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熟成したマイクロデジカメ、SONY「DSC-U30」     2003/7/28

 私は、DSC-U10を購入後、DSC-U20を購入せず、世代的には1代飛んでの「U30」の購入となりました。色はダークグレーです。
 200万画素になったU20には当初あまり魅力を感じなかったのですが、やはりこのシリーズの製品サイズとコンセプトは魅力的。200万画素化によるメリットを探るべく、U30を購入しました。
 U10と較べれば、CCDの画素数が130万画素から200万画素にアップしたわけですが、DSC-U20と較べるとスペックはほぼ同じです。操作ボタンの形状や配置も、U10/U20とほぼ同じで、どちらかの機種を操作した経験があればマニュアルを読まなくても違和感無く操作できます。
※ 「DSC-U10」のインプレッションはこちらです。


■どこが変わったのか?

 デザイン面で一番変わったのは、レンズバリア部に、自分撮り用の丸いミラーが装備された点です。個人的には、このミラーは無い方がよかったですね。というのも、デジカメは「撮影時に目立たない」ことが一番です。特に海外旅行などでの使うときには、目立たない方が絶対にいい。この超小型のDSC-Uシリーズは「一見カメラらしくない」目立たないカメラである点が、海外旅行時などに使いやすく、非常に気にいってました。このミラーは光を反射するので、構えた時に目立つ要因が増えたことになります。…というわけで、こんなミラーはいりません。
 バリアの開閉は、感触が向上しました。カチッというクリック感があって悪くないです。特に閉める時には、2段階に力を加える感じがいいですね。U10では、知らないうちにバリアが開いている…なんてことがよくありましたが、U30ではそういう事態は避けられそうです。
 なお、U30になって微妙にサイズが大きくなったみたいですが、手に取った感触はU10とほとんど変わりません。

 U30はU20と較べて液晶モニターの画質、視認性がアップしたのが最大の「ウリ」でしょう。画素数は6.5万画素で変わりませんが、屋内ではバックライト方式(LCDライトはON/OFFが可能)、屋外では反射式として機能する「ハイブリッドタイプ」液晶を採用して視認性をアップしています。確かに、明るい屋外での視認性は良好です。しかし私は、U10の液晶でも別に不満はありませんでした。まあ従来の液晶の視認性に不満があったユーザーにはうれしい改良点でしょう。
 ところで、撮影画像再生時に2.5倍、5倍と2段階に拡大できる機能を追加して、撮影済み画像のピント確認を容易にする機能が不可されました。
 確かにボディが小さいU30は手ブレの可能性は大きく、失敗カットがけっこう多いです。でも、別にフィルム代を必要としまいデジカメですから、1枚撮影するごとにこんな小さな液晶画面でピントを確認する手間をかけるぐらいなら、4〜5カットを一気に撮影して、「下手な鉄砲数撃ちゃ当たる」式の撮影をすべき。個人的には絶対に使わない「不要な機能」ですね。

■実写サンプルに見る画質

 さて、U10と比較して、最も興味のあった200万画素化のメリットはどうでしょうか?
 U30は、1/2.7型、210万画素の原色CCDを採用しています。130万画素のU10と較べると、確かに200万画素化による解像度アップは顕著にわかります。反面、総合的な「画質」という面からの比較では、期待したほどのことはありませんでした。
 画質の基本的な傾向はU10と同じです。ホワイトバランスは良好ですが、発色はおとなしめで、全く派手さはありません。少しアンダー気味に写る感じです。ビビッドな色が好きなユーザーには物足りない感じがするかもしれませんが、私はこれでよいと思っています。解像感もあまり高くなく、同じ200万画素機なら、COOLPIX2500やFinePix F402あたりの方が高画質です。
 画質に関する評価はちょっと辛口になりましたが、それはあくまで同じ200万画素クラスの他機種と比較しての話。けっしてU30というデジカメが、悪いとか使いにくいとか言っているのではありません。このDSC-Uシリーズのコンセプトや利用場面を考えれば、特に文句をつけるほどのことはない画質だと思います。「この画像の暗部ノイズは…」なんてことをコメントするような製品ではありません。この製品サイズとこの使い勝手で、しかも2万円ちょっとの実売価格でこれだけの画像を得られるのですから、もう十分に満足です。
 また、私はほとんどプリントをしませんが、この画質であれば、2Lサイズ、ハガキサイズぐらいまでならプリントしても十分にきれいでしょう。

