WS30の世界はオルタナティブ・デジカメサイト。デジカメ、MPEG-4動画、PCの話題、サブカル系の駄文コンテンツをどうぞ…
イマドキのエントリークラス・デジカメ … 「FinePix F460」    2005/11/22

■イマドキっぽいデジカメ

 富士写真フィルムの新製品「FinPix F460」を購入しました。実売価格は23,000円台です。
 2万円台の500万画素機なんて珍しくもなんともない時代ではありますが、型落ち製品でもなく不人気製品でもない「全くの新製品」で、2万円台前半で購入できる製品となると、いくらエントリー機と言ってもやはり驚きの価格です。しかも、比較的大サイズ(2.5型)の液晶モニタを搭載した薄型・軽量機種の光学3倍ズーム機で、機能・デザインともに、とりあえず「イマドキのコンデジのメインストリーム」のツボを押さえています。
 実はこんな平凡なスペックのエントリー製品を購入したのには、個人的な理由がありました。私は、数年前に購入した富士写真フィルムの「F402」という小型・単焦点機が非常にお気に入りで、いまだに海外旅行のサブ機として、また日常スナップ機として愛用しています。操作性も画質もよく200万画素でも特に問題は感じていなかったのですが、同じようなコンセプトで500万画素ぐらいにバージョンアップしたデジカメがあってもよい…とは思い始めていました。「F460」は単焦点のF402とは異なる3倍ズーム機で形状も横長ではありますが、総重量や容積、そして軽快感などは大差ありません。そして、なんとバッテリーもACアダプターもF402と同じものが使えるのです。F402用にバッテリー「NP-40」を買い増した私としては、このF460を購入することで合計3個のバッテリーを利用でき、しかもF402用の5VのACアダプターも兼用できるとなれば、非常に都合がよいのです。そういえば、このF460の前機種となる「F455」がクレードル利用タイプであったのに比べ、本機がクレードルを廃した点も高く評価しました。
 F460は13MBのメモリを内蔵しており、非常用としては使えそうです。

■サイズ・重量・グリップ

 ともかく、軽くて小さい。バッテリー、メディア込みの撮影時重量が142gですから、コンデジの中でもかなり「小型・軽量」の部類に入ります。単焦点機のF402の撮影時重量は約145gなので、それよりも軽いということになります。あの超小型機DSC-U30でも撮影時重量が123gですから、大差ありません。前面投影サイズは約90ミリ×60ミリで、名刺サイズをわずかに上回る程度。実際に持ち歩いてみると、マウンテンパーカのポケットに入れておくとデジカメを持っているのを忘れる…レベルです。いや、軽くて小さいのはいいことです。
 薄さも際立っており、最大の厚みでも20ミリ以下。大きな液晶モニタのせいでグリップ部分は狭くなっていますが、握り部分に微妙な段差を設け、さらに背面部に親指のための窪みを設けて滑りにくくしており、それなりにグリップに配慮したデザインとなっています。グリップ感がよい…とまでは言えませんが、まあ、何も突起がない製品よりはうまくデザインされていますね。
 アルミ合金主体の外装は、とりたてて高級感はありませんが、この価格帯の製品としてはかなり品よく仕上がっています。

■機能と操作感

 ボタン配置、操作ともに標準的で違和感がないものです。基本的に「フルオート」での撮影を基本として想定している製品なので、上部メインスイッチには、「AUTO」と「SP(シーンモード用)」「動画」の切り替えしかありません。十字キーは、左にマクロ設定、右にストロボ発光設定が割り当てられています。ほとんどの設定はメニュー画面から行いますが、オート撮影がメインの機種だけに、特に不便さはありません。
 絞りは、廉価版デジカメによくあるF2.8/F7の2段式。むろん露出決定はプログラム任せで、その他の露出方式の選択はできません。マニュアル設定で、ISO感度は最大400まで設定可能です。露出補正はメニューからで、第一層のメニューで設定できるとはいえ、とっさの設定は面倒ですね。むろんホワイトバランスは設定できます。
 シーンモードは10種搭載していますが、私はあまり使わないだろうと思います。あと、オマケ程度の動画撮影機能(AVI形式、Motion JPEG)を搭載しており、毎秒30フレームでVGAサイズの動画が撮影できます。
 バッテリ駆動時間は、同じNP-40の使用で200枚(CIPA規格)と、額面どおりならほぼF402と同等かそれよりよいくらいです。まあ、単三電池対応製品や某社の長時間バッテリー対応製品ような持続性・利便性は望むべくもありませんが、その分軽量で、今回はF402用のNP-40も予備バッテリーとして使えます。1個予備に持っていれば、海外旅行などでも丸1日の撮影に不安なく使えそうです。
 起動時間は、まあ「速い」と思います。ただ、電源ボタンを押した後のロゴ表示時間がちょっと長めに感じられ、撮影スタンバイまでだいたい2秒くらいかかっているでしょう。ストレスを感じるほどでもありませんが、さらに短くして欲しいですね。

■画質は?

