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実売価格3万円の高倍率ズーム機 オリンパス「C-755UZ」     2004/4/13

 最近トレンドになっている高倍率ズームのデジカメを一度使ってみようと思っていたところ、光学10倍ズームレンズを備えるコンパクトな400万画素機、オリンパス「C-755 Ultra Zoom」が実売3万円程度の格安価格で入手できたので早速撮ってみました。C-755は旧製品とは言え、まだ発売後半年程度しか経っていません。この極端な値落ちは、デジカメ業界の新製品投入競争の激しさを物語っています。ユーザにはうれしいことですが…


購入の経緯

 以前から書いているように、私は「日常使うスナップ用デジカメにはズームは不要」と考えています。最近では、実際に日常スナップで使うデジカメも、海外旅行などへ持っていくデジカメも、単焦点の小型デジカメばかりです。
 ところで、昨年のPanasonic「DSC-F10」のヒット以降、各デジカメメーカーから高倍率ズーム機の市場投入が続いています。高倍率ズーム機と言えば思い出されるのが、2000年から2001年にかけて発売されたオリンパス「C-2100UZ」やキヤノンの「PowerShot Pro90 IS」あたりですが、いずれも10万円を大きく上回る大変高価なデジカメでした。ところが、昨年後半以降各社から次々と市場に投入された高倍率ズーム機は、当時の製品と同等、もしくはそれ以上の機能を持ちながら、実売価格が5万円前後の比較的安価な製品が中心です。加えて大幅に小型化されています。いまや「低価格の10倍ズーム機」は、ひとつの製品ジャンルを形成しています。それにしても、この値段でこの機能とは、ここ2〜3年のデジカメの進化には驚くばかりです。
 コンパクトな高倍率ズームカメラというのは、銀塩方式のカメラでは実現不可能なもので、デジタルならではの製品コンセプトとなります。CCDの受光面積が小さいデジカメだからこそ、望遠側への光学系の対応が容易なのです。光学10倍ズームレンズを搭載して本体共々300g程度のカメラなんて、銀塩カメラの時代には夢のような製品ですね。
 こうした手軽な高倍率ズーム搭載デジカメのユーザが増加し、各所でそうしたユーザが撮影した作品を見る機会が増えるにつれて、私も一度使ってみたい…と思うようになりました。むろん、日常スナップ用に持ち歩くつもりはありませんが、たまに持ち歩いてノラ猫でも撮ったら面白いかも…といった感じです。まあ、こんな理由での購入ですから、機能よりも「価格優先」ということになります。ここへきて各社の高倍率ズーム機の一部が大きく値下がりしています。私が考えた予算は3万円台半ばまでで、候補となる機種はコニカミノルタ「ZI」、フジ「S5000」、オリンパス「C-755」の3種です。Web上の掲示板などではコニカミノルタ「Z1」の評判が非常によかったのですが、私はあのデザインがいまひとつ好きになれません。そんなことで迷っていたら、某ショップでオリンパス「C-755」が3万円以下で売られていました。消費税込みでちょうど3万円程度という安さです。デザインもオーソドックスだし、まあ遊びに使うのなら十分かと思って迷わず購入しました。色はエボニーブラックです。

ファーストインプレッション

 光学10倍ズームを搭載しているにしては、思ったよりもコンパクトなカメラです。電池抜きで305g、電池重量が120gとして込みで425g、まあ持ち歩けないサイズ・重量ではありません。レンズキャップが必要なのは面倒ですが、レンズを完全に引っ込めることが難しい高倍率ズーム機では仕方ないでしょう。
 充電式リチウムを採用した最新機種「C-770」は、確かに薄型化、軽量化されましたが、実際の使い勝手から見ると、単三型のアルカリやニッケル水素電池が使えるC-755の方が便利なようにも思います。購入直後に2000mAのニッケル水素電池を入れて使っていますが、現段階で150枚以上撮影し、設定や再生などさまざまな操作を頻繁に行っているにもかかわらず、まだ電池がなくなる気配はありません(その後ニッケル水素2400を使ってバッテリーが無くなるまで撮影したら300枚以上撮影できました:ストロボ使用率は10%以下)。
 けっこう厚みはありますが、手にとってみると右手でのグリップはしやすく、シャッターボタン、ズームボタン、モードダイヤルなど基本撮影機能に関わる各ボタンの位置も悪くないので、構えてみた第一印象は悪くありません。「エボニーブラック」と呼ぶボディ色やボディ材質の質感もまあまあで、それほど安っぽい感じはしません。
 ビューファインダー(EBF)と背面液晶モニタは排他利用になりますが、普通のシンプルな光学ファイダーでもよかったかも…なんて思いました。まあ、高倍率ズーム機では通常のファインダーではパララックスが大きくなり過ぎて正確なフレーミングができないし、またこのデジカメのような多機能には多種の情報表示機能を持つEBFが不可欠でしょう。でも、私には馴染めません。どうも、普段小型の単焦点デジカメばかり使っている私にとっては、「気軽なスナップ」にはあまり向かないデジカメのようです。

