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多機能・高画質 SONY「Cyber-shot DSC-V1」で撮る その2   2003/6/5

■操作性

 高機能機にも関わらず、実際に手にとってみると小振りに感じるボディです。しかし、ボディが小さい分、ずっしりとした重みも感じます。また、かなり厚みがありますね。右手の中指を前面の突起に引っ掛けて、片手でグリップした感触は悪くありません。しかし右手は多少窮屈で、片手でしっかりとホールドできる…というほどでもありません。ここらへんは、慣れの問題でしょう。
 ズーム用レバーの位置もよいし、十字キーの位置やサイズにも違和感はありません。他のボタンも含めて全般的に配置は良好で、操作性は良い方だと感じました。
 比較的多用する露出補正は、専用ボタンがあるので簡単です。シャッター優先、絞り優先、マニュアルなどの撮影モード変更は上部のモードダイヤルで行います。各撮影モードにおける操作も含めて、銀塩一眼レフと近い操作感で馴染みやすいものです。例えば絞り優先(A)モードに設定すれば、十字キー上のジョグダイヤルを回すことで絞り値を簡単に変更できます。液晶モニタで絞り値とシャッター速度の関係を見ながら設定ができる…というわけです。
 1.5型の液晶モニタはかなり輝度が高く、晴れた屋外での視認性も比較的良好です。むろん、液晶モニタの視野率は100%です。光学ファインダーはレンズ光軸と少しズレていますが、使いやすい位置にあります。
 起動時間が約3秒、撮影間隔が1.5秒、シャッターラグが0.4秒…というのは、このクラスのカメラとしては上出来と言ってもよいでしょう。特に速い機種というわけではないですが、日常の撮影ではほとんどストレスを感じることはありません。
 従来のソニーデジカメと較べて使えるメディアは増えました。DSC-V1はメモリースティックPROに対応しており、また256MB以上のメディアも使える点がポイントです。なお、今回は256MBのメモリースティックPROを使用しました。普通のメモリースティックと比較してみたのですが、PROは特に書き込みや読み出しが速いという感じはしませんでした。
 PCとのインタフェースにはUSB 2.0(Hi-Speed)が採用されています。画像データが大きくなる高画質機なので、USB2.0の採用はうれしいですね。
 バッテリーは小型のリチウムイオン電池(NP-FC11)ですが、バッテリーチャージャーは別売なので、標準パッケージでは本体充電しかできません。添付のACアダプタは標準的なサイズと重量ですが、ACケーブルはゴワゴワと太く、収納性は悪いですね。バッテリー残量は液晶モニタに表示されます。標準撮影で約150枚の撮影が可能、連続撮影時間は約75分とのスペックですが、実際にズーミングや画像確認を下ながら撮影したら、100枚強でバッテリーがなくなりました。もう少し大容量のバッテリーを採用して欲しかったと思います。旅行などで1日使うためには予備バッテリーが必須です。またヘビーに使うなら、本体充電(約150分)より短時間で充電可能な(1本なら85分)オプションのチャージャー(BC-VC10)は、欲しいところですね。
 内蔵ストロボはオートポップアップです。アクセサリシューを備えていますが、オプションで専用外部ストロボが用意されています。他社製の市販ストロボでは自動調光はできないようですが、そのうち手持ちのスピードライトの使用感を報告させて頂きます。  オプションと言えば、興味深いのはバッテリーIRライト「HVL-IRM」です。これで約20m先までのナイトショット撮影が可能になりますが、「暗闇で20m先まで撮影できる」となると、良からぬ用途に使いたくなる人もいるかもしれません(笑)
 また、ワイド(0.7倍)/テレ(1.7倍)のコンバージョンレンズも用意されています。

■実写画像

 とりあえずは、実写画像サンプルを見てください。全て最高画質のJPEGで撮影しています。クリックするとオリジナル画像を表示します。撮影条件はExif情報でご確認下さい。



 まずは晴天の屋外遠景、フルオートで撮影してみました。6月の正午前後という時間帯で完全なトップライトですから条件は良くありません。しかし、少しもやった晴天下というほぼ標準に近い外光の色温度下の撮影で、撮影画像は発色、解像度ともに優等生的な絵となっています。広角側ですが、パースは効いていますが目立つレンズの収差はありません。
 ところでこのV1の広角側は34oからなのですが、35oと較べてわずか1oの差ながら、かなりワイドに感じます。けっこう気持ちのいい広角側ですね。


