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銀塩フィルム式カメラ(要するに普通のカメラ)の話

 デジカメではない、いわゆる「銀塩フィルム式のカメラ」の話です。興味のない方も多いでしょうが…
 私は、デジカメだけでなく普通のカメラで写真を撮ることもけっこう好きで、何台もカメラを持っています。何台もカメラを持っているからと言っても、いわゆる「カメラマニア」では全くありません。アイドル追っかけの「カメラ小僧」や鉄道写真マニアの「てっちゃん」でもありません。さらに言えば「カメラが趣味」でもありません。
 ちなみに私の趣味はバイクと海外旅行です。だから、カメラはツーリングや旅に持っていく道具として使うことが最も多いのです。旅行なら、どこへ行くにもかならずカメラを持っていきます。日常生活でもカメラを持ち歩くことは多いのですが、基本的には何か目的があって写真を撮るのではなく、ただ「写真を撮る」という行為が好きなのです。
 元々カメラによる撮影を始めたのは、趣味ではなく仕事がきっかけでした。だから、一時期は一眼レフカメラの方をよく使ったものです。
 高級機やビンテージカメラなんていうのは1台もなく、所有しているのはあくまで普及タイプのカメラばかりです。要するに、昔から「安くて、小さくて、よく写る」カメラが好きなんですね。いや、もっと正確に言うと、「いくら高性能でも、重くて、大きくて、操作が面倒」なカメラは使いません。
 一眼レフも「小型・軽量」の機種を数台持っていますが、最近は一眼レフを使うことはめったになく、日常の撮影と旅行用にコンパクトカメラばかりを使っています。バイクツーリングと海外旅行に持っていくことが多く、小型・軽量・堅牢なカメラが好きです。ズームレンズは嫌いなので、もっぱら単焦点のコンパクトカメラを使います。


フィルム式カメラとデジタルカメラ

 デジカメ全盛の中、銀塩カメラのファンの中には「デジカメの写真はしょせん銀塩フィルム式カメラには及ばない」…という見解を主張する方もけっこういます。
 確かにその通りです。銀塩フィルムの中でもエクタクロームなどの低感度フィルムの画素数は、CCDの画素に換算すると「2000万画素」にも達し(35ミリ)、到底撮像素子の解像度の及ぶところではありません。ましてや中・大判の銀塩フィルムの表現力は、デジタル一眼レフはむろん、中判カメラ用デジタルバックなどの業務用デジカメを使っても及ぶところではありません。しかし、私は雑誌編集の仕事をしていますが、グラビアやポスター、広告写真にでも使うのでない限り、そんな解像度や描写力は必要ありません。雑誌掲載用の写真ですら、300万画素のデジカメを平気で使う時代なのです。
 個人で使う場合、銀塩カメラとデジカメを「画質」で比較するのは、「写真マニア」以外にはあまり意味のあることとは思えません。むろん、用途が違うことは確かです。しかし、「日常生活の写真」や「記念写真」という用途で見ても、銀塩カメラとデジタルカメラの差はほとんどありません。パソコンユーザーで高画質カラープリンタを所有しているのなら、銀塩カメラでもデジカメでも好きな方を使えばよいわけで、「どっちがいい」ということはないような気がします。
だから私は銀塩カメラファンの人の「しょせんデジカメの写真は銀塩一眼レフには遠く及ばない」というセリフが好きではありません。

 しかし、そうなると、銀塩カメラというのはパソコンユーザーにはあまり必要のないものなのでしょうか?いや、そこまでは言い切れない部分があります。
 私にとって銀塩カメラ、特に値眼レフカメラは「写真を撮る」ことの基礎を教えてくれた部分があります。例えば、簡単なところでは「シャッター速度と絞りの関係」や「絞り優先オート時の露出補正」、「レンズの焦点距離とボケ味」といったことの意味です。さらに、「ハイライトとシャドウ」「色温度と発色」「測光方式による違い」などを知ることで、シチュエーションに応じた写真の撮り方が、だんだんにわかってきました。むろん、写真を深く学んだ方には私などは全くの素人です。でも、こうしたことがわかるに従って、写真を撮ることが面白くなりました。