 さて、能書きはともかく実写サンプルをご覧下さい(クリックすると加工無しのオリジナル画像を表示します)。
 U10の発色傾向はそのままに、高画素化による解像度向上は明らかです。また発色傾向に大きな変化はないとはいうものの、全体的に「締まった発色」となっています。個人的には、かなり好ましい発色です。



 マクロ域の画像も掲載しておきます。1、2枚目は曇り空の下での撮影です。風が吹いて花が揺れていたので、ちょっとブレてますが、発色はナチュラルです。3枚目の画像はストロボを発光しています。



 そして夜景モードで撮影した画像です。EXIF情報によると。1枚目の画像でF2.8、1/20秒でした。手ブレには要注意ですが、なかなかキレイに撮れます。明暗差の激しい2枚目の画像の右上の真っ黒くツブれている部分も、明るくしてやるとちゃんと写ってます。ダイナミックレンジも、そこそこ広いようです。



 200万画素になっても1枚あたりの画像データ量が500KB以下ですから、相変わらず圧縮率は高めです。でも、おかげで64MBのメモリースティックで122枚も記録できます。また、DSC-V1用に購入した256MBのメモリースティックPROも使えますから、大量撮影する海外旅行時などにはありがたい話です。

 U30は、5つのシーンセレクションを備えています。私はほとんど利用しませんが、新たに搭載された「夜景モード」だけはいいですね。早速使ってみましたが、手ブレに注意さえすれば、けっこうキレイに夜景が撮れます。

■他機にはない優れたコンセプト

 私は昨年、U10をヨーロッパ旅行で使ってみて、実によいカメラだと思いました。カバン類を持たずに手ブラで街歩きをしながら、ポケットに入れておいたU10で片っ端から街角スナップをする、またレストランではマクロで食事の写真を撮る…など、小さいカメラゆえに目立たず、実に楽しく便利に使えました。
 200万画素のU30になっても、こうした使い方は変わらないでしょう。このデジカメは、あくまで「日常記録」「街角スナップ」用のデジカメです。基本的にはフルオートで撮影するだけであり、あとはAEロックを駆使すれば、ほぼ思うような画像が撮れます。日常スナップ用デジカメとして考えるなら、製品サイズはむろん、画質や操作性などの各種機能、単四バッテリーの利用など、現行製品のコンセプトについて、ほとんど不満はありません。特に33ミリという広角寄りの画角は、非常に使いやすいものです。
 64MBのメモリースティックを使っても1秒という起動時間はほぼ同じですし、450枚以上の撮影が可能なPROの256MBを使っても体感する起動時間はほとんど変わりません。バッテリーの持続時間にも満足です。

 最近私は、街角スナップにあたっては、カメラ付きケータイであるドコモのD505iを高い頻度で利用しています。一応メガピクセルカメラ(出力画素数ベース)であるD505iで撮る画像は、VGAトイデジカメの画像を上回る画質です。しかし、ここまで画質が向上したメガピクセルケータイでも、例えば海外旅行時の写真撮影用とか、女の子のとっておきの表情を撮影するシーンなどでは使おうとは思いません。基本的に画質に対するこだわりが少ない私でも、「長く残したい記念写真や画像」に対しては、もう少し画質に対するニーズが高いということです。そんな私にとって、200万画素になったU30の画質は、メガピクセルカメラ付きケータイよりワンランク上の画像を撮りたい時に使うデジカメとして満足すべきものです。特に海外旅行での撮影は、基本的にこれ1台でOKでしょう。

 200万画素になり、液晶の視認性を向上させたU30は、マイクロカメラとして「熟成」の領域に入った…と思います。
 間違ってもこのデジカメに光学ズームは不要だし、これ以上の画素数アップも不要です。例え記録速度が変わらなくとも、画素数をアップすると画像1枚あたりのデータ量が増え、1枚のメモリースティックに記録可能な枚数が減ります。また画素数をアップすることで、感度やダイナミックレンジが下がるのも嫌です。今後も高画質化や低消費電力化など細かい部分での機能改善や操作性向上に努めて欲しいとは思いますが、既に「日常記録用デジカメ」としての現時点での完成度はかなり高い…と考えます。

こちら(圧縮サムネイルなのですごく重いです)も参考にどうぞ。


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