 同じ位置から4倍ズームの望遠側で撮影しました。バス停あたりが50mぐらいの距離で、ここまで解像します。こちらも特に目立つレンズ収差はありません。


 他機種のインプレッションでも撮影する街角風景です。背景を見ると、遠方の看板の文字など細部までよく解像しています。

 適当に街中を撮影した画像を並べました。明暗の差が大きい被写体を狙ってみましたが、レンジ感は悪くありません。


  
 マクロを2点続けます。緑も赤も鮮やかですが、ちょっと鮮やか過ぎかも。


 絞り優先オートでの撮影です。まずは80o前後の中間の画角で、絞り開放(F3.5)で撮影します。


 逆に絞り込んで撮影した画像です。こちらはF8です。あまり違いは目立ちませんが、こちらの方が周辺までピントが来ています。


 明るいネオンサインを中心に撮った夜景です。手持ち撮影ですが、細部までかなりシャープな画像です。オートでの撮影ですが、Exif情報を見てみたらF2.8で1/60秒で切れていました。ホールド感がよいので、1/30秒程度までのシャッター速度なら、慣れればほとんど手ブレ無しに撮影することが可能です。明暗の差が激しい被写体ですが、十分なレンジ感があり、暗部のノイズもかなり抑えられています。真っ暗に見える部分でもプラスのガンマ補正をかけてやると、けっこう細部まで写っています。

■総論と感想

 実写結果は、発色、解像度ともにほぼ満足すべきものです。標準設定でフルオートで撮影すると、暖色系はくっきり、緑は鮮やか…と高めの彩度を感じさせますが、適度に抑制された色調となっています。個人的には、もっと抑えたトーンの画像でも良かったと思うのですが、まあレタッチ無しで見られる絵ということも考えると、このあたりでしょう。むろん、彩度や色調などは撮影時に設定することが可能です。
 ともかく、うまくチューニングされた「無難で嫌味のない画像」が得られるデジカメだと思います。銀塩カメラの老舗メーカーではないSONYも、デジカメ分野では相当の経験を積んできたことがわかります。
 絵には立体感や奥行きもありますし、ダイナミックレンジもそこそこ広く、暗部ノイズも少ない方だと思います。チャートで計測したわけではありませんが、見た目の解像度も十分です。多機能機とは言えコンパクトデジカメなので、光学系等にさほど期待していたわけではないのですが、500万画素機としては妥当な解像度感でしょう。
 自分が使っている500万画素デジカメとの比較では、商品撮影やポートレート撮影に使うのなら「COOLPIX 5000」の方が、ナチュラルで好みの絵が得られます。しかし、価格帯や商品コンセプトから見ると比較対象とする製品ではありません。要するに、カメラ本体の定価(100,000円)と実売価格(70,000円前後)を考えると、とりあえずは「値段相応の満足度を持つデジカメ」…というのが、私の評価です。コンパクトなボディと安めの実売価格を前提にすれば、機能面、画質面で特にケチをつけたいようなところはありません。デザインに不満がなく、自分が想定する使い方にマッチするのであれば、買って損はない製品でしょう。

 この「DSC-V1」、デジカメやカメラの初心者がオート中心の撮影で使っても、「外光条件さえよければ誰が使ってもきれいに撮れるデジカメ」として、それなりに満足できると思います。また、露出やシャッター速度などカメラの基本機能を習熟するためにも、役立つでしょう。ナイトショットで遊ぶのも面白いと思います。
 銀塩カメラのマニアとか、2台目以降のデジカメユーザー…など写真撮影のベテランが使うと、いろいろと不満点が出てくるかもしれません。しかし「マニュアル撮影も楽しめる、ちょっと本格的なお散歩デジカメ」という位置付けならば、価格も製品サイズも妥当で、かなり楽しめる製品です。「大人のガジェット」としてそれなりの雰囲気や質感もあるので、銀塩ファンや中高年ユーザーも違和感なく使えると思います。




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