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デジカメとしてのD505iの実力  〜これはもう「ケータイ付きデジカメ」だ!    2003/5/26

 メガピクセルCCDを搭載した「カメラ付きケータイ」の出現によって、私の「デジカメ遍歴」も終わりを告げるかもしれません。少なくとも私のデジカメの利用場面の中で最も高いウェイトを占める「日常生活記録」については、今後新たにデジカメを購入する必要がなくなるでしょう。
 NTTドコモから発売された63万画素スーパーCCDハニカム搭載デジカメ「D505i」の、デジカメとしての実力を検証してみたいと思います。


■カメラ付きケータイは、日常持ち歩くデジカメとなるか?

 このサイトでは「小型軽量のデジカメ」を推奨してきました。つまり、「撮ってナンボ」のデジカメは、毎日持ち歩いても負担にならないような小型・軽量機種でなくてはならない…というのが私の持論というわけです(別の意見もあるでしょうが聞く耳を持ちません…笑)。
 逆に言えば、「デジカメは小型軽量であるべき」という理由は、「毎日持ち歩いて日常生活の中の身近な光景を撮影するため」であり、私は実際に毎日小型軽量デジカメを持ち歩いています。

 さて、携帯電話に初めてカメラが搭載されたのは、2000年秋に発売されたJ-Phoneのシャープ製端末「J-SH04」からでした。それ以前に、エッジ端末「feel H"」用の「Toreva」という外付けカメラがありましたが、いずれにしても初期の携帯電話搭載カメラは、わずか7〜10万画素のCMOSを使い、感度も低いものでした。それなりに面白く遊べましたが、日常記録用カメラとしての実用度は「?」という代物でした。
 ところが、1年ほど前から携帯電話端末に30〜35万画素のCMOSが搭載されるようになり、さらに最近になって撮像素子がCMOSからCCDへと移行し始めた頃から、少なくともWS30やCheez SPYZのようなVGAトイカメラにかなり近い水準の画像が撮れるようになり、いよいよ「日常携帯用デジカメ=携帯電話」という時代が近づいてきたのです。
 こちらでインプレッションを紹介したauの端末「A5304T」などは、35万画素のCCDを搭載、記録メディアにSDカードを採用し、デジカメ搭載カメラとしてはかなり高画質のVGA画像を撮ることができたので、いよいよ日常生活記録用カメラとしては携帯電話で用が足りる時代が来た…との予感を抱きました。しかし、まだまだ小型デジカメを持ち歩くのをやめる…ところまではおもいきることができず、現在に至っているわけです。

■NTTドコモ「D505i」を選択

 さて、ここへ来て携帯電話キャリア3社から、100〜130万画素のメガピクセルCCDを搭載するカメラ内蔵端末が相次いで発表されました。100万画素クラスと言えば、DSC-U10の画像でわかる通り、完全に「デジカメとしての日常ユースに耐える画質」を実現できます。いよいよ、「カメラ付きケータイ」を持ち歩くことで、デジカメが完全に不用になる可能性が出てきたわけです。

 数あるメガピクセルCCD搭載端末の中から、私はNTTドコモ「D505i」を選択しました。今回ドコモを選んだのは、日常の仕事に使っているドコモ端末を機種変更しようと考えたからです。D505iに搭載されるカメラは富士写真フイルム製の1/4.2型63万画素「スーパーCCDハニカム」で、厳密にはメガピクセルではありません。しかし、ソフトウェア処理によって123万画素に相当する最大記録画素数を実現し、最大960×1280ピクセルの画像も撮影できます。私は、携帯電話に搭載するカメラには感度が高くダイナミックレンジが広いハニカムCCDが向いていると思ったので、同じメガピクセル搭載ドコモ端末の中でも意図してこの機種を選択しました。
 D505iを選択した理由はもう1つあります。この機種は、折り畳み式でありながら閉じた状態で横持ちスタイルで撮影できるのです。以前使っていたauの「A5301T」と同じく、背面の液晶をファインダーとして利用できます。
 カメラをヒンジ部に搭載しており、閉じた時と開けた時でヨコ撮りとタテ撮りが自動的に切り替わるので、めんどうな切替なしに撮影できます。またアンテナの突起がないので、カメラ撮影のために構えた状態は、普通のデジカメと全く同じです。  メイン液晶は、26万2144色表示の2.2インチ半透過型MD-TFD液晶です。背面には6万5536色表示の約1.1インチ半透過型MD-TFD液晶が搭載されています。記録メディアはメモリースティックDuoで、読み出しに必要なメモリースティックアダプタも同梱されていました。
 サイズは高さ106×幅49×厚さ26ミリ、重量はバッテリー込みで約115gです。携帯電話としてはかなりサイズが大きめで重量もありますが、単体のデジカメと比較すれば気になる大きさではありません。バッテリー込みの重量で比較すると、SONY「DSC-U10/20」と大差ありません。私が普段持ち歩いているFuji「F402」よりも軽いですね。少なくとも「小型軽量の携帯電話+小型軽量のデジカメ」を組み合わせて持ち歩くことと較べれば、はるかに軽くてかさばらないのは確かです。