本格的な多機能デジカメ

 ともすれば高倍率ズーム機能だけに目を奪われがちですが、トータルで見るとC-755はデザイン、機能ともに非常にオーセンティックなデジカメです。
 まず機能面ですが、「デジカメが備えるべき機能をひと通り備えている」…と言えるでしょう。
 露出は、オート/マニュアル設定の他に絞り優先やシャッター速度優先モードを備えています。フルタイムAFやiESPなど各種AF機能に加えてマニュアルフォーカス機能もあります。測光方式の設定も可能、オートブラケット機能も搭載、そして外部ストロボ用のホットシューまで備えているのですから、「ひと通りの機能を備えている」どころか「非常に多機能なデジカメ」と言うことができます。オリンパスらしくマクロ撮影に強いのも特徴で、通常のマクロでは広角側で7センチまで寄れ、スーパーマクロでは3センチまで寄ることができます。コンバージョンレンズも用意されていますし、コンバージョンレンズアダプタを介して市販の55ミリ系のフィルターも使えます。
 動画はMotion JPEGで長時間撮影が可能ですが、最新のC-770が対応したMPEG-4動画ならともかく、Motion JPEGフォーマットの画像にあまり興味はありません。マイクとスピーカーも内蔵しています。あ、ワイヤレスリモコンにも対応しているそうです。
 ともかく、多彩な撮影機能を見る限り、画質面で厳しい要求がないケースでは、取材撮影等のビジネス用途にもに十分使えそうですし、マクロ機能や外部ストロボを駆使すれば商品撮影などにも十分に使えるデジカメです。仕事でデジタル一眼レフを使っているようなケースで、サブカメラとしてこのC-755を使うのもよいかもしれません。

操作性

 全般的に「遅さ」「メリハリ感の無さ」が気になるのは、いたしかたのないことでしょうか。約4秒を要する電源投入後の起動時間、撮影間隔、合焦速度、ズーミング速度など、全ての点で少なからず「もたつく感じ」がします。まあ、ここのところ単焦点の爆速小型デジカメばかり使っていたので、余計に遅さを感じるのでしょう。別に、我慢できないほどかったるいデジカメ…というわけでもありません。
 小型ボディながら適度な重量ともあいまって、左手に乗せて右手で握る…という銀塩一眼レフの標準的な撮影スタイルでしっかりとグリップできるので、ビューファインダーを使って撮影すれば、望遠側でもかなり手ブレを抑えられます。手ブレ補正機能はなくとも、晴天下なら最望遠側でも気軽にシャッターを切ることが可能です。まあ、なんたってデジカメですから、手ブレしそうな時には惜しまず何カットもシャッターを切ればよいだけです。
 モードダイヤルに割り当てられたシーンモードも便利ですね。日常の撮影は、あまり考えずにこのシーンモードを使うだけで済みそうです。そしてポップアップボタンを使って内臓ストロボをアップしない限り、「発光禁止」がデフォルトになっているのはいいですね。ストロボを使いたくない人ごみの中やお店の中などで、うっかりストロボを発光させないで済みます。
 オリンパスのデジカメは最近あまり使ったことがないので、ボタンやメニューの配置は、慣れるまでちょっと時間がかかりそうです。まあ、特に使いにくいという感じもしません。使用頻度の高い機能をカスタムボタンに登録することができますが、初期設定の「AEロック」のままで使っています。自分だけのオリジナル撮影モードを作って登録しておける「マイモード」なんて機能を搭載していますが、これは私は使いません。

実写サンプルによる画質

 1/2.5インチで400万画素ですから、いわゆる「極小画素CCD」を採用しています。CCD面積を小さくすることで、コンパクトな高倍率ズーム光学系を実現しているわけですから、チップサイズが小さいことには別に文句はありません。…というか、遊びで使おうと考えている私としては、実は思ったよりもかなりよい画質…というのが率直な感想です。実写画像を見る限り、極小画素機でよく非難されるノイズも思ったより目立たないし、400万画素相当の解像感もあります。多少色彩を強調している感はありますが、比較的素直で「キレイ系」の発色です。というわけで、画質は十分に及第点だと思います。…というよりも、「実売価格3万円の10倍ズーム機」だと思えば、これ以上の画質は望みません。
 光学ズームの画角は6.3〜63ミリ(38〜380ミリ)ですから、広角側は不満ですね。F値はF2.8〜F3.7とかなり明るいものです。基本感度はISO 50と低いですが、多少のノイズ増加を許容するならば感度設定はISO 400相当まで用意されています。

 とりあえずは実写画像を見てください。撮影したサンプルはすべて、2278×1712ピクセルで最高画質の1つ下の「HQモード」で撮影したものです。このモードの圧縮率だと、等倍画増を見るとエッジは不自然ですね。しかしまあ「望遠カメラ遊び」なら、この程度の画質で十分です。今回は、すべて50%に縮小した画像で見て頂きましょう(サムネイル画像をクリックして下さい)。望遠端も夜景も、全て「手持ち」で撮影したものです。リサイズ以外、一切補正はしていません。


晴天下の公園で広角端

左画像と同位置から望遠端で

同じく望遠端の画像

これも望遠端の画像

200o前後の中望遠域で撮影

200o前後の中望遠域で撮影

手持ちで撮影した夕景

マクロ撮影画像

マクロ撮影画像

面白いけど何に使おう…

 高倍率ズーム機は、確かに使ってみると楽しいですね。このC-755の望遠側は、ほぼ35ミリカメラの400ミリレンズに匹敵するわけですが、銀塩一眼レフカメラの時代ですら300ミリ以上の望遠レンズを使ったことがない私にとっては、この焦点距離の画像は非常に新鮮なものです。しかしながら、私にはバードウォッチングなどの趣味もないし、スポーツシーンを撮影する趣味もないので、こんな望遠画像を撮影する機会なんてほとんどありません。
 むしろ、街並みなどを200ミリあたりの画角で撮ったときの「風景の圧縮感」が面白く感じます。まあ、時々お散歩にでも持ち出して、いろいろと撮ってみながら使い途を模索してみることにします。機会があれば、海外旅行にも携行してみようかと思います。

 操作性、機能、画質など細かい部分での不満はあるにしても、これだけの機能と光学10倍ズームレンズを備えている400万画素デジカメが、ここまでコンパクトで、しかも実売3万円で購入できるというのは驚きです。画質に大きな不満はないし、機能から見たコストパーフォーマンスは抜群…というのがとりあえずの評価です。

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