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「CCDサイズ」の真実    2002/12/20

 CCDのデータシートを見ていると、不思議なことに気がつきませんか? 例えば代表的なCCDメーカーである、SONYのCCDカタログでは、CCDのサイズについて次のように標記しています。「対角11o(2/3型)、対角8.923o(1/1.8型)、対角8o(1/2型)、対角6o(1/3型)…etc.」
 ここでいう2/3型、1/2型というのは、デジカメのCCDで言うところの2/3インチ、1/2インチのことです。つまり、2/3インチのCCDは、対角が2/3インチ(約17o)ではなく11oだと言っているのです。同じように、1/2インチCCDの対角は1/2インチ(約12.7o)ではなく8oだと言っているのです。
 これはいったい、どういうわけでしょう。

 実は、2/3インチとか1/2インチとか表示されるCCDのサイズは、撮像管時代の管径を踏襲した表記で、実際に1/2インチCCDの対角寸法が1/2インチと言う訳ではないのです。CCDの対角寸法を表す数字ではない…というだけでなく、「実際のCCDサイズとは全く無関係」な数字なのです。
 撮像管は、ご存知の通り光を電気信号に変換する真空管の一種で、かつてはビデオカメラには全てビジコン管、サチコン管などの撮像管が使われていました。その撮像管には、2/3インチ、1/3インチなどのサイズ(管の直径)があり、その各サイズの撮像管の作るイメージサイズが現在もなお基準になっているのです。つまり、2/3インチCCDというのは「2/3インチのサイズのCCD」という意味ではなく、「2/3インチの撮像管が作るイメージサイズと同じイメージサイズを持つCCD」という意味なのです。
 なぜこんなことになったのかと言えば、撮像管からCCDへと移行した時に、光学系部品の規格を変更しなくて済むようにしたからです。新しいデバイスであるCCDに合わせて光学系の規格を一新するのではなく、撮像管時代の光学系の規格を有効に活用するため、「従来の撮像管のイメージサイズに相当するCCD」という概念を持ち込んだわけです。

 CCDのサイズと、そのCCDが作るイメージサイズをもう少し詳しく書いておきます。

  2/3インチCCD: 8.8o(W)×6.6o(H)
  1/2インチCCD: 6.4o(W)×4.8o(H)
  1/3インチCCD: 4.8o(W)×3.6o(H)
  1/4インチCCD: 3.6o(W)×2.0o(H)

 ちなみに現在では、業務用、民生用ともにビデオカメラはほぼ100%がCCDを使っていますが、特殊な用途のビデオカメラの一部には撮像管が使われています。例えばNHKが開発した高感度ハイビジョンカメラには「新スーパーHARP撮像管」という、通常のビデオカメラの100倍以上の感度を持つ撮像管が使われています。

 さらに話は飛びますが、半導体の進歩で真空管というのはごく限られた場所でしか使われなくなりました。今回の話に出た撮像管や、浜松フォトニクスなどが作っている光電子倍増管など光センサとして使われている他、テレビのブラウン管も真空管の一種です(ブラウンが発明した真空管です)。
 そして意外と知られていないのが、電子レンジに使われているマグネトロン管です。あれも実は真空管の一種です。私は昔、仕事でマグネトロン管の製造工程を見学したことがありますが、アノードやカソードという真空管の電極部分から作っていました。


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