 有効画素数513万の1/2.5型正方画素CCDを採用しており、富士写真お得意のハニカムCCDではありません。しかし最近の富士写真のデジカメは、なぜか正方画素CCD採用機に画質についての評価が高い製品が多く、その意味ではこのF460の画質についても逆にある程度の期待がかかります。光学ズームの焦点距離は35mmフィルム換算で35mm〜105mm相当と、これまた標準的なもの。いずれにしても、光学3倍ズーム搭載500万画素機としては、平凡なスペックです。マクロは広角側で10pから…と、これも平凡なスペックです。

 とりあえず、撮影画像を見て頂きましょう(最大サイズ・Fineモード、補正は一切無し、夜景はISO400固定、他は全てオート、Exif参照可)。




 色乗りがよく、かといってクド過ぎず、偽色も少なく、適度に見栄えがする画像です。同社の従来のデジカメのイメージからすれば、落ち着いた…と言ってもよい発色です。
 解像度感は「それなり」で、小径レンズの限界でしょうか、全般的に甘さを感じます。500万画素機としては不満もありますが、コンデジならばこんなもので十分でしょう。気になるようなノイズはありません。中心部と周辺部の描写の差や収差はほとんどなく、こうした点についてはコンデジ用小径レンズにしては優秀だと感じました。
 ISO400での撮影はさすがにノイズが増えますが、暗い室内での撮影や夜景撮影などでは十分実用的に使えます。かなり暗いバーの店内で食事を撮影した画像はシャッター速度が1/8秒ですが、何とか見られる画像です。明るいネオン街では、1/60秒程度のシャッター速度で撮ることができました。真っ暗に写っている部分でもけっして黒トビしているわけではなく、明るく補正するとちゃんと看板の文字などを読むことができます。ダイナミックレンジは、そこそこ広い感じです。
 マクロの最短距離10p…というのは、はっきり言って不満です。迫力のあるマクロ撮影はできません。最低でも4〜5pまでは寄りたいところです。
 日常のスナップ用途で使う分には、大きな問題になるような画質面での欠点はないと思います。まあ、この製品の実売価格を考えれば、何も文句はありません。

■私的総評

 700〜800万画素の個性的な高画質コンデジが続々と登場しつつあるイマドキ、500〜600万画素機を購入するのなら、手ぶれ補正付きとか、超高感度対応とか、広角からの高倍率ズームを搭載するなど、何か個性や売りを持った製品でなくては、目の肥えたデジカメユーザにアピールしにくいのは確か。F460のように平凡なスペックで、しかも廉価版・初心者向けの位置づけの製品となると、購入するユーザは、本当に初心者だけなのかもしれません。しかしF460は、エントリークラスの製品にしては画質もよく、製品の作りも丁寧で、非常に出来がよいデジカメ…というのが偽らざる感想です。
 512MBのxDピクチャーカードを入れておけば、最大サイズ・低圧縮のモードで200枚以上、最大サイズ・ノーマルなら400枚以上撮影できます。私のように「適度に高画質の写真を撮れればいい」、「コンデジに5万円もお金をかけるのは嫌だ」…という人間にとっての「日常スナップ機」としては申し分ありません。願わくば、私の場合のように偶然予備バッテリーを持つことになるユーザなんてほとんどいないでしょうから、カシオのコンデジ並に、最低でも300枚以上は撮影可能なバッテリーを採用して欲しいものです。

 ともかく、実売価格が23,000円台だと考えれば、誰にでも薦められるオート主体のコンパクトデジカメです。バッテリー寿命に多少不満はありますが、日常のスナップや海外旅行への携帯などには適していると思います。ただ、こんな価格帯の製品ばかりを売っていては、カメラメーカーは全く儲からないでしょう。最近は、量販店の店頭で型落ちの500万画素機を1万円台で売っているのもよく見かけます。コンデジ中心のデジカメメーカーの多くが大幅減益に陥っている現状はよく理解できますね。

追記:
 どうでもいい話ですが、このF460には、ELECOMの「DGB-027」というネオプレーンゴム製の軽快なケースが、あつらえた専用ケースのようにピッタリとフィットします。別に100円均一ショップのケースで十分だとと思いますが、たまたま使ってみた「DGB-027」が、笑っちゃうぐらい具合がよかったので報告しておきます。
 

Email Webmaster if your incur problems.• Copyright © 2001 yama. ALL RIGHTS RESERVED. Since 2001.1.22
※ 当サイトは Internet Explorer6.0 に最適化されています。