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激安! 13,800円の実力  〜オリンパス「CAMEDIA D-360L」  2001/9/6

 このサイトでは以前から「低価格のデジカメで楽しもう」と繰り返し書いてきました。
 中でも注目してきたのが「型落ち」製品です。最近では、各社の130〜150万画素クラスの旧型製品が15,000円以下で出回っています。こうした「型落ち・格安デジカメ」の実力を試してみました。


■2万円以下で買える本格デジカメ

 WS30 SLIMはVGA機の中ではかなり「使える」面白いデジカメです。しかし、オートフォーカス機構を持ち、可換型の記録メディアを採用する本格的な130万〜150万画素機の画質とは比較になりません。こうした130万画素機は、発売当初の1年前には3万円以上で実売されていたものばかりです。光学系や画像処理回路も本格的なものを使っています。自分が使っているデジカメで言えば、富士写真フィルムの150万画素機「FinePix1500」は、2年前の製品にも関わらず、非常に美しい画像が撮れます。トイデジカメとは比較になりません。
 2001年9月現在、2万円以下で入手できる本格的な型落ちデジカメとしては、富士写真フィルムの「FinePix1300」とオリンパス「D-360L」があり、どちらもネットで18,000円前後で購入できます。特に「D-360L」は、15,000円前後で販売している話もよく聞きます。2万円を出すと「FinePix2300」など200万画素機にも手が届きますが、やはり1万円台後半のカメラに注目したいですね。現在WS30 SLIMの実売価格が12,000円前後、その差は5000円強しかありません。
 さて、この1万円台後半の型落ちカメラは、実際にどの程度の実力を持っているのでしょうか?

■「D-360L」を13,800円で購入

  そんなわけで、130〜150万画素の型落ち品の画質をテストしてみようとネットで安価な商品を探してみました。するとコジマ電機のサイトでオリンパス「CAMEDIA D-360L」を13,800円で売っているのを発見、早速申し込んでみました(2001年9月6日のことです)。
 別に130万画素機が欲しかったわけではありません。ちょうど知人に安いデジカメ探しを頼まれていたこともあり、私がいろいろと遊んだ後で1万円程度で譲ればよいと思ったわけです。
 13,800円と言えば、これは間違いなくトイデジカメの価格帯です。事実、私が初代のWS30を購入した時の価格(14,800円)よりも安価です。しかも、D-360Lはパソコン接続キット(シリアル接続)と8MBのスマートメディアまで同梱されています。どちらも個人的には全く不要ですが、初めてデジカメを購入される方には有効でしょう。
 今どき、こんな古いデジカメのインプレッションを新たに掲載するサイトなんて絶対にないはずです(笑)。しかし、今回あえて「D-360L」という旧機種のインプレッションを掲載するのは、これが今、新品で13,800円で買えるからなのです。

■130万画素機のポジション

  現在、SONY、オリンパスの2社が、入門用の位置付けで積極的に130万画素機を販売しています。オリンパスは「C-1」「C-1 ZOOM」と「C-100」という3種の130万画素機を現行主力機種としてラインアップしていますし、SONYも「DSC-P20」「DSC-P30」という2機種の130万画素機を主力機としてラインアップしています。
 130万画素機は、「旧機種」ではなく「現行機種」であり、しかもメーカーによっては入門用の「主力機」の1カテゴリーとして明確に位置付けられています。ちなみにこれらの機種の実売価格は、概ね2万円台半ば程度です。確かに200万画素機の主流となる価格帯、4〜5万円と比較すれば安価ですが、200万画素の型落ち機が3万円以下で購入できるので、非常に微妙なところです。

