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デジカメの動画フォーマット

■各社デジカメの動画フォーマット

 デジカメが採用している動画フォーマットは、さまざまです。しかし、大きく分類するとAVI形式(無圧縮)、MotionJPEG形式、MPEG-1形式、そしてMPEG-4形式の4種に分けられます。
 まずはAVI形式、これはトイデジカメから普及価格帯機種を中心に多く採用されています。AVI形式自体が非常に曖昧な規格であるため、AVIと言っても実際には無圧縮ではなくコーデックが使われているケース(MotionJPEG)もありますが、安価なトイカメラの動画機能などはたいてい無圧縮のAVIです。要するに「パラパラ動画」に近いものと考えればよいでしょう。
 そして、デジカメの動画機能の中で最も採用例が多いのがMotionJPEGです。というよりも、最近ではMotionJPEGというフォーマットは、デジカメの動画機能ぐらいにしか使わません。MPEG用のエンコードチップが安価になっており、動画機能だけを考えた時にはMotionJPEGを採用する意味はあまりないのです。その中でデジカメの動画機能にMotionJPEGが多用される理由は、デジカメは静止画の圧縮機能としてJPEGを採用しているので、あらかじめJPEGの圧縮エンジンを持っています。そこで、動画もこのJPEGの圧縮エンジンを利用した方が簡単だからです。
 MotionJPEGを採用する理由は、もう1つあります。MotionJPEGの動画は、「圧縮率は低いが比較的高画質」という特徴があります。デジカメの動画撮影機能をあくまで「オマケ」と考えるメーカーにとっては、記録時間に制限を加えても高画質の動画を撮れる方がユーザーにアピールする…と考えているようです。

■MotionJPEGの拡張子

 さて、ここで非常にやっかいな話を書かなければなりません。動画撮影方式としてMotionJPEG方式を採用しているデジカメは多いが、拡張子は.aviと.movの2種類があるのです。つまり拡張子では、圧縮形式がわからないのです。
 まずは.aviという拡張子です。AVI形式というのは、本来はWindows標準のマルチメディア・データファイルのフォーマットで、無圧縮の動画を指す。ところが、aviという拡張子の中にはコーデックを使って圧縮されたものも混在しています。いわゆる圧縮AVIであり、この圧縮AVIファイルのコーデックにはMotionJPEGが使われることが多いのです。
 MotionJPEGを動画フォーマットとして採用しているのメーカーの中で、富士写真フイルム、キヤノンなどは自社の動画を「AVI形式」と呼び、撮影した動画データの拡張子は.aviです。

■QuickTimeとMotionJPEG

 MotionJPEG形式の動画に.aviという拡張子を付けている例があるのに対して、動画デジカメで知られる三洋電機やオリンパスなどは、同じMotionJPEGでも.movという拡張子の動画データを生成します。.movといえば、1-2で説明したようにQuickTimeの動画形式です。三洋電機のデジカメなどは、「動画の再生にはQuckTimeが必要です」とマニュアルに記載されています。
 なぜ、MotionJPEGなのにQuickTimeが必要なのでしょうか? 答えは、Windows環境におけるMotionJPEGの取り扱い方針の問題なのです。
 MotionJPEGというのは非常にやっかいなフォーマットです。MotionJPEGには統一された規格が存在しない。かつては「MotionJPEGボード」のような形でハードウェアとして提供されていたこともあって、開発メーカーによって異なるコーデックを採用した経緯があります。また、もともとWindowsは標準環境ではMotionJPEGのコーデックを持っていません。従って、MotionJPEGのファイルは、たいていのWindows環境では再生できないのです。しかし、QuickTimeはもともとMotionJPEGのコーデックを持っていました。QuickTIMEを使えば、たいていのMotionJPEG形式の動画は再生できます。というわけで、三洋電機の動画デジカメは、MotionJPEG方式で圧縮された動画に.movという拡張子を付けて、QuickTimeフォーマットでメディアに記録しているのです。
 MotionJPEGには、もう1つやっかいな問題があります。それは音声の記録です。MotionJPEGというのは、もともと画像だけを記録する規格であり、音声記録フォーマットは定められていません(最近ではPCMを使うケースが多い)。従って、動画記録にMotionJPEGを採用するデジカメは、製品によって音声の記録方式が異なるのです。例えばキヤノンはWAVE形式だし、東芝はPCMを採用する…といった具合です。大半がモノラル音声にしか対応しておらず、中には音声記録機能がない機種も存在します。
 さて、Windowsは標準環境でMotionJPEGに対応していない…と書きました。しかし、これは正確には「完全に対応していない」と考えるべきでしょう。
 MotionJPEGのコーデックは何種類もあります。従来のWindowsも、そのうちの一部には対応していたのです。事実、CASIOのデジカメは動画にMotionJPEG方式を採用しているにも関わらず、Windows Media Player7.0で再生が可能です。Windowsは、Windows Media Player8.0以降、さらにMotionJPEGへの対応を強化しています。

