも公務員とか学校の教師とかは、たいていが一生同じ仕事をやりますよね。安定した給与と生活に安住している人も多いはず。
 専門職だって、たまたま親の職業を継いで、転職する勇気も無くその道一筋に生きる人は多いはず。  私の経験では、仕事を変えるというよりも「安楽な道を捨てて新しい仕事にチャレンジする」方が、いろんな意味で能力が必要です。チャレンジなんて大げさな話じゃなくても、いろいろな仕事に興味を持って、次々と仕事を変えていく人って、尊敬します。企業の経営者でも、新しい事業分野を次々に開拓していく人がいますよね。私は、1つの仕事をずっとやり続ける人って、基本的には「多彩な能力の無い人」っていうイメージがあります。

■信念は曲げるべきではないか?

 「信念を貫く人はエライ」ってのもよく言われることです。何でも小泉総理は「信念の人」であって、終戦の日の15日に靖国神社に参拝するのは「信念」だったそうです(あっさりとその信念を曲げられたようですが…)。
 私は、何かに対して「信念」を持ち続ける人は、柔軟性が欠如していると思うのです。というのも、「信念」とはつまり「価値観」のことです。価値観は、時代とともに変わります。新しい科学上の発見や新しい歴史観の登場によって価値観は変化すべきものです。
 個人的には「普遍的な価値観」なんてものは存在しないように思うのです(異論も多いでしょうが…)。人類共通の「普遍的な価値観」の例としてよく出されるのが、例えば「人を殺してはいけない」という命題です。しかし、理由も無く侵略され略奪された人たちが「独立」のために戦った…って話は、よくありますよね。「殺人は絶対にいけない」からといって、「日本人は元寇で戦うべきではなかった」とか「アメリカ独立戦争は間違っていた」とか「湾岸戦争でクエートは黙ってイラクの侵略に任せるべきだった」…という人は少ないでしょう。結局のところ相当に普遍的なモラルであるはずの「殺人はいけない」ということすら、状況によっては普遍的では無くなるわけです。
 世の中には、立場を変えたり、見る角度を変えたりすることで、考え方が180度変わるような命題がたくさんあります。例えば「安楽死」「臓器移植」「死刑」などの是非については、非常に難しい命題です。こうした命題に対しては常に最新の情報をベースに柔軟に考えるべきであって、簡単に信念を持つべきではないと思っています。
 信念を持つことはよいことでしょう。でも信念を曲げることを恐れる必要は全くありません。また、信念を曲げた人を非難すべきではありません。

■「朝礼暮改」はダメなことか?

 これは、上記の「信念」の話と繋がるものがあります。私は自慢じゃないけど「朝令暮改」を日常としています。朝と夕方で言うことが違うのは、日常茶飯事です。
 何かを判断するとか、決断するとかいうのは「周囲の状況」に合わせて行うわけです。判断の基準となるべきの周囲の状況が「朝と夕方とで変化する」時には、判断や決断も変わらざるを得ません。従って、人間は「いつでも朝令暮改をやるぞ」という柔軟な対応を心がけねばならないと信じているのです。
 同じ事を言い続けるのは、バカでも出来ます。状況の変化に対応していくからこそ、経済や社会の変化に正しく対応していけるのだと思っています。
 まあそんな大げさな話じゃなくても、人間の考えなんて気分によって変化するもの。その時その時の自分の気持を大事にして、ストレスの少ない人生を送りましょう。

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