 さて、デジカメです。デジカメとは言っても、感光部分が銀塩フィルムかCCDかの違いがあるだけで、「写真を撮る」原理は銀塩式のカメラと全く同じです。どんなに自動化されたカメラでも、やはりよい写真を撮るためにはそれなりに写真の知識があった方がよいと思うのです。
 例えば「ホワイトバランス」の設定など、被写体の色温度についての知識があるとうまく使いこなすことができます。逆に、カメラにマニュアル設定機能が無く、全てが自動化されているカメラなら、よい写真を撮るためのテクニックがもっと必要になります。つまり、カメラ任せで自動的に撮った写真に一味加えた、意図的な画像を得ることが可能なのです。
 写真撮影の原理に関する知識があれば、露出補正も日中シンクロもないカメラで、どうやったら逆光の写真がうまく撮れるか…といったことを考えることができます。
 そんな意味で、少なくとも私にとってはデジカメを扱う前にフィルム式カメラで遊んでいたことは無駄ではありませんでした。
 また、デジカメユーザーの皆さんも、フィルム式のコンパクトカメラで遊んでみると、またいろいろなことがわかるのではないか…なんて思ったりします。


インプレッション

 出版社や広告代理店に勤務している時代には、自分のではなく会社の所有物の一眼レフをいろいろと使いました。ニコン、キヤノンの一眼レフが多かったですね。ニコンのF3なんかは、高性能なのはわかっているのですが、すごく重くて持ち歩くのがイヤでした。
 フリーになってからは、個人で使うために小型・軽量で安価な一眼レフを何機種か購入しました。現在も手許にあるカメラについて、愛着がある機種だけに限りますが、そのインプレッションを書いておきます。

■一眼レフカメラ

PENTAX「MX」
 PENTAXの小型・軽量のマニュアル一眼レフです。フリーになった年に、50ミリ/F1.4レンズ付きで購入。交換レンズとしては135ミリ/F3.5を1本のみ、これだけです。
 「MX」は、ちょっと大げさに言えば、「写真を撮るというのはどういうことか…」を教えてくれたカメラです。以前、1年間ほどかけて北米大陸を旅行した時に持っていき、数千枚(36枚撮りを60本以上)の写真を撮りました。帰国後には仕事にも使ったので(取材時の人物撮影などを50ミリで撮ってました)、相当使い込んだカメラです。
 私は近視なので、ファインダーに視度補正レンズを付け、シャッターボタンにはねじ込み式の大型ボタンを取り付けました。
 この「MX」、小さ過ぎると言う人もいますが、私にはちょうどよいサイズでした。分割巻上げの感触も悪くありません。完全なマニュアルなのに、サッと取り出してパッと撮れるカメラでした。
 欠点と言えば、フォーカスが合わせにくいこと。ファインダー内のマット面が暗く、斜め線で焦点を合わせるスプリットはかなり使いにくいものです。まあ、長く使っているうちに慣れましたが…。
PENTAX「ME」
 絞り優先オートの一眼レフです。「MX」を仕事で使っている時に、サブカメラとして中古品を購入したものです(20代の頃は特に貧乏でした)。露出補正機構がないので、ISO感度セット用のダイヤルを使って露出補正をしたのが懐かしい思い出です。今も所有していますが、10年以上撮っていません。