■MPEG方式の採用へ

 現在MPEG方式の動画撮影機能を搭載している代表的なメーカーはソニーです。同社は、Cyber-shot シリーズにMPEG-1フォーマットの動画機能を搭載している他、DVビデオカメラにもMPEG-1方式の動画撮影機能を付加している。MPEG-1というのは比較的圧縮率が高いが、圧縮率を変えることで画質とファイル容量をコントロールできます。
 現在は、コスト面の問題からMotionJPEGの採用事例が多いデジカメの動画機能ですが、今後はMPEGを採用する機種が増加する可能性は高い。MPEGに関しては専用エンコードチップの量産が進んでおり、またWeb用動画フォーマットとしても使いやすい。そしてこのMPEGの中でも、最も注目されるのがMPEG-4です。
 デジカメが動画機能にMPEG-4を採用する理由は大いにあります。それはデータ容量が小さいという点です。画像記録メディアにCFカード、SDカードなどのシリコンメディアを使うデジカメは、現行のMotionJPEGなどの動画フォーマットでは、記録メディアの容量面での心配が残ります。一般ユーザーがデジカメ用に常用する記録メディアの容量は、せいぜい64〜128Mbyteです。これでは、MotionJPEGの高画質動画を数分記録したらいっぱいになってしまいます。MPEG-4動画にすれば、64〜128Mbyte程度の記録メディアでも、一定枚数の静止画とともい十分な長さの動画を混在記録できるのです。
 現在、動画用フォーマットとしてMPEG-4を採用している機種は非常に少ないですね。というよりも、現状のMPEG-4動画カメラは、「静止画も撮れる動画カメラ」というコンセプトで商品化されており、静止画撮影機能の方が「オマケ」なのです。MPEG-4動画を採用しているデジカメは本書で紹介したように何種もあるが、200万画素クラス以上のCCDを搭載した製品はなく、いずれも高画質静止画は撮影できません。今後MPEG-4エンコードチップの量産が進めば、高画質デジカメの中にも、MPEG-4動画撮影機能を搭載する機種が増えてくるでしょう。

■Web用ムービー素材としてのデジカメ動画

 さて、MotionJPEGは、画質によってビットーレートが変化します。画質が下がることを許容すれば、かなり高い圧縮率を実現できます。しかし、大画面でしかも圧縮率が低い高画質画像の場合は、ビットレートが相当に高く、最大で108Mbpsに達します。画像サイズやフレームレートによってビットレートは下げられるが、高画質を売り物にする三洋電機「DSC-MZ1」で撮影した160×120dotの15fpsというMPEG-4動画と同等の画像サイズ、フレームレートの動画の場合、そのビットレートは2Mbps程度になります。これは、MPEG-4動画の10倍近いビットレートなのです。そして、前述したようにデータ容量も大きい。160×120dotの15fpsの動画でも、約30秒の動画のデータ容量は3Mbyteを超えます。
 MotionJPEGは、「低画質・低ビットレート」と「高画質・高ビットレート」がはっきりと分かれるのです。一般にデジカメの動画機能として採用されるMotionJPEG形式の動画は高画質のものが多く、そのビットレートとデータサイズを考えると、Web公開用には使いにくい。10〜30秒程度の短い動画でも、複数の動画をWebで公開するとなるとサーバーの容量を大きく圧迫します。また、56〜64Kbps程度のアクセスラインで接続しているユーザーが再生するにはビットレートが高過ぎるのです。
 では、現行のデジカメの動画撮影機能を使って撮った動画は、Web公開やメール添付に使えないのか…というと、そうではない。要は、もっとビットレートの低い動画に変換すればよいのです。現行のデジカメで撮影した動画は、あくまで「ムービー素材」と考えればよいのです。
 デジカメの動画機能を活用するためには、普通デジカメに添付されている動画処理ソフトを使う。デジカメの動画フォーマットがバラバラです以上、各社が添付する専用ソフトを使わざるを得ないし、それが一番手っ取り早い方法でもあります。
 しかし、これまでに書いたように、デジカメの採用している動画フォーマットが、実質的にムービー圧縮AVI、MotionJPEG、MPEG-1など限られたものですのなら、いずれも専用ソフトを使わなくとも処理は可能です。特に、汎用性の高い動画変換ソフトですWindows Mediaエンコーダを使うことで、ほとんどの動画はMPEG-4形式に変換することが可能です。また、シャープの「PixLab」もMotionJPEGに対応しているので、各社デジカメの動画をMPEG-4形式に変換するのに、便利に使うことができます。


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