WS30の世界はオルタナティブ・デジカメサイト。デジカメ、MPEG-4動画、PCの話題、サブカル系の駄文コンテンツをどうぞ…
「Made in U.S.A. Catalog」の話

 ユニクロのファッションっていうのは、どうしても着る気になりません。価格と素材や縫製を見る限り別に悪くはないと思います。デザインもベーシックなものが多く、特に悪いとも思いません。でも実際に買って着ようとは思いません。というのも、ファッションにはいろいろな思い入れがあるからです。


■アメリカントラッドの呪縛

 最初にファッションに興味を抱いたのは中学1年生の頃です。クラスの中のませたヤツが「メンズクラブ」(婦人画報社 1954年創刊)なんかを教室に持ってきました。そこには当時一世を風靡したブランド「VAN」を中心とした「アイビーファッション」が紹介されていました。「くろすとしゆき」の書いた記事を夢中になって読みました。「マドラスチェック」とか「レジメンタルタイ」とか、「三つボタン段返り」とか、「フックベント」とか言う言葉を覚えました。モデルが着ている、細身のスラックスやボタンダウンシャツ、7部袖のスェットシャツなどをすごくカッコイイとは思ったけれど、自分で洋服を買えるようなお小遣いをもらっていたわけではないので、ただただ憧れただけでした。
 そのときに見たアイビーファッションをカッコイイと感じ、その時に覚えたコーディネイトの影響が、現在まで受け継がれています。結局のところ私は、いまだにアメリカントラッドなファッションから抜け出ることが出来ません。

■Made in USA Catarog

 その後の私のファッションに最も大きな影響を与えた本は、平凡出版(後のマガジンハウス)から出版された「Made in U.S.A. Catalog」というムックです。そこには、アメリカの大学生のファッションやライフスタイルが紹介されていました。私は、この本で初めて「マウンテンパーカ」「ダウンベスト」「ダンガリーシャツ」などのアウトドア衣料、「デイパック」「バックパッキング」という言葉などを知りました。そしてそれがどういうものなのかを見ました。もう本がボロボロになるまで何度も飽きずに読みました。当時登山が好きだった私は、機能的で着易い服や持ち易いバッグを普段着に使うアメリカの若者のファッションに魅せられたわけです。
 また、影響を受けたのはファッションだけではありません。自由で合理的なファッションのバックボーンとなる、ナチュラル志向のライフスタイルにも影響を受けました。カリフォルニア大学バークレイ校を歩く学生の姿に、映画「いちご白書」を重ね合わせて、その文化的な背景に憧れたものでした。
 でも、この本の影響を受けたのは私だけではなかったのでしょう。その後の日本の若者のファッションやライフスタイルに与えた影響は非常に大きかったと思います。その後、同じ平凡出版から発刊されていた「平凡パンチ」や「ポパイ」などは、盛んにファッション特集をやりましたが、「Made in U.S.A. Catalog」の影響を大きく受けていたと思います。また、現在でも人気のショップであるBEAMSなども、この「Made in U.S.A. Catalog」の影響を受けてスタートしたと何かで読んだことがあります。
 でも、当時はこの本で紹介されたファッションは、まだどこに売っていませんでした。いや正確には、かの有名な麻布の「スポーツトレイン」など限られたショップでは売っていたのでしょうが、当時はまだ上京していなかった私の地元では購入する方法がありませんでした。
 だから実際に「Made in U.S.A. Catalog」で見たアウトドアファッションを自分で着始めたのは、20代も半ばになってからです。その頃になって、やっと自分もアメリカに行って服を買ってくる余裕ができました。また、日本に居ながらにしてL.L.Beanやノースフェースなどの服やバッグををカタログ販売で購入することが出来るようになったからです。
 生まれて初めてシェラデザインの60/40のマウンテンパーカを買った時のこと、同じく初めてレッドウィングのワークブーツを履いた時のこと、ノースフェースのデイパックを背負った時のことは、今でも覚えています。当時はそれほどに値段が高かったし、うれしかった。仕事以外は、デートをするのもバイクに乗るのも、いつもシェラのマウンテンンパーカを着ていたのを覚えています。

■そして今は…

 そんなわけで今日の服装はと言えば、Jプレスのコットンパンツ(むろんノータック)、フルーツ・オブ・ザ・ルームの白Tシャツの上にブルックスブラザースの半袖オックスフォードのボタンダウンシャツ(ノータイです)、アレンエドモンドのこげ茶のローファー…これが平均的な夏の仕事着です。寒い季節はコーデュロイのジャケット、ラムウールのベストかカーディガンを羽織ります。ちなみにノータイの時には、シャツの裾は絶対にズボンの外に出すことにしています。
 休日のお散歩の時には、コットンパンツにエディ・バウアーのボタンダウン、足元はスニーカーってことになります。

 こんなファッションが好きな私は、どうしてもユニクロの服を着ることができません。ユニクロの服のデザインが気に入らないのではなく、なんとなくユニクロを着ている自分が許せない感じなのです。逆に、アルマーニのスーツを着ることもできません。きっと70歳を超えても同じ格好をしていることと思います。
 ファッションって、考えると難しい。でもあれやこれやと考えて好きな服を買いに行くのは大好きです。


Email Webmaster if your incur problems.• Copyright © 2001 yama. ALL RIGHTS RESERVED. Since 2001.1.22
※ 当サイトは Internet Explorer6.0 に最適化されています。