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ホーボーズ・ララバイ(Hobo's Lullaby)

 ホーボー(HOBO)という言葉には、惹かれるものがあります。なぜか郷愁をそそります。彼らの生き方は、若い頃から国内外を放浪することが好きだった自分自身の姿と重なる部分があります。
 20代の頃、バイクで野宿の旅をしながら、「Hobo's Lullaby」という曲をよく口ずさんだものでした。




■ホーボーとは?

 ホーボーとは、「仕事を探しながら列車に乗って各地を転々と旅する人たち」を意味する言葉です。19世紀後半になってアメリカは、全米に鉄道網がひかれました。またちょうどこの頃は不況の時代で職を見つけるのが難しかったのです。そこで、19世紀の終わり頃、1890年頃から20世紀の前半にかけて、鉄道に無賃乗車しながら職を求めて大陸を根無し草のように放浪する人たちが現れました。彼らは、基本的には未組織の季節労働者であり、ときには働いてお金銭を稼ぎ、1ヵ所に留まることなくすぐに次の土地へと移動する…という行動を繰り返していました。
 無賃乗車をしているので、鉄道会社の人間や保安官などに見つかると罰せられます。鉄道会社が雇った用心棒に無賃乗車を見つかると、殴る蹴るの暴行を受け、半殺しの目にあったそうです。しかし彼らは、時には助け合いながらあらゆる知恵を駆使して無賃乗車に挑戦し続けました。列車の屋根に乗って移動する人も少なくなかったそうです。無賃乗車という行為を続けることが、彼らにとってはある種の「誇り」でもありました。

■ホーボーへの郷愁

 彼らホーボーの多くは、好きで放浪していたわけではありません。やむにやまれぬ事情で放浪していた人が多かったのでしょう。しかし、ホーボーの存在がもう過去のことになった1960年代になってから、彼らの行動が賛美され、一種の「文化的英雄」として扱われることになります。アメリカ人の多くが心の中に持つ「フロンティア・スピリット」に、どこか響くものがあったのでしょう。ホーボーには、「成功を夢見ながら大陸を彷徨う人々」「権力に屈せず、自由な生き方を選んだ人々」というイメージが出来上がりました。
 文学上では、ジャック・ロンドン「ザ・ロード」、ドス・パソスの「USA」、あるいは、ジャック・ケルアックの「路上」などに、こうしたホーボーの精神が表現されていきます。ジャック・ケルアックの「路上」は、ニューヨーク・パンクを生み出したビートニクス・ジェネレーションを代表する文学作品で、私は非常に好きな小説です。
 ホーボーを描いた映画では、リー・マービンが主演した「北国の帝王」など知られています。さらに1970年代の脚光を浴びたニューシネマにおいても、「大陸を放浪する人々」がポジティブに描かれました。「真夜中のカーボーイ」「明日に向かって撃て」「イージーライダー」「スケアクロウ」「ハリーとトント」などのアメリカン・ロードムービーは、「現代のホーボー」を描いたものと言えなくもありません。

■ホーボーと音楽

 ホーボーは音楽の世界にも影響を与えました。実際にホーボー達が作って歌ったといわれている「ホーボーソング」は、やがてアメリカのフォークソングに同化して、大衆の中で歌い継がれることになりました。1972年にアーロ・ガスリーが発表した「ホーボーズ・ララバイ(Hobo's Lullaby)」は、同じアーロー・ガスリーの「ラスト・オブ・ブルックリン・カウボーイズ」などと並んで、その後のアメリカンミュージックに大きな影響を与えたエポックメイキングなアルバムです。
 このアルバムのタイトルにもなった曲「ホーボーズ・ララバイ」は、日本語の歌詞で聞かれた人もいるかもしれません。70年代の日本の関西フォークのシンガーなどがステージでよく歌った曲です。マイナーな関西系フォークシンガー、古川豪が訳詞をした日本語版などが知られています。

■ホーボーの語源

 ホーボー(HOBO)の語源が「日本語」だという説があります。ホーボーの最盛期である19世紀末から20世紀の初めの頃は、日本からのアメリカ移民の最盛期でもありました。その頃の日本人移民たちは、中国人とともに鉄道建設労働者として劣悪な労働に従事していた人が多いのです。その日本人移民が、「方々に行く人たち」という意味で「方々、ほうぼう、ホーボー」と呼び始め、それが英語のH0B0になったという説です。むろん本当かどうかはわかりませんが、あまり信憑性はないと思います。

■ホーボーバッグ(?)

   女性の持つハンドバッグの中に、「ホーボーバッグ」というものがあります。一見「ずた袋」風のフラップ付きのショルダーバッグです。グッチなどのブランド品のバッグの中にも、「ホーボーバッグ」と呼ばれる種類があります。
 この「ホーボーバッグ」は、英語でも「HOBO Style Bag」と呼ぶのですが、これはホーボー達が持っていたバッグに似ているからついた呼称なのでしょうか?
 いや、これは私が個人的にそうではないか思っているだけの話です。全く無関係かもしれません。どなたか「ホーボーバッグ」という名称の由来をご存知の方がおられたら、是非教えて下さい。



Hobo's Lullaby

Chorus

Go to sleep, you weary hobo.
Watch the towns go drifting by.
Can't you hear the rails a-singin'?
That's the hobo's lullaby.
Don't you worry about tomorrow.
Let tomorrows come and go.
Tonight you've got a nice, warm boxcar,
free from all the wind and snow.

Chorus

I know the police cause you trouble.
They cause trouble everywhere,
But when you die and go to heaven,
there'll be no policemen there.

Chorus

Can't you hear the rails a-singin'?
oh , That's the hobo's lullaby


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