■D-360Lのスペックと操作感

 「CAMEDIA D-360L」の発売は、2000年の12月ですから、「9ヶ月落ち」と言うことになります。確か200年3月に発売された「C-860L」がベースで、それに接続キットなどを加えたオールインワンタイプとして発売されました。ってことは、基本設計は1年半も昔の製品です。デザインが古くさいのは、いた仕方がないところ。
 ここのところ、200g以下の小型デジカメばかり使っているので、意外と大きくて重いと言うのが実感です。本体重量は240gですが、撮影時重量は300gを超えそうです。バッテリーには、単三アルカリ電池を4本使いますが、ニッケル水素電池の使用もOKです。アルカリ電池で連続撮影100枚ということなので、高容量のニッケル水素電池を使えば200枚以上はいけるでしょう。
 CCDは1/2.7型の補色系、レンズは5.5o(35mmフィルム換算36mm相当)で、F2.8と明るいものです。むろんオートフォーカス機能を持っています。合焦時間は早くはないですが、イライラするほど遅くもありません。トイデジカメとは異なり、固定焦点じゃないところはうれしいですね。
 露出補正も備えています(メニューの第1層)。ホワイトバランスの設定もプリセットで変更可能です。1.8型のTFTカラー液晶を搭載しており、明るいところでの視認性はまあまあ。記録媒体はスマートメディアです。
 割と大きくて重い分、ホールド性は悪くありません。カッコよくはないものの、オーソドックスなカメラ形状なので、両手でしっかりグリップできます。また光学ファインダーも見やすく、液晶OFFでのファインダー撮影はバッチリ。一昔前の銀塩コンパクトカメラを構えた感覚ですね。
 シャッターボタンを押す感覚は、ちょっと違和感があります。半押し状態でフォーカス、押し込んでシャッター…という「2段階」の感じがかなり強く、シャッターを切る瞬間にちょっと力が入ってしまいます。まあ、馴れの問題でしょう。

■画像サンプル

 まずは撮影画像を見て頂きましょう。各画像をクリックすると、レタッチ無しのオリジナル画像(最高解像度)が表示されます。



 200万画素以上のデジカメの画像を見慣れた現在では、はっきり言って画質がいいとは思えません。気になるほどではありませんが、ノイズもあります。被写体にもよりますが、発色はトーンを抑えたおとなしい感じ。ただ、赤やオレンジや緑など特定の原色はかなり派手めの発色となるケースがあります。でも、思ったよりも解像度感があります。これは補色系CCDを採用しているというだけでなく、光学系がよいのでしょう。階調表現やレンジ感も、ここまで出ればOK。そして、上段中央の花のマクロ画像はとてもいいですね。

 この画像をトイデジカメの画像と較べるとなると…これはもう比較になりません。VGA機よりも解像度が高いから…というレベルではなく、何から何まで違います。「D-360L」の撮影画像のレベルは、現行の普及価格帯のデジカメならば画質比較の対象となりますが、トイデジカメは画質比較の対象にすらなりません。それほど「まともな画像」です。
 これだけの画質のデジカメが、トイデジカメ並みの「たったの13,800円」で買えると思うと、ほとんど絶句してしまいます。

■D-360Lは「買い」か?

 初心者が初めて購入するデジカメとしては、非常によいスペックだと思います。少なくともWS30に代表されるCMOS、VGAのトイデジカメとは比較にならないほど多用途に使うことが出来ます。パソコン接続キットも含むオールインワン・パッケージなので、他に何も購入する必要はありません。ただし、シリアル(RS-232C)による画像転送は遅く、時にイライラします。快適に使うためには、USB接続のスマートメディア・リーダーがあると便利でしょう(3,000円前後で購入できます)。また、長時間動作のためには高容量のニッケル水素電池と充電器もあると便利でしょう(これはNEXcellの放電器付き充電器と単3形電池4本セットが3,000円程度で買えます)。
 ただ、間違えないで欲しいのは、「初心者は絶対にWS30のようなトイデジカメではなく「D-360L」のような型落ちの本格デジカメを購入すべきだ」…と言っているのではありません。WS30にはWS30の良さがあります。WS30は軽くて、小さくて、単四電池2本で1000枚も撮影できます。これらの特徴は、どれをとってもD-360Lにはないメリットです。
 第一「D-360L」はカッコ悪いです(笑)。お世辞にも携帯してカッコいいデザインではありません。
 本来ならば、「D-360L vs WS30 SLIM」なんて比較対象とする機種同士ではありません。要するに製品領域が違うのです。「小さなデジカメをスマートに持ち歩きたい」というニーズならば、「D-360L」を購入すると後悔すると思います。反面、オークション出品物の画像をきれいに撮りたい…などのはっきりとした利用目的があるのなら、トイデジカメではなく「D-360L」を選択すべきでしょう。
 いずれにしても、初めてデジカメを購入する人で「予算が無い」というのならば、「D-360L」のような型落ちの格安機は、考慮すべき選択肢に入るでしょう。現時点のデジカメ市場で言うならば、エントリークラスの最新機種とほとんど遜色のない機能がこの値段で手に入るのですから…。

 今回はたまたま「D-360L」をテストしてみましたが、この製品はまもなく市場から姿を消します。でも半年後には、また別の型落ち品・格安機種が市場に出回っているでしょう。常にこうした格安デジカメの市場をウォッチし続けていると、1万円前後で思わぬ拾い物があるかかもしれません。


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