■コンパクトカメラ

OLYMPUS「PEN EE3」
 1973年から83年にかけて製造された、いわゆるオリンパスペンの後期モデルです。10年ほど前に池袋の裏通りの質屋の店頭に転がっていたのを購入しました(確か5,000円位)。しかも、2台購入したのです。私は、この中古機を購入する前は、一度もペンを使ったことがありませんでした。でも、何となく昔から欲しかったのです。
 購入当初は低照度時のファインダー内表示(通称、赤ベロ)の動作が鈍かったのですが、使用しているうちにセレン光電池に充電されてきたらしく、快調に動作するようになってきました。
 Zuiko 28mm F3.5のレンズは、想像していたよりもはるかにシャープに写りました。パンフォーカスのカメラですが、ツボにはまった時の写真は抜群の解像度感があります。
 長く使っていきたいのですが、セレン光電池の寿命が心配です。
OLYMPUS「XA」
 「絞り優先オートのマニュアルフォーカス」のレンジファインダー機で、AF搭載のプログラム露出制御が当たり前の昨今のバカチョン・コンパクトカメラとは一味も二味も違うカメラです。
 実は入手経緯が思い出深いカメラです。1983〜4年頃、ニューヨークに住んでいたとき、日本で購入したリコー「XR7」という安物の一眼レフカメラを持っていました(取材用MXの予備機です)。ニューヨークのカメラ店(買い取りもする店)で、「XR7のボディを売って、そのお金でXAが欲しい」と交渉して手に入れたカメラなのです。「イーブントレードは無理」と言われて、粘った末に、多少お金を追加して入手しました。というわけで、この「XA」は輸出仕様です。距離計の表示がft(フィート)になっているのです。
 「XA」を持ってアメリカの国内線に乗っている時、よく空港の手荷物検査で「これは何か?」と聞かれました。どうも当時は、黒いカプセル形状の「XA」がカメラには見えなかったらしく、怪しげなモノと感じられたのかもしれません。フロントのレンズカバーを開けて見せると、しげしげと眺めて納得してました。
 そんな話はともかく、この「XA」、F2.8の明るいレンズと、独特の味のある写りが、非常に楽しいカメラです。レンジファインダーも慣れれば使いやすく、個人的意見では「名機」と言ってもいいでしょう。現在でもたまに取り出して、撮影しています。
OLYMPUS「XA4」
 XAのレンズを28ミリ、F3.5にして、ゾーンフォーカス式を採用した広角バージョンのカメラです。こちらは日本で購入しました。
 ゾーンフォーカスとは言っても、そこは28ミリの広角レンズ、あらかじめ3mぐらいの距離に合わせておけば、ほとんどオートフォーカスのように何にでもピントが合います。旅行先で街角スナップなどを撮る時には、「XA」よりも使い勝手がよく、これも海外でずいぶん使いました。
KONICA「BIG-MINI」(初代)
 初代のビッグミニです。まだ「デジカメ」が存在しない頃、バイクツーリングや海外旅行に、もっともよく使ったカメラです。写りは定評どおり全く文句のないものでした。特にマクロは秀逸で、見るもの何でもマクロで撮った時期があります。
 考えて見れば、私にとって初めての「オートフォーカス」カメラでした。
KONICA「現場監督」(初代)
 初代の現場監督です。工事現場向けの防水、耐衝撃性を持たせたカメラとしては最初の機種で、その後各社から商品化されてブームになりました。
  確か、40mm/F3.5だったと思います。光学系がよいだけでなく、適当なサイズと重量があるので手ブレする事が少なく、結果としてもっとも良く写るコンパクトカメラの1台です。ツーリングによく持っていったのは、言うまでもありません。
FUJI「カルディアミニ TIARA」
 これまた「初代TIARA」です。28ミリの広角単焦点レンズを積んだ、しかもアルミボディの質感が美しいカメラです。製造中止になる直前に、15,000円程度で新品が売られていたので、思わず買ったものです。「XA4のオートフォーカス版」といった感じで使いました。前面スライド機構がちょっと使いにくい面がありましたが、操作性の欠点を補って余りあるほど画質がよく、しかも高い質感で所有欲を満たしてくれたカメラです。
CANON「IXY 310」
 突然なんですが、私は「キヤノン」というメーカーが何となく好きではありません(別に理由はありません。キヤノンのファンのみなさん、ごめんなさい)。にもかかわらず、この初代「IXY」は、無条件で買ってしまいました。理由は、やはりそのデザインとコンセプトです。やられたな…って感じですね。でもこの初代機以降は、コンパクトカメラでもデジカメでもIXYシリーズは購入していません。何だか、デザインが「あざとい」感じがするので…。ファンの方には重ねてお詫びします。あくまで個人的な意見です。

■超小型カメラ
FUJI「MC007」
 いわゆる「ミノックス」タイプのフィルムを使う、超小型カメラです。FUJIと言っても「富士写真フィルム」ではなく「富士カラー販売」の取扱いになっています。小さいものやギミックが好きな私は、発売直後に購入しました。むろん、専用ストロボも一緒です(セットで3万円強とかなり高かった)。ところが、これがけっこうよく撮れて面白い。
 フィルム面が小さいので、35oフィルムで撮った写真とは比較になりませんが、なんとなくレトロな雰囲気の写真が撮れるところが気に入っています。ちょっとWS30にあい通じるものがありますね。そのうち撮った写真をスキャナで読み込んでアップしましょう。
 心配されたフィルムの入手性も、富士写真フィルムが発売しているため、カメラ量販店ならたいてい購入することができます。DPEも富士写真の直営ショップなら、どこでも受け付けてくれます。そんなわけで、日常持ち歩いて遊ぶにはもってこいのカメラです。
 あまり知られていないカメラなので、スペックを書いておきましょう。

「MC007」仕様
●使用フィルム:ミノックスタイプ
●画面サイズ:8×11mm
●レンズ:アゾノンF3.5 f=15mm 3群4枚構成
●絞り:F5.6固定
●シャッター:電子シャッター ●シャッタースピード:約2−1/250秒
●露出制御:CDS測光、EV5−13(ISO100)
●焦点合わせ:目測式
●撮影距離:0.3m−無限遠(近接30cmまで可能)
●フィルム感度:手動ダイヤル式
 ISO25, 50, 100, 400


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