 カメラ部以外の携帯電話端末としての機能や使い勝手については、ここでは一切触れません(興味のある方はこちらをご覧下さい)。私は、通話ができてメールが受信できさえすれば、カメラ部の機能以外にあまり興味がないのです。唯一、閉じたままシャッター横のボタンを長押しすると、サブディスプレイでメール着信が確認できる点だけは気に入りました。

■各種カメラ設定

 カメラ関係の設定項目は豊富です。オープン時、クローズ時に分けて、それぞれ撮影サイズ(iショットS/L、壁紙、VGA、SXGA)、保存先(本体、メモリースティック)、圧縮モード(エコノミー、スタンダード、ファイン、スーパーファイン)が設定可能です。
 その他、コンパクトライト(暗所撮影用)、セルフタイマー秒数(5秒、10秒)、シャッター音、セルフタイマー音等が設定可能です。さらに、最大8倍のデジタルズームを搭載しています。
 特筆すべきは、ホワイトバランス(オート、室外、室内)、輪郭強調(3段階)、画像の色調(9種)の設定ができることで(撮影スタンバイ状態からの個別設定)、これはもうちょっとしたデジカメ並みです。
 SXGA(960×1280dot)でスーパーファイン設定時には、16MBのメモリースティックDuoに約30枚しか記録できず、1枚あたりの画像データ量は500KB程度になる計算です(実際は300〜400KBです)。VGA画像(スーパーファイン)ならメモリースティックDuoに約120枚記録できる他、加えて本体メモリにも約30枚記録可能です。ちなみにSXGA撮影時には、本体メモリには記録できません。
 メモリースティックDuo内に保存した撮影画像は、メイン液晶でサムネイル表示することができます。1画面で12コマの画像を表示するのですから、驚きです。
 私は、SXGAのスーパーファインモードを多用するつもりですから、最低32MBのメモリースティックDuoを追加購入したいと思っています。しかし、大容量のメモリースティックDuoはどこで売っているのでしょうか? まだ16MB以上のメディアを見たことがありません。あと、コンパクトフラッシュ対応スロットでメモリースティックDuoが使用できるアダプタも、あると便利そうですね。
 なお、三菱電機のサイトで提供しているデータリンクソフトでは、画像データの読み出しは出来ないようです。

■実写画像

 さて、D505iは63万画素スーパーCCDハニカムを搭載してるだけでなく、特筆すべきは光学系に4群4枚のレンズを採用していること。いやでも、撮影画像に期待が高まります。
 カメラの起動は、シャッターボタンにも使うサイドのボタンを長押しします。起動時間は約1.9秒と短いですね。
 iショット(S)サイズで圧縮モードをスタンダードにして本体メモリに記録する場合、画像保存にかかる時間は約1.9秒です。しかし、SXGAスーパーファイン画像をメモリースティックに記録すると、約5〜6秒程度の記録時間がかかります。インターバル時間はかなり長く、最高画質では連続撮影には不向きということです。

 閉じた状態で横に構えた感じは悪くないです。ホールド感は、ほとんど一般のデジカメと同じ感覚です。左手がレンズに掛かりやすい点、シャッターボタンが小さくて押しづらい点を除けば、使い勝手はよいと思います。少なくとも、従来のカメラ付き携帯電話での撮影とは比較になりません。
 シャッターボタンは爪先で押す感じになるので、手ブレには注意しましょう。ファインダー代わりの背面液晶の視認性もまあまあですが、明るい屋外ではかなり見づらくなります。
 レンズの画角は、撮影した感じではかなり広角寄りです。メーカーの発表では、35mmフィルム換算で34mmとのこと。スナップには非常に使いやすいワイドな画角ですね。

 ともかく実写画像を見てみましょう。まずはSVGAでスーパーファインという最高画質で撮影したオリジナル画像です。いずれの画像も標準設定で撮影し、全く補正は加えていません。画像をクリックしてみて下さい。


 一見して色彩感や立体感に欠ける、「CMOSライク」な画像です。CCDではなく100万画素程度のCMOSを搭載した上位トイカメラの画像に似ています。この「暖かみのない画像」には、ちょっとがっかりしました。基本的な発色は悪くないのですが、彩度不足の上、暗めの雰囲気です。それなりにメガピクセルクラスの解像度感はありますが、全般的にエッジが曖昧で質感はあまり表現できていません。
 …とは言っても、これは100〜130万画素のCCD搭載一般デジカメと比較しての感想。従来のカメラ付きケータイの画像とは、完全に一線を画しています。特にこの画像を50%程度縮小してやると、かなり締まった画像となります。日常記録はむろん、縮小してWebサイトなどで使う画像素材としては十分でしょう。
 周辺部のフォーカスは若干甘くなりますが、許容範囲です。また、多少周辺光量の落ちがありますが、思ったほどではありません。従来のカメラ付きケータイと比較して、かなり光学レンズの性能が向上していることを示しています。


