バイクの美しさ


  戦後の日本を代表するバイクメーカと言えば、やはりYAMAHAとHONDAです。ボクはSUZUKI車やKAWASAKI車にもたくさん乗ってきましたし、トーハツなどその他の国産メーカのバイクや外国車にも乗りました。特にバイクのメーカにこだわる方ではありませんが、どちらかと言えばYAMAHA車に最も多く乗ってきたような気がします。結果的にYAMAHA車が多くなったのは、そのデザインがどことなく洗練されているように感じたこと、個性的というか筋の通ったコンセプチュアルなバイクが多かったことなどが理由でしょう。
 そもそもYAMAHA車が世に知られたのは、かの浅間レースで活躍した「YA-1」からです。この「YA-1」は当時のドイツのメーカ「DSK」などを手本に開発されたと言われていますが、美しい塗装のタンク、そして音叉マークなど、至るところに楽器製造の技術を活かした、バイクらしからぬ優雅さを持っていました。その後のYAMAHA車のデザインを方向付けたのは「GKデザイン」です。インダストリアルデザイン分野における卓越した実績で、戦後の国産工業製品のステータスを向上させてきたGKが、YAMAHA車の洗練度アップに果たした役割は非常に大きかったと思います。
 GKのパートナーシップを得たYAMAHAは、以後優れたデザイン、機能とデザインのバランスがとれたバイクをたくさん世の中に送り出しました。それらのうちの何台かを所有しましたが、乗っていて気分のいいバイクが多かったような気がします。

 ところで、YAMAHA車で最初に洗練されたカッコよさを感じたのはバーチカルツインの「XS650」です。一言で言えばブリティッシュ・テイストと言うことになるのでしょうが、スリムで無駄のない美しさにはうっとりとしたものです。未だに、バイクのスタイルの良し悪しを判断する1つの基準となっているようなバイクでした。

 ボクがバイクに感じる美しさの基準の中では、"シンプル"という言葉が大きな比重を占めます。最近のバイクの高性能化が進んだことは喜ばしいことなののですが、それに伴って機構が複雑になり、その結果として外観のシンプルさを損なってしまった気がするのです。複雑な機構がいやなのではなく、極端な話、外観のシンプルささえ損なわなければ、性能や安全性を高めるためのどんな機構を組み込んでくれても構わないのです。むしろ、サスでも電気系でも高性能化や安全性向上のための新機構搭載は歓迎です。だけど、重量の増加はできるだけ避けて欲しいし、エンジン周りやメーター周り、足周りなどがゴチャゴチャするのは嫌いです。

   シンプルなフォルムのバイクが好きだから言っても、いわゆる「旧車趣味」「レトロ趣味」があるわけではないのです。わざわざ、古いバイクをレストアして乗ろうとは思いませんし、これみよがしに「名車」と呼ばれるバイクのオーナーになる気もありません。
 また、昔の車をリメイクしたような車種や、意図的に旧車っぽいイメージを打ち出しているクルマは、好きではありません。最近次々に登場するレトロ趣味バイク、例えばカワサキ「W650」「エストレヤ250」、HONDA「CL400」など、わざとらしくていやです。
 そういった見方をすると現在のYANAHAテイストを代表しているバイクのひとつ「SR400/500」などは微妙な感じがします。最初に発売された時(もう15年以上昔の話ですが)確かにYAMAHAらしい優れたデザイン性を感じました。時代の流れでいったんキャストホイールを採用し、それをまたスポークに戻し、そして音叉マークを付けた辺りから、旧車趣味を煽るような少し胡散臭い感じが鼻につきはじめました。
 ところで、最近の高性能バイクでも現代的なフォルムながらシンプルで美しいものはたくさんあります。特にオフロード車のデザインについては、もともとシンプルなせいか、優れたものが多いような気がします。オンロード車では、シングルかツインのエンジンレイアウトのクルマに美しいものが多いようです。個人的な好みで言えば、例えばYAMAHAの「TRX850」などは十分にシンプルさを感じさせ、しかも現代的なフォルムを持っていてカッコいいバイクだと思います。
 オンロード車でもシングルやツインに美しさを感じるのは、やはりスリムで軽量のクルマが好きでエンジン周りがゴチャゴチャしているのがキライだからかもしれません。


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