 ともかく、D505iのSVGA画像をうまく利用するためには、撮影後の画像を適当にリサイズ(縮小)してやることをお勧めします。50%縮小すると、非常に締まった画像となります。従来のVGAカメラ搭載端末や、VGAトイカメラの画像と較べてもかなりシャープです。本サイトでサンプル画像を掲載しているA5301Tの撮影画像と比較しても、相当にシャープな画像です。画像をクリックして下さい。


 明るさの不足する室内でも、コンパクトライト無しで十分に撮影できます。また、マクロなしでも20センチくらいの距離なら撮影が可能です。これは最初からVGAで撮影した画像ですが、さらに70%にリサイズしてみました。画像をクリックして下さい。



 次に、SVGAではなく最初からVGAサイズで撮った画像を、さらに詳しく見てみましょう(クリックするとオリジナル画像が表示されます)。
 私は、VGA画像の方が発色や質感表現も含めて、よい雰囲気だと思います。また、VGA画像だとスーパーファインでもデータ容量が100KB以下なので、16MBのメモリースティックDuoに大量に記録できるし、加えて本体にも30枚記録可能です。上段3枚目の画像を見て頂くとわかるように、暗めの室内でメニューを撮影してもちゃんと読むことができ、メモ的な記録に使っても十分な解像度です。下段2枚目の画像のように、暗い中でのネオンサインなんかもうまく撮ることができます。下段3枚目の画像は東京都庁を撮影したものですが、収差もなくよい雰囲気です。
 VGA画像が締まった感じできれいだと思ったら、「D505iのVGA撮影はいったん高解像度で撮った画像を縮小処理している」とのことで、これなら十分に実用的です。普段はVGAで撮影し、バスの時刻表など細かい文字をメモ写する時などはSVGAで撮影する…といった使い方も、よいかもしれません。


 さて、これらのD505iの実写画像の画質を見て「何だこの程度か」と思うのか、「これで十分」と思うのかは、人によって違うでしょう。撮影対象や用途・目的によって評価は変わるはずです。
 ともかく、30〜35万画素の撮像素子を搭載した従来のカメラ付きケータイと較べれば、比較にならないほど「クオリティの高い」画像が撮影できることは確かです。トイカメラとの比較では、WS30やCheez SPYZなどの高画質タイプのトイカメラと同等か、若干高画質といってもよいでしょう。しかし、「DSC-U10」など100〜130万画素の一般デジカメの撮影画像と比較すれば、かなり画質は落ちます。まだまだ「一般デジカメ」の水準からはほど遠い画像…であることも事実です。

■デジカメは不用になったか?

 私は、結論としては、D505iの画質にはほぼ満足しています。「色彩感、立体感の乏しさ」にはちょっと失望しましたが、それはあくまで事前の期待が大きかったゆえのこと。実写画像を見る限り、メモ記録用途では解像度も発色も実用上の問題はありません。
 さすがに国内外の旅行記録など「ある程度きれいに撮りたい…」というケースでは使えませんが、日常の街角風景を撮影したり居酒屋カメラとして使うなどの「日常記録用途」としては、この画質なら十分です。
 思ったよりも屋内撮影に強いのも気に入りました。補助ライトを使わなくても、暗い室内でそこそこには写ります。発色もまあナチュラルで、オートホワイトバランスも室内撮影ではうまく機能しています。プライバシーの問題でサンプルをアップしませんでしたが、人の顔などもそこそこの色で描写します。手持ちのトイデジカメと比較すれば、WS30あたりよりも描写力は上です。
 もともと私は、日常携帯するデジカメにはそれほどの高画質は求めていません。対象物の形、人の表情、撮影時の雰囲気などがそれなりに記録できればOK。むろんオートフォーカスでなくても、固定フォーカスで十分です。マクロは欲しいところですが、D505iは20センチくらいの距離ならほぼ問題なく撮影できます。
 なお、auやJ-PhoneのメガピクセルCCD搭載端末はMPEG-4ムービーが撮影できますが、D505iはそのムービーが撮影できない点が若干不満と言えば不満です。

 …というわけで、今後D505iを毎日持ち歩くことになるので、デジカメを持たない日が増えそうです。特にこれから夏にかけては、薄着の季節になります。チノパンに半袖シャツ、ジーンズにTシャツというスタイルでバッグを持たずに散歩する時でも、D505iを1台だけならズボンのポケットに入れておいても邪魔になりません。大きくて思いケータイですが、「カメラ付きケータイ」ではなく「ケータイ付きデジカメ」だと思えば、